2017 / 10
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◆(ものがたり)

東京建電営業第一課の38歳の最年少エリート課長・坂戸。
会議で居眠りする「居眠り八角」こと、彼より年上の一課の万年係長・八角。
会社の業績を牽引する課長と、ぐうたら社員を絵に描いたような係長。
ある日、八角が坂戸を「パワハラ」で訴える。


「パワハラ」と言えるほどの対応ではないと、社内で語られる坂戸の行為が、
クロと裁定され、役員会で課長のポストを外される。
後任に、業績が良いとは言えない二課長の原島が任命される。
社内の空気に反するような不可解な決定。そのワケは?

そこには、大きな秘密があった…。

「居眠り八角」「ねじ六奮戦記」「コトブキ退社」「経理屋稼業」「社内政治家」
「偽ライオン」「御前会議」「最終議案」の八話からなる。

◆(おもった)

推理と人間のドラマが、見事に融合している傑作。

なぜ、坂戸が失脚して、八角係長が大きな顔をしているのか?
会社内と会社を取り巻く、何人もの人間ドラマも面白い。

表面ではわからない、人間の心の矛盾、奥深さ。
幾重にも、生まれては消える心の葛藤。
「仕事」って何だ?何のためにするんだ?幸せと仕事って?
このドラマには、根源的な問いもある。

読みすすむうち、徐々に脱がされてくる不思議のベール。
推理ドラマの面白さも、ぎゅっと。

池井戸さん うまいッ!

(「七つの会議」池井戸潤著 日本経済新聞出版社 2012.11)


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◆(ものがたり)

銀行の系列会社「東京セントラル証券」で働く「ロスジェネ世代」と呼ばれる、バブル崩壊後の1994年から2004年までの10年にわたる「就職氷河期」に世に出た若者たちの一人の営業企画部調査役・森山雅弘。彼は、銀行からの出向者が多い同社の組織やバブル世代に、大きな不満をもっていた。

バブル世代の一人で、同じ会社に系列の東京中央銀行から出向している営業企画部長・半沢直樹がいた。

鳴かず飛ばずの同社に、IT企業の「電脳雑技集団」からライバル会社「東京スパイラル」を買収したいと相談を受ける。それは巨額の手数料収入を得る大きな商談。ところが親会社の「東京中央銀行」が、理不尽な介入をしてくる。主人公の半沢は、部下の森山とともに理不尽な親会社に対峙していく…。その結末は?

◆(おもった)

息もつかせない面白さ。
企業に生きる人を描いて、こんなに面白く読ませる。さすが、池井戸さん。

仕事と組織。仕事とは何か。世代論と生き方。
大きく見ればこの世界の様々な「理不尽」な出来事に、人としてどう対峙して生きるのかが物語のテーマになっている。登場人物たちの、特に半沢が森山に語りかける言葉には豊かな含蓄がある。

物語に流れる豊かさとは「知恵と勇気をもって、誤魔化しや理不尽と闘う意志を持って生きよう」だと感じた。「ボヤキの世代論」や愚痴を越えて、この世界を当たり前の世界にしようと半沢は森山に、行動を通して大切なメッセージを伝える…。

「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」に次ぐ第三弾だそうで、前の二冊も読んでみたい。

読んでスカッとする。読後感最高の一冊。

(「ロスジェネの逆襲」池井戸潤著2012.6ダイヤモンド社)

この爽快!一気読みの一冊!

(ものがたり)

電子部品メーカー・青島製作所を舞台に、ライバルのミツワ電気との存続をかけた企業競争、手に汗握る社会人野球の対戦場面。この二つの軸をからみあわせ、つばぜり合いを繰り広げていくサバイバルドラマ。
そして、人間ドラマ。

有力選手2名を連れて、青島製作所から、ライバル会社ミツワ電気の野球部監督に転任する村野。
後任として、青島製作所の新任監督になった大道。
マネジャーの古賀。総務部長で野球部部長の三上。
青島製作所の派遣社員・沖原、彼は高校時代で天才投手と言われながら、ある事件をきっかけに野球の舞台から
遠ざかったていた。その苦悩と去就は…。
カリスマの会長・青島の存在感。
青島から抜擢されて、青島製作所の企業経営を託された社長・細川の苦悩。
鋭い観察眼を持つ、青島製作所の大株主の城戸志眞。
企業の利益のためには、おきて破りの手法も使うミツワ電気の社長・坂東の権謀術策。

題名は、ルーズヴェルト元大統領が、野球は8対7の試合が一番面白いと言った逸話からのもの。
様々な登場人物が織りなす、まさに「ルーズヴェルト・ゲーム」。

(おもった)

観戦していて、つばぜりあいの試合ほど、面白い野球のゲームはない。
つばぜり合いのゲームとしての、企業経営と野球の試合の様々な場面が出てきて、ワクワクする。
二つの軸が、みごとに絡み合う緊迫した場面が連続する。

でも、勝負以外の、大事なテーマも描かれる。

それは、企業経営って何だ。本来どうあるべきなんだという問題。
野球も、勝てばいいというだけの描き方じゃない。

そこには、苦悩や夢や歓喜や心の交流が…つまりは、人が描かれている。
生きる妙味って何だろうとも思った。


一気読み。爽快な読後感の一冊。


(池井戸 潤著「ルーズヴェルト・ゲーム」2012.2講談社)

◆(ものがたり)
開発に関わったロケット発射が失敗し、宇宙ロケット開発の研究者の道を退いて、父の起した「佃製作所」を引き継ぎ、中小企業の経営者になった佃航平。

取引している大企業から、会社の方針が変わったからと、突然の納品取引終了を告げられる。
経営を立て直すため、資金調達を図るが、メインバンクから赤字になるようなリスクのある会社には、融資できないと断られる。
そして、競合する大企業から、金と力を背景に、傘下に吸収することを見据えて「特許侵害訴訟」を起こされる。
次々と降りかかる理不尽とも思われる難問。
航平は、「佃製作所」の社員は、どんなふうに、苦境に対していくのか?
はたして、どんな未来が開けてくるのか?

◆(思ったこと)
彼の「空飛ぶタイヤ」の面白さがよみがえる傑作。
すごいぞ!
何といっても、ワクワクと面白く読ませる!

そのうえで、人間らしいってどんなことだ?と、問いかけてもくる。

例えば…

生きていると様々な形で直面する困難のなかで、人間の勇気ある生き方って何だろう?
暮らし(食うことですね)の問題と夢を持ち続けるというテーマを、どんなふうに統一して、生きたらいいんだろう?
人間の、知恵の働かせ方って何だ?
異なる意見を闘わせながら、どんなふうに豊かに知恵を束ねあったら、実りある未来が見えるんだろう?

…ってなことを、考えたわけさっ!

今年読んだ本の中で、一番熱い感動をくれた傑作だぃっ!。

(「下町ロケット」池井戸潤 著。2010.11 小学館)

◆ 首相・武藤泰山が国会答弁中に、大学生の息子・翔が酒場で飲んでいるときに、
突然、相互の人格が入れ替わる。

予期せぬ出来事に、二人は不安を抱えながら、お互いの行動をチェンジすることに…。

泰山は息子の代わりに、就職試験にいき、人事面接で議論を吹っ掛けて、面接官を怒らせたり、
コンパに出かけたり…。

は秘書から渡された、国会答弁メモの漢字が読めずに、「直面」「ジカメン」。 「低迷」「テイマイ」と誤読答弁のオンパレード。漢字も読めない首相と馬鹿にされ、問題にされる。
なぜ、こんなことに? はたして顛末は?…。


◆ 親子間の世代や境遇・価値観のちがいからくる、二人の思いや行動のドタバタが楽しい。
秘書・貝原と泰山の会話が、かけあい漫才のようだった。
奇怪な出来事。飽きさせない波乱と笑いの仕掛けの数々。
入れ替わって行動するうち、お互いへの認識を深めていく二人。あるべき政治や仕事の理想に改めて気づいていく。
笑いの中に
「政治って?」「マスコミって?」
「夢を持って生きるって?」と、
ふと考えさせてくれる。

笑いをふんだんに盛り込みつつ、大勢に流されずに、夢や理想を求めて生きる人物を描きだして
心を温めてくれる、池井戸さんの魅力がつまっている最新作。


(池井戸 潤著 「民王」 2010.5 ポプラ社)



(おはなし)
◆ 中小企業「赤松運送」の社員が、運転していた、トレーラーのタイヤが外れて
歩行者の母子を直撃、母親が死亡。
その車の名門大企業のメーカー「ホープ自動車」は「赤松運送」の「整備不良」が事故の原因と結論する。
納得できない社長・赤松徳郎は真相を調べようとするが、取引銀行からの資本打ち切りなどの会社経営の危機。
刑事の捜査。事故を原因とする自分の子供へのいじめ。
亡くなった柚木妙子の遺族からの訴訟など。
大きな絶望感におそわれる。
ホープ自動車の「リコール隠し」を疑う赤松。
彼は、真相にせまれるか…。

(感想など)
◆ 全編を通して、登場する人物たちが丁寧に描かれ、人間のあり方を問いかけてくる。
大企業「ホープ自動車」の人間像。刑事・高幡の捜査に取り組む姿。
子供の通う学校の父兄の反応。週刊誌の記者・榎本の取材。
支援を打ち切る銀行、赤松を信じて新たに支援を始める別の銀行。
それぞれの銀行員の仕事への姿勢。
従来の得意先からの仕事の打ち切りと、別の会社からの仕事の依頼。
赤松の家族や会社の同僚たちの姿。
それぞれの人生観も、苦悩も、闘う姿も、傲慢さも優しさもでてくる…。

登場人物の一人ひとりの姿が、感動をいくつもくれる。
読みだしたらとまらない息をつかせない面白さがある。

◆ いろんなことを感じた。
「世の中の常識という聖域」という言葉があった。
「常識」とか「先入観」に囚われて真実を見落とさないように、自分の頭で考えなきゃ。…とか。
苦しい時に、「自分の力」と本当の意味で向き合って生きるって、どういうことだろう。…とか。
最初はたった一人だけの誰かの頑固なまでの「真実への思い」とか情熱とかが、
まわりの人の心に、新しい灯をともすんだなぁ。…とか。

考えさせて、感動させて、ワクワクさせる
今年一番の収穫。
本当に読んでよかった!


(池井戸 潤著「空飛ぶタイヤ」2009.9 講談社文庫)


 とっても面白かった。
「談合」という建設業界の硬質なテーマを、正直で正義感あふれる平太という
若者を主人公に、仕事や恋の「理想と現実」が面白く、あたたかく描かれている。

多忙な平太が、母の病気に心を揺らし健康を願う痛切な思いに、親子の心の触れ合
いも描かれかれていて、豊かな奥行きのあるドラマになっている。

心ならずも「談合」にかかわることになる平太は、どんな気持ちで、どんな生き方をするんだろう。
工事の談合の結末は、どうなるんだろうと、飽きさせない物語展開で一気に読んだ。
推理的な手法も、うまく取り入れて最後まで面白く読ませる。
気分のいい、面白い結末だった。


(池井戸 潤著「鉄の骨」2009.10講談社)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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