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 物語に出てくる、北村たちと話したい、つるみたい。
「味気ない砂漠のような暮らしを、どうやって面白くする?」
な〜んて話から、アホのてんこもり話まで、飽きることなくやれるかも。

◆ 東北の大学に入学して、出逢った5人。
物事に臆さないきまじめな西嶋、クールな美女東堂
冗談と女が好きな鳥井、スプーン曲げなど不思議な技を持ち麻雀の強い南
どこか醒めているように見える物語の語り手でもある北村。
その5人を軸に、春夏秋冬の出来事と卒業するまでの日々。
合コン、恋、ボーリング、強盗事件と鳥井の左腕切断とその心の彷徨と友人たちの関わり方
学園祭の出来事、将来の進路、社会の動きと自分の生き方なども…。

◆ 笑いと青春の物語に流れているハート。
それは「砂漠に雪を降らせる」という、一見突飛に
思えること。

暮らしの中にある不合理。
「ため息」「あきらめ」という心の在り方。

社会や暮らしの「砂漠」に対して、雪を降らせるような
人間の気概や誇りって何だろう?

「もしかするとあり得るかもしれない、もっと嬉しい現実。」
それを、人は作り出せるのかも…。

ゲラゲラ笑いの、物語にひたりながら
風味絶佳な水を飲む。
…うまい。


(伊坂幸太郎著 「砂漠」 実業之日本社 2005.12)


◆ 伊坂幸太郎の小説を映画化した作品。
家庭裁判所調査官をしている、真面目で几帳面な武藤俊介(坂口憲二)と、先輩調査官で無茶苦茶な言動の陣内達也(大森有朋)のハードな日々。

◆ 武藤が担当し、更正したはずの少女が、再犯して再び姿を見せる。再犯の理由を問われて、彼女は言う。反省したように振舞えば、調査官をだますのはわけないことだと。その言葉に落ち込む武藤。
一方、先輩・陣内は「人の人生の面倒が見れるか。仕事は、適当にやっときゃぁいいんだ」と言う。しかし、かつて担当し、更正した青年が働いている居酒屋に飲みに行った時、酔客たちが「青年の凶悪犯罪を更正させるなんて、奇跡のようなもんだ」と話している。その酔客たちに「俺たち奇跡を起こすんだっ!」と言い放ったりする。店の外に出て武藤と歩きながら、奇跡なんて起きるわけないだろうと、さっきと逆の事を言ったりするいい加減に見えるキャラだ。
一見すると、無頼にみえる、陣内に人を深く観察する眼が潜んでいる。カッコいいのだ!
「絶対だといいきれることが一つもないなんて、生きている意味がないだろう!」とも、言っちゃうのだ。ドラマは、銀行で武藤と陣内、書店で働いている青木美春(小森真奈美)が、お面をかぶせられた状態で強盗の捕虜になるところから始まる…。

◆ 家裁の調査官の仕事を舞台に「人間なんていい加減な生き物。嘘ばっかりだ。何やったってムダ!ムダ!」っていう声と「間違いはするけど、人間はまんざら捨てたものじゃない人は更正して生まれ変われるんだ!」という、人間をめぐる葛藤が、このドラマの芯を流れている。
型にはまらない、陣内の突飛な行動の面白さ。生真面目で落ち込みつつも陣内の影響をうけて直球で温かい目で子供たちにも、美春にも接する武藤の爽快さ。その武藤の諦めない姿に、眠っていた心の目を覚まして歩き出す美春。笑い、平凡に流れない仕掛け、胸に残る言葉の光…。伊坂ワールドを忠実に描き出した源孝志監督の爽快な作品。



◆ 仙台で、凱旋パレード最中の金田首相が、ヘリコプター型ラジコンによる爆弾で暗殺される。当日一緒だった、大学時代のサークル仲間・森田から、ケネディ暗殺事件で葬られた容疑者・オズワルドのように、大きな力に陥れられるぞ、逃げろ!と青柳は告げられる。
突然降りかかる首相暗殺犯の容疑。
青柳の穏やかだった日常が、命を懸けた、逃走と緊張の日々に変わっていく…。

◆ 全編に散りばめられた笑い。
恐怖と息詰まる緊迫感。
マスコミや権力への辛辣な批評。
気の利いた言葉たち。
読書の楽しさを堪能させてくれる傑作。

◆ 笑いあり、サスペンスありのハラハラワクワクの物語の芯に
「個人の日常と世界との繋がり」というテーマが流れている。
「個人的な生活と、世界、って完全に別物になってるよね。本当は繋がってるのに」という会話が出てくる。全く無関係なはずの首相暗殺の容疑が、ある日、市井の個人にふりかかり、周りの友人・知人・家族を巻き込こんで、日常を一変させていく。

◆ 繰り返し出てくる、大学時代の仲間・森田の言葉。
「人間の最大の武器はなんだか知ってるか?習慣と信頼だ」。
という言葉が印象的だ。
「日常の決りきった行い」という意味の「習慣」は「第二の天性」ともいうそうだ。習慣が個人にいかに沁みついているかが、作品の落ちにも出てきて笑えた。青柳が真犯人ではないと知人たちに思わせるカギでもある。
もう一つの言葉「信頼」はとても重要な言葉だ。青柳を取り巻く友人・知人・両親たちの彼への信頼が、絶望して諦めそうになる彼を励まし、逃走の力になっている。
それは、日常を支える力であり、日常を越えていく力にもなる。
「習慣と信頼」は反復と持続の中で、意志を育てていくチカラなんだろう。


◆「習慣と信頼という武器」とは「日常と世界を繋いでいく武器」でもあるんだなぁとも思った。

♪アオヤギさんからお手紙ついた〜♪

ってことでオススメ!

(伊坂幸太郎著「ゴールデンスランバー」新潮社2007,11)