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◆「免疫学者多田富雄の闘い」という副題がついている。
著者は、NHKディレクターとして、NHKスペシャルで多田さんを描いた表題の番組をつくった。
この本は番組制作の過程で、彼女が触れ、見、聞いた多田さんのことが書かれている。

ここのブログで、以前に多田さんの本をとりあげたことがある。
世界的な免疫学者だった多田富雄さんが67歳の時、脳梗塞で倒れて、
半身不随になり、声を失い、嚥下障害(食べ物を飲み下す障害)の重篤
な身体になった。

◆この本を読むと、日々がまさに闘いだったことがよくわかる。
退屈で地味で、重篤な症状が画期的に回復するわけではない淡々とした多田さんの日常。
それをTV番組にすることは、とても難しい。
悩みながら、多田さんに率直な質問をする著者の、文末のインタビューが印象的だった。
トーキングエイドという、多田さんが左手で打つタイピングが、音声になる機械を介した、ゆっくりの会話だ。

何が先生を支えているか?という問いに対いて

「何もかも失った」「それを突き詰めていくと、何かが見える」
それは「新しい、能力」で「能の作者になるとは思わなかった。」

あの時、倒れていなければと思わないか?という問いには、時々思うし悔しいと思うが

「しかし、今のほうが良く生きているとも思う」と答えている。

◆ここで多田さんが言っている「良く生きる」を形にすることは、並大抵ではない。
この本にでてくる「食事」の場面は、それが、楽しみとはほど遠い、大げさではない、
命がけの闘いだったことがよくわかる。
病気になってから、出版した往復書簡、能の台本、エッセイは、本人の言葉で「生き死にをかけて、書い」たものだったのだなぁと思う。

同じ病気になったボクにも日々が流れた、多田さんには遠く及ばない悶々と生きる日々…。
多田さんは、亡くなった。
でも、その生きざまには、ボクの命に力をくれるものが確かにある。


(上田真理子著「脳梗塞からの再生~免疫学者多田富雄の闘い~2010.7文藝春秋」)

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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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