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小説「新月譚」の感想の続編。


◆おもった①

「存在するのに見えない」


題名の「新月」は、そこに存在しているのに、見えない人の真実を象徴していると思う。

ヒロイン・咲良怜花がこんな事を言う。

「そうか、今日は新月なのか。…確かにそこにあるはずなのに、見えない月。まるでわたしのようだと思った」(P470)僕らは、「見えない月」そのもの。
そして「見えない月」を見落としがちな存在。

◆おもった②

「木之内徹という男」


とても、いい加減で女性にだらしがない男・木之内徹。
はたから見れば、いい加減。でも、怜花には、一番いい男なんだ。
それは、「新月」のように、誰も見えなかったコンプレックスの塊のような怜花を、見つけてくれた、ただ一人の男だったから。

◆おもった③

「大好きです!」


他の人たちの、本書の感想を読んだ。
好みが分かれている。それがいい。
僕は、大好きです!

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ページを繰る手が止まらない。
スリリングに変わっていくヒロインの背後に何が?

ジンジンとする、読後の余韻に言葉が出なくなる。
読書の面白さが、これでもかと迫ってくる傑作。

(ものがたり)

八年前、突然絶筆し、現在、57歳になった作家・咲良怜花を、26歳の若い編集者・渡部敏明が訪ね、熱心に復活をすすめる。彼女は、半生を語り始める。
なぜ、小説の作風が変わったのか。
なぜ、突然、絶筆したのか。
そこには、木之内徹との出会いと恋愛の顛末があった。


(おもった)

いろんなことを、いっぱい考えさせられた。

まず、人の出会いのこと。
この世界に一人だけでも、ここにいる自分を見つけてくれたらと思うことがある。
一生の間に、僕らは、どれだけの人と出会えるんだろう。
信頼する人にだけ見せる心の芯。その芯に触れられる出会いが欲しい。

咲良怜花と木之内徹の出会いは、お互いの欠点まで含めて、その芯に触れた希有なケースだと思った。徹に認められたくて、大きく変貌していく怜花の喜びや痛い心。
深く慕い合いながら、見えない部分を最後までかかえた二人の顛末…。切なかった。

自分も含めて、人は外見に惑わされる。その人だけが持っている面白さを見落とす。
ヒロインは、整形して外見を変えて行くが、その空しさに気がつく。

人の内面が、実は、こんなに起伏に富んで、広がりや豊かさを持っていることを、グイグイとつきつけてくる。
代えがたい愛する人が居ながら、時に他の人の魅力にゆれるヒロインの心情がリアルに描かれている。
合理と不合理、理性と非理性が同居する人間。どくどくと血が流れている人間の鼓動や呼吸の音が聞えてくるみたいだった。

560ページ、すべて面白い。
再読したい、希有な一冊。


(貫井徳郎 著「新月譚」2012.4 文藝春秋)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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