2017 / 06
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◆(ものがたり)


いじめを受けたことで、引きこもりになり、離婚した母に頼りきって生きていた24歳の麻生人生。
突然母が手紙を残していなくなる。途方にくれたすえ、母の手紙をヒントに、長野県蓼科に住む
(母と別れた父親の母の)祖母マーサばあちゃんを訪ねていくが、認知症で人生のことがわからない。
おまけに、ばあちゃんの孫と称する21歳のつぼみという女性が同居していた。

人生は、そこで何を感じ、どんな生き方を探していくのか…。


◆(思った)


痛みも悲しみも含めて、読後の心を揺さぶるような小説が読みたい。
「生きるぼくら」という直球の、ある意味純朴すぎるこの作品は、心を温めてくれる、いい作品だと思う。
でも、原田さんには、もっともっと、と期待大なのです。

地域の介護士・田端さんの助言に、人生は、小さくても具体的で現実的な願いを実現していくことの大事さを、思う。そして、ばあちゃんの農法で米を作って、おにぎりを食べたいと願う。
そして、人生、つぼみ、就職に悩む純平たちは、地域の人たちの力を借りながら、ばあちゃん流の手作りの稲作に、初挑戦する。
そこで見えてくる。自然、いのちの豊かさや大きさ。
育っていく稲の生命力に、自分の命を重ねていく…。

些細で小さく見える入口を出発点にして、未知の世界や新しい価値を感じること、知ることの大事さを思った。

「生きるぼくら」には、大変なこともいっぱいある人生だけど、あなたの知らない世界があるよ。
生きて探していこう、感じていこう。
そんな思いが、込められているんだと思った。


(「生きるぼくら」 原田マハ著 徳間書店 2012.9)


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(物語)
高校一年生。東京から転居して、岡山の白鷺女子高等校に入学した佐々岡鮎子は、漫画を描くことに熱中する少女。描いていたのは、自分の恋への思いや理想の男性像を、作中の恋人・ヒデホに投影した「ヒデホとあゆの物語」。
美人で勝気な同じクラスの秋本武美は、偶然、その作品を読み、最初の熱心な読者で親友になるが…。

物語は、27年経過した現在、東京の売れっ子漫画家・小日向アユコ(佐々岡鮎子)に
三年間を過ごした白鷺女子高等学校から、記念講演の依頼が舞い込むところから始まる。
苦手な講演を断ろうとしたが、これを機会に同窓会が開かれ、秋本武美も来ると知らされ講演を引き受ける。
武美は鮎子にとって、特別な存在だった…。

27年後の現在と高校時代の出来事が交錯しながら展開する、熱い絆の青春ストーリー。 

(思った)
「でーれー」とは、岡山弁で「ものすごい」という意味。
「でーれーガールズ」はヒロインが高校時代に描いていた「ヒデホとあゆの物語」を下敷きにした漫画家・小日向アユコのデビュー作の題名でもある。

「でーれー」というフレーズを連発した、高校時代のヒロインの口癖や彼女たちの日々を象徴するような題名。
キラキラとした青春のまっすぐな光を発散する登場人物たち。その物語が、甘くて、苦くて、嬉しくて、恥ずかしい。友人との心の掛け違いや交流、初恋のはずむようなおもい、漫画家を目指すヒロインの創造や妄想も面白かった。

いろいろな、青春の姿がある。
置かれている時代や状況はいろいろでも、どこか共通する高校時代特有の空気を感じた。

そして、青春の時期を過ごして、今という時を生きることの愛おしさや切なさも感じさせてくれた一冊。

(原田マハ著 「でーれーガールズ」2011.9 祥伝社)

今に始まったことじゃない、けど、酒が好きだ。
でも、ラム酒は飲んだことがない。

◆(おはなし)
この物語は、琉球アイコム沖縄支店の契約社員のヒロイン・伊波まじむが、
郷土色の豊かな新規事業を募集した「社内ベンチャー(新規事業)コンクール」
に、南大東島のサトウキビを活かした、国産のラム酒をつくるという企画をだして
酒作りを実現するという話。
現実にあったという話を、小説化したものだそうだ。

◆(おもったこと)
派遣社員が、夢を実現して新規事業の会社社長になるという話だけど
他人をだしぬいて、勝者になるという、ただのサクセスストーリーじゃない。
沖縄という郷土が好きで、一緒に暮している豆腐屋をやっているおかあとおばあが好きで
いつもおばあと行く、飲み屋のバーテンの吾郎が好き。
そこで飲むアグリコール・ラムが好き。
サトウキビ作りが盛んな沖縄なのに、どうして地元産のラム酒がないだろうと思う。
そこで、大好きな地元で作っているサトウキビを使ったラム酒をつくりたいと提案する。
儲かればいい、出世すればいいという会社の上司の思惑で彼女の真意が曲げられそうな
危機を乗り越えて、型破りのプレゼンを成功させる場面は痛快だ。
そして、彼女の真心(「まじむ」は沖縄で「真心」の意味。)がとてもよく出ていて
ココロ踊る印象的な場面だった。

周囲の人々にとても恵まれている。
彼女の味方になりたいと思わせる豊かさがある。
似て非なる偽物に心を売らない内なる真心が、周りの人の心を照らしてるんだなぁと思った。

後半、おばあが、酒の完成への大切な時期に倒れる。
一命をとりとめて、酒の完成の場に立ち会える。
読んでいて、ほっとする嬉しい場面だった。
とっても、読後感も良かった。

ちょっと、本筋から、外れて考えたことがある。
僕らの命には、時間的な限界がある。
そこから、埋めがたい哀しい場面にも、いっぱいであう…。
僕らの命は、そんな運命を背負っている。
それは、哀しいこと。でも、尊くもあるのかも。

もういっぺん、本筋にもどろう。
台風の通り道の南大東島の風土で育ったサトウキビ。
その材料でできたラム酒を「風の酒」と表現している。
その自然を、飲んでみたいなぁと思った。

(原田マハ 著 「風のマジム」2010.12 講談社)


◆(おはなし) 
沖縄県与那喜島に住む、主人公・友寄明青(ともよせあきお)を取り巻く環境は過酷だ。
生まれた時から、親指以外の4本の指がくっついている右手。
父が小学生の時、海難事故で死ぬ。
小学5年生の時、母が家を出て以来帰らない
その後、彼の世話をしてくれた祖母も亡くなる。
誰かが、家で待っていてくれる生活とは無縁の暮らしの中に
カフーと名付けたラブラドール犬がやってきた。それはありがたい存在。
今は、友寄商店という「よろずや」をやっていて、地域の交流の場になっている。
子供の頃からの顔なじみの、近所のおばあに、夕餉をつくってもらっている。

86歳になるおばあも、独り暮らし。
巫女(ゆた)であるおばあが、犬のカフーが生まれたときいい知らせがやってくると予告する。
カフーは「果報」と書いて「いい知らせ」「幸せ」の意味がある。
そんな犬は存在感がある。

そしてその夜も「果報」の知らせ。
なんと、島民たちと行った北陸の遠久島の飛泡神社で、書いた「嫁に来ないか。幸せにします」の絵馬
に「幸(さち)」と名乗る女性から
「…私をあなたのお嫁さんにしてくださいますか。あなたにお目にかかりたく、
近々お訪ねしようと決心しています。」という、仰天の手紙が届く。
「幸」とは、どんな女性なのか?

二人の未来は…。

◆(おもったこと)
これは、トロトロのラブストーリーではない。
明青、おばあ、幸。それぞれが人と死別、離別の過去を持っている。
本文の表現で言えば「痺れるほどの喪失感」が共通している。

誰かが言ったように、サヨナラだけが人生なのか?
深い絶望の海を泳ぐのが、人の一生なのか。
生きているのが辛い時、どうしたらいいんだろう?

引っ込み思案だった明青が、後半に見せる行動は、ひとつのヒントをくれる。

辛さ一色に塗りつぶされない、人としての営みが欲しい。
喪失感には、大切なものを獲得したいという歩みが一番の力になるんだ。
きっと…。

(原田マハ著「カフーを待ちわびて」2006.4宝島社)



本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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