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古書店「東京バンドワゴン」を舞台にしたシリーズ第7弾。
この大家族の空気にひたりたくて、つい読んでしまうこのシリーズ。
あまりの大家族に、巻頭の登場人物相関図を時々見なおしながら
以前のストーリィを思い出したりしつつ読む。また会えたという感じ。

若干、説教くさくなったなぁとか。
ええっ!そんな都合よくいくのかよ?などという場面もある…
でも、まっ、いいかっ!と読んでしまうのが、このシリーズ。

子どもたちの成長がすごい。三歳になったかんなちゃん、鈴花ちゃんが、朝ごはんの席順を仕切っている。
我南人の性格を受け継ぎそうな中学生の研人は、ギターを弾きまくり、医師を目指す花陽は高校の勉強を頑張っている。
みんな、どんなふうに変わっていくのか、楽しみ。


物語は次の四話。

「冬・ゆきやこんこあなたに逢えた」

書店バンドワゴンの本棚の一角の本をまとめ買いする不思議な客。一冊ずつ希少本を売りに来る別の客。
その行動の真意とは?

「春・鳶がくるりと鷹産んだ」

我南人の音楽仲間・中川の相談とは?

「夏・思い出は風に吹かれて」

すずみの友だち・美登里が三年ぶりに訪ねてくるが…。

「秋・レディ・マドンナ」

我南人の亡妻・秋実と同じ施設で育ち、今はその児童養護施設を経営している智子から
施設閉鎖の知らせが届く…。

このシリーズ、だれかと一緒に過ごす楽しさを感じさせる。心が通うっていいな!

(小路幸也著「レディ・マドンナ~東京バンドワゴン」2012.4集英社)

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古書店「東京バンドワゴン(堀田家)」を舞台にしたシリーズ第6弾。
今回の四話。

「春・林檎可愛やすっぱいか」
「夏・歌は世につれどうにかなるさ」
「秋・振り向けば男心に秋の空」
「冬・オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」


◆四世代で暮らす、堀田家の朝はいつも賑やかだ。
古書店店主の勘一は82歳、息子の我南人は63歳にして、伝説のロッカーとして海外公演にでたり帰国したりの日々。口癖は「LOVEだねぇ」。その孫の中1の研人は、我南人の血をひいているのかギター好き。
古書店の隣で喫茶店を切り盛りしているすずみや青。その子供は2歳。
中3の受験生の花陽(かよ)がいたりして、世代と年齢の広がりがある。登場人物の紹介をするだけで楽しいけど、とても紹介しきれない人物の多さも、物語を面白くしてくれる。
四季のうつろいの情景や、朝の食卓の賑やかな家族の会話が賑やかで楽しい。
これだけで、このシリーズを読んでしまう。
大事件は起こらない。暮らしにまつわる小さな謎が人生の味を醸し出す。


◆今回印象的だったのは「冬・オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」。本の題名にもなっている話。勘一の妹・淑子が亡くなる。深い悲しみの勘一。
常連客・藤島に蘇ってくる哀しく心の痛い思い出。それは、過去に姉・麻里が起こした心中事件。
彼女は亡くなり、相手は生き残った。その事件に関連する人々との再会。

この物語の中で、勘一は自分に言い聞かせるように、藤島や、姉と心中して生き残った高木、姉の親友だった中澤に言う。死という別れの哀しみを忘れて、人生を次につないで生きていくために、死の痛みにけりをつけていく「喪の仕事」が必要だと。必ず誰でも遭遇する死。重いけど考えていかないといけないことだと思った。

「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」はビートルズのヒットナンバー。
元はコンガ奏者の造語で「Life goes on (人生は続く)」という意味だそうだ。

「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」 新しい明日に繋げる知恵を探りながら…。


(小路幸也 著「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン」2011.4)



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待ってましたっ!
この本「東京バンドワゴン」シリーズの4冊目だ!

◆ 第二次大戦後のどさくさの中で、子爵の令嬢だった咲智子さん(サチさん)が、
父から、国の未来にかかわる重要書類を託され、両親と別れて逃れる途中、
追手に捕えられそうになる。
そこに、勘一があらわれる…。

戦後の歴史に、ミステリーとサスペンスの味付けをして、はらはらしつつ、
ほんわかとあたたかな風も吹いてくるような、最後まで飽きさせない、痛快爽快な一冊。
「バンドワゴンマニア」が知りたかった(?)勘一とサチのなれ初め。
若き日の二人の姿が、画面いっぱいに(小説を読む心の画面さね!)動き回る。
そう!これは何より、勘一とサチの恋の物語なのだ。

◆ 「マイ・ブルー・ヘブン」はジャズの名曲。
サチはピアノを弾き、勘一はベースをこなしてジャズバンドで演奏するのだ。
文武両道で多彩な勘一の姿も出てくる。

この曲、日本語だと「私の青空」。
読みながら思ったのは「私の青空」って何だ?
どこにある?ってこと。

「魂の触れあう場所」のことを、「私の青空」って言っていると思う。
殺伐としたニュースが報じられる、今の世情。
だからこそ「私の青空」を信じたい。
大事に思いたい。
後半、二人の結婚式で、マリアが歌い始める歌詞。

♪ せまいながらも楽しい我が家
愛の灯影のさすところ
恋しい家こそ私の青空 ♪



小さな魂の触れあう場所を豊かにすること。
小さなものを守る束が、大きなものを守ることにつながる。
武力や腕力に、文化の知恵で抗する場面もでてくる。

書くことや、文化の力を信じていること。
戦争や武力では、人は幸せになれない。
小路さんの思い伝わってくる。いいっ!

読んでいると、幸せな気分になる。
心に青空を持ちたい。

「私の青空」…
思い描きながら、行こうぜっ!



(小路 幸也 著 「マイ・ブルー・ヘブン ~東京バンドワゴン~」 集英社2009.4)


◆ 12歳の二人。
ハルは、事故で心ならずも、由希菜を死なせてしまい、自分が殺したと自分を責めて自殺を図るが、カホ(花歩)に、とどめられる。
カホは、父からの虐待。母の失踪。世話になってた祖父の死と哀しみを重ねる。
大きな悲しみを背負いながら生きる二人。

二人を励まし、支える大人たち。
大学生で、花屋の店員のキッペイ。
ホームレス一歩手前の老人を自称する井崎原さんこと、イザさん。
大人の二人は、哀しみの中で生きる子供に寄り添おうとする。

同世代のハルとの会話でカホがいう。
「風が吹いてきたときに、背中を向けるんじゃなくて、顔を向けるの。
身体の前で、身体全部で風を受けるの。(195~196)
夏、四人で暮らしながら、カホが祖父と住んできた建物の屋上に、協力して、庭園をつくる。
その作業が四人に元気を与える。

◆ 優しい物語を書いたなぁと思った。今こそ語られるべき物語。
人間の哀しい出来事が、繰り返されている今だから…。

題名がいい。「空へ向かう花」のイメージが持つ希望。
そんな伸びやかで、自由な心で生きられたらいいと思う。


「願いは叶うということを、信じている。願うことが必ず力になると、信じているさ。
今までも、これからも。」(278)


年末の締めくくりに、ぴったりの一冊。

(小路幸也著「空へ向かう花」2008.9講談社)

◆ 一年間サンキュでした。
コメントや拍手やメールありがとう。来年もよろしく!
よいお年を!


「東京バンドワゴン」という古書店を舞台にした四季を描くシリーズ三作目。
懐かしく居心地のいい場所に帰ってきたような読み心地。
 藍子が結婚したり、二人の赤ちゃんが同じ日に産まれたり、以前同居していた人が
訪ねてきたりと一緒に暮らしたい人が増え続ける堀田家。
作品の中にゆったりと、時が流れているなぁと思う。
いつもながら大人数の家族の会話の賑やかなこと。
煩わしいだけじゃない、もう一つの人間のつきあい方が描き出されている。

矛盾や怒りに目を閉ざさずに、はっきりと相手と向き合う言葉に熱と力がある。
すずみや、勘一の江戸っ子の啖呵にスカッとする。

ゆったりと流れる堀田家の時。
その日常に現れる不思議な出来事が、読書にわくわく感をくれる。
これぞ小説!

◆ 秋 あなたのおなまえなんてぇの 
舞台になっている古本屋の棚の本が、来客によって不思議に並べ替えられているのはなぜ?
買い取った本の裏表紙に、子供の字で書き込まれていた言葉
「ほったこん ひとごろし」という堀田家の家族・紺に向けられた言葉の意味とは?

◆ 冬 冬に稲妻春遠からじ
知り合いの居ないはずの、アメリカから大量に堀田家に届いた本と、家の周りをうろつく
怪しげな男たちの正体とは?
堀田家行きつけの小料理居酒屋「はる」の真奈美が14歳年上の店の板前コウにプロポーズ。
コウの過去と二人の愛の行方は?

◆ 春 研人とメリーちゃんの羊が笑う
小学6年生の研人に恋する、クラスメートのメリーさん。
「羊が後をついてくるけど、バンドワゴンに行くと、消える」
というメリーさんの言葉の真実とは?
勘一の代理で、京都の古本屋の有志の懇親会「六波羅探書」に行って
そこの有力者に店主・勘一をけなされ、江戸っ子の啖呵を切って
希少本の目利きをすることになるすずみ。その結末は?

◆ 夏 スタンド・バイ・ミー
二人の子供が同じ日産まれ、以前に同居していた人が訪ねてきたりと
同居したい人が増え続ける堀田家の住宅問題の行方は?
我南人、青の周辺を興信所などが調べ回っているらしい。我南人と大女優とのゴシップ?

四季をえがいた四編。

◆ 気に入った言葉は多いけど、今回は、61歳にして伝説のロッカー。
堀田家の自由人・我南人のLOVE論。
★ 「世の中勝つか負けるかだって言ったけどぉ、違うよぉ、LOVEがあるかないかなんだねぇ」

★ 「LOVEを歌うんだよぉ。求めちゃいけない。欲しがっちゃいけない。
君の心の中にあるLOVEをぉ、与えるんだよ。出し惜しみしちゃいけない。
全部出して出して出し切るのさぁ。…」
(287)

使い古されたような「LOVE」が、この物語を読むと
改めて、とてもいい言葉だとおもう。

(小路幸也 著 「スタンド・バイ・ミー」 集英社2008,4)


大事件も、ヒーローの活躍もないけれど、進行役のかあさんの語り口のゆったり感。
穏やかで温かい空気が物語の全編を流れる。
作品の中に「人が好きだ」という強靱な芯がある。
源泉かけ流しの良質温泉のような作品(笑)。
その源泉は「生きていることのステキさ」の湯。
物語のなかで、こんこんとこんこんと湧いてくる。

正月に読むと、いい年が始まるかもの一冊。

◆ 古書店「東京バンドワゴン」に持ち込まれた貴重な本「古事類苑」の中身のページが
くり抜かれていた…なぜ?
 隣接する喫茶店に、置き去りにされた赤ん坊は…?
「冬百科事典は赤ちゃんと共に」

◆ 自分で売りに来た本を、なぜか毎日一冊ずつ、変装をして買いにくるおじいさん?
小学六年生の花陽が、古書店のなじみ客・藤島へよせる淡い想い。
堀田家の未婚の母・藍子をめぐって、藤島が、同じく藍子を好きなマードックに恋の宣戦布告?
そして、順調なIT企業の社長の立場を捨てても果たしたい過去の事件とある決意。彼の哀しみや想いとは?藤島の危機に堀田家の男たちは立ち上がる、その行方は…?
堀田家の過去と現在が明かされる。「春、恋の沙汰も神頼み」


◆ 花陽が遊びに行った旅先で、見知らぬおばあさんから家への土産に託された本。
それは戦時中の幽霊のようなコピー本。
その本に、若き日の勘一の写真、裏には英文の記載が…それを見て勘一は、その老人に会いにいく。
時代・人の別れと再会。79歳の古書店主・勘一の、ほとばしる言葉が切なく熱く心に沁みる。
この本で一番好きな作品。「夏 幽霊の正体見たり夏休み」.

◆ 今では底抜けに明るい堀田家の過去。
60歳にして現役ロッカーの我南人の妻で、堀田家の太陽のような存在だった秋実が病没して、家族が危機に。どんなふうにして、堀田家は生まれ変わってきたのかが見えてくる一編。それにしても、4話の結末。我南人LOVEだねぇ~。「秋 SHE LOVES YOU」
以上の四篇を収録。

☆★「傷は消えないけど、人間は服を着る動物じゃないか。着る服は自分で選べるんだぜ」(143)は、二編目で、大切な肉親の死の悲しみを思い出して、やりきれない藤島の哀しみに堀田家の男たちが、総動員で語りかける。彼に語りかけられる言葉。
そして、三篇目で、勘一が怒りながら泣いて、大切な人に話しかける言葉がある。じ~んときた。(ここまで書いた以上に、ネタばれになるので書かないけど大好きな言葉。)
又、読み返したくなる、しみじ~みといい作品だった~。★☆

(小路幸也著「シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン」集英社2007,5)


本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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