2017 / 08
≪ 2017 / 07   - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - -  2017 / 09 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


◆(おはなし)

作者の自伝的小説。

嘱望された女優と結婚して、放埒な暮らしから再出発しようとしていた彼(作中名サブロー)が、突然新妻を癌で亡くし、やり場のない憤りと虚脱感で、酒とギャンブルにのめり込む。
アルコール中毒になり、何かに恐れ、怯え、時に襲ってくる妄想に悩まされ、30代半ばで、ボロボロの精神状態になる。仕事もできず、小説も執筆できない日々だった。
ある日、知り合いの編集者Kから「逢わせたい人がいる」と紹介されたのが、作家・色川武大だった。

色川は「ナルコレプシー」という脳幹の病気で、時も所もかまわず居眠りする。
居酒屋で。麻雀の最中に…etc。
どこかチャーミングでユーモラスな姿。
一緒に「旅打ち」という愛知や四国の競輪場などを旅をする…。

◆(思った)

ユーモラスでいて、どこか哀しい。でも深い人間的な魅力に溢れている。
色川さんの、ところかまわず居眠りする姿にはユーモアと哀しみがある
大食漢で多趣味(ギャンブル・ジャズ・落語・相撲など)な人だ。

旅先の「弥彦」の話が強い印象を残す。そこで会った人が、肉親三人を事故で失って、やり場のない心の痛みを吐露する。それに対して、素の自分を晒しながら、哀しみを受け止める色川の姿に、作者も心身を揺すぶられる。
その大きな人間力に、はまる。その時から、必要以上に恐れや不安の発作の兆候がなくなる。
ボクも読みながら「いねむり先生」の魅力に、はまった。力をもらった。

その存在だけで、周りの皆が「愉楽の表情をしはじめる。」と紹介されている色川さん。
めったに出会えないけれど、人間の大きな力とか魅力を体現している人が、そこに確かにいるんだと思った。
色川さんの、作品の一節が紹介されている。
そこで「自分は誰かとつながりたい。人間に対する優しい感情を失いたくない。」と。
色川さんの小説、遅ればせながら読んでみようかなぁ。

一行一行が、味わい深い。
気品のある文章、といったらいいんだろうか。
読書する時間に、どっぷりと浸らせてくれた。


(伊集院 静著 「いねむり先生」2011.4 集英社)


スポンサーサイト

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。