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この、どお~ってことないような小説が、すごいぞっ。

高校一年生になった三人が、同じ高校で出会って
ふとしたことから、園芸部を再興して一緒に、花苗を育てるって小説。

一人は、幼い頃母が亡くなって父子家庭で暮らす篠崎達也
眉毛が薄く人相が悪く、ズボンを落としてはいている訳ありの大和田一平
目と口の部分に穴をあけた、段ボール箱を頭にかぶって、学校の指導のもとに相談室登校
を密かにしている庄次善男(大和田が面白がってつけたニックネームがボックスボーイこと「BB」)。

枯れかけていた植物に、篠崎が水をやったら植物が元気になって感動する。
成り行きで入った園芸部の活動として、篠崎と大和田が遊び半分で、面白がって昼休みに
前の園芸部が残していった、植物に水やりを始める。
学校の喧騒から離れた園芸部の空間で、二人は箱を被った珍妙な男BBこと庄次と会う。
彼は自分の存在を他言しないでほしいと、二人に言う。
交換条件として、面白がって彼を水やりに誘う大和田。

園芸は、水やりだけじゃなく水をやり過ぎると「根腐れ」とうい過剰な水やり事故もある。
ジョーロには「はす口」という雨を先端で降らせるような部分があり、それには訳があると植物に詳しいBBに、二人は教えられる。
やがて二人は、図書館で園芸の基本をあれこれ調べだす。
水やりは、土を湿らすためでなく、植物の根の呼吸を助ける新鮮な空気を供給するためとか。
「水やり」は場所や季節、土の湿り具合をみてすることが大事など。

昼休みの活動から放課後の活動へ、夏には合宿も…。
さてさて、三人の園芸少年は…。

(思った)

魚住さんいいなぁ。シンプルなのに、味わい深い。
三人の造形や掛け合いが、笑わせたり、しんみりさせたり、あれこれ考えさせてくれたり…。

BBが、なぜ箱を被って密かに登校しているのか。
大和田が薄い眉とズボンを落としてはいているのか、彼に付きまとう中学時代のツレたちとの経緯。
篠崎の日常や父との会話。

他におもったこと。
「育つこと」を新鮮な目でとらえ直したいなってこと。
育つことは「待つこと」でもあるんだなってこと。

何かが育つことは、本当は、とっても感動的なこと。
例えば粉みたいな種をまいて、何日も経過する。けど、芽は出てこない。
種蒔いて水やれば、簡単に出てくるはずななのに…。
やっと顔を出した芽は、目を凝らさないとわからないほど小さい。
その芽を、植え替えて花に育てる。この待つ時間と、育つ過程。
それに感動する彼らの感性。おじさんのボクは忘れがちだ。
育つ現場に立ち会うことで「育っていく変化」を心と身体が感じとって感動が生まれてくるんだなぁ。


花や植物だけじゃなくて、人が生まれて生きていくことも似ている。
がんばっても、失敗を繰り返す苦悩や嘆き。平凡でいやになるような、変化から遠いような日常。
待たされるのが嫌になるような時間の中に「育つこと、感動すること」の種は、ひっそりとあるのかも。

魚住さん サンキュ!二度読みしちゃったよ。


(魚住「直子著「園芸少年」講談社2009.8)


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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