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◆ 沖縄返還に伴う、密約事件を扱った小説の最終巻。
「沖縄 チビチリガマ 鉄の暴風 OKINAWA 
土地闘争 少女事件 ヌチドゥ宝 米国立公文書館 大海原」 の9章からなる。

◆ 最高裁の上告棄却で有罪となった、元毎朝新聞政治部記者・弓成。
その後、父が一代で築いた青果会社を再建しようとするが廃業に追い込まれ、
ギャンブルにのめり込む。それを変えたいと、故郷・小倉を離れるが、孤独と絶望から、死に場所を探すような旅になる。
那覇行きの船の中、海に身を投げようとする彼を、読谷に住む渡久山朝友に止められ命を救われる。

彼との出会い。住み始める沖縄。
記者生命を断たれるきっかけになった事件の現場で暮らしながら、弓成は何を見聞きして生きるのか…。

◆ 絶望と孤独の時、人はどう生きるのか。とても考えさせられた。
内容・事情・レベルはさまざま。でも、誰もが直面する可能性のある運命のうねり。
心ならずも流されていく境遇。
いや、むしろ、いつも思った通りに歩める人生のほうが、稀なのかもしれない。
渡久山をはじめとして、弓成が出会う人たち。
その出会いが、新しい目を開かせてくれる。

◆ 最後の場面が特に好き。
漏洩事件の経緯以降、15年も音信を交わさなかった妻・由里子が、渡久山の手紙を読んで、沖縄の彼を訪ねてくる。そして、互いの思いを受け止めていく。
二人の夕餉の場面。彼が三線を引きながら沖縄民謡を歌う。
「わたしたちも曇ることのない光を持ちながら百歳の年まで光っていこうよ」
という趣旨の歌。
歌詞に込められた、弓成の決意と、妻への思いがとてもこもった場面だ。

◆ 一番思ったことは、彼が深く学んだであろう(と、本を読みながら思った)
「血を通わせて、もっと深く知って生きる」ってこと。弓成は、改めて沖縄戦の証言集や体験者の肉声を聞く。
そこで、流されてきた血や、引き裂かれた人生の哀しみに深く触れていく。
狂信のような戦争教育で洗脳された人間が、地上戦で竹やりで機関銃にむかう。
洞窟内で泣き叫ぶ子供たちと自決する人々。
そして、今の沖縄。
大学構内という民間地に、墜落したヘリコプターの現場検証も許さない米軍が存在する。

◆ 絶望の運命に翻弄されるだけの人生から、運命に立ち向かう人生に舵を切る。
容易じゃないけど、素敵だと思う。

締めくくりの弓成の思い。
「自らの意思で選んだ道程ではなかったが、そのように運命づけられているのなら、使命を果そう。書く時間はそれほど長く残っていないが、遅くはない。」。(265)

山崎さんいいなぁ!
封切られる映画「沈まぬ太陽」の原作も、超おススメ!

(山崎 豊子著「運命の人(四」)2009.6.30文藝春秋)


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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