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「バッテリー」の作者・あさのあつこさんの新刊。

舞台は昭和18年夏。嘉陽高等女学校三年生の四人組。小さな温泉旅館の娘・室生三芙美、のんびりやで物真似の得意な三島則子、料亭の娘で、高女のマドンナとよばれた美貌の高崎和美、美しい少年のような川満詠子の四人は、いつも一緒。

四人が集まる三芙美の家は、小さな旅館。母が苦境を救った男から、お礼にと母が内緒でもらった特上の布。それをを使って自分たちのためのブラウスを縫いあげる、そして四人だけでファッションショーをやろうと語り合う。モンペ以外禁止の時代に、それは四人の秘密の宝物になった。

この戦争は「鬼畜米英(【管理人注】⇒鬼・畜生のような人間に劣る敵国アメリカ・イギリスのこと。)からアジアを解放し、真に平和なる大東亜共栄圏をつくりあげるために尊い戦いを繰り広げているのだ。」(P7)と、正義の戦争だと信じながらも逼迫する暮らし。腹いっぱい食べてみたいという庶民の食料事情の一方で、上級軍人たちだけの秘密の宴会や、丁寧語が粗暴な言葉になってきた校長先生の訓話、飼い犬のゴンを、肉や皮革の増産のためと、泣き喚く妹の寿子から強制的に「畜犬の供出」をさせる隣組長の言動に、三芙美は矛盾を感じる。
モンペ以外の服が禁止される時代の中で、普通の洋服が着たいという願いを持つ三芙美は、夢や未来を描く自分は「非国民なのだろうか。」と悩む。

四年生になった彼女たちに「学徒勤労動員」の日が来る。三芙美、則子は被服工場、詠子は陸軍の造兵廠、和美は学校工場にと別々の場所での日々が始まる。親や妹と別れて、三芙美も泣きながら電車の人となる。

正月の三が日、久しぶりに再会した四人。三芙美は、三人が結婚式の時に着るドレスをデザインしたノートをプレゼントして、笑顔の再会になる。

戦局は悪化し、空を覆うB29の編隊、工場は全焼したため、歩いて郷里に帰り着いた三芙美は、和美と再会した。

昭和20年8月15日敗戦。

行方不明の則子と詠子も、きっと帰ってくる…。


思ったこと①
「困難な時ほど、夢を持って生きることが大事」ってこと。

三芙美のファッションデザイナーへの夢が四人でブラウスを作ったり、再会したとき、三人が結婚式で着るウエディングドレスのデザインした画をわたす。この場面がとってもいい。気持ちに灯が灯るってこんな時。

「現代(いま)の日本でたたかっている少女たちに、この物語を贈ります」(本の帯の作者の言葉)
作中の四人の姿に、夢を抱くことの素敵さ豊かさを感じた。大変な時ほど夢と友だちだね。

思ったこと②
「戦争の哀しみ」その哀しみの再来を、許してはいけないということ。国のために命を捨てることを強要された時代のことを描いた作品を「花や咲く咲く」というタイトルにしたこと。
この本の発行日が、終戦記念日の8月15日いうところにも、作者の願いを感じる。


これは過去の物語ではなくて、今の問題とつながっている。
今話題の「集団的自衛権」や憲法9条改憲の問題は、関心の有無に関係なく戦争につながっている道。
すべての個人の未来をどうするのかが、今日本人に問いかけられている現実。


(※【ちょいと脱線して、関連する他の本の紹介】 ⇒ 過去の世界中の「集団的自衛権が行使された歴史」は「違法な侵略の歴史」で、侵略の口実に自衛権が行使されてきたのが現実。苦い過去の経験から「武力行使は慎む」というのが、今の国際的な趨勢だという、侵略の道じゃなくて、日本しかできない国際貢献の道があると、持論を問いかけている。
 「集団的自衛権の深層」(松竹伸幸著 平凡社新書)侵略の実態を隠す「自衛権」という、言葉に騙されちゃダメだね。斬新で面白い本!オススメの一冊です!)

戦時下のドラマだけど、楽しそうに笑う彼女たちの顔が浮かんできた。
彼女たちの、抱く夢や友情の豊かさに胸が熱くなった。
こんな時代からこそ、豊かにしなやかに、夢と笑いを持って歩かなきゃね。

あさのさん サイコーだったよ!サンキュ!

(「花や咲く咲く」 あさのあつこ著 実業之日本社 2013.8.15)

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気持ちのいい場所・空間・居場所が欲しい。
みんなが、笑いあえる場所が、いっぱいこの世界に広がったらいいのに。
どうしたら、そんな人間の想像力とか、実行力とか、人がお互いを伸ばしあったり、育ちあったりできるんだろう。
この作品は、そんな問題も投げかけてくる。

◆(おはなし)
八頭森中学野球部の捕手・山城瑞希(やましろみずき)は小学5年生のとき、つれていってもらって魅せられた、甲子園に憧れる。しかし、小さな町の野球部には投手がいない。
エース候補だった峰岡豊志は、父の工務店の破綻により、借金を残して一家が夜逃げ同然にいなくなった。
その町に祖母と暮らすために作楽透哉(さくらとうや)が、親元を離れて別の街からやってきた。
彼が、ピッチャーとしてずば抜けた才能持っていることを、瑞希と部活仲間の田上良治(たがみりょうじ)は知るが、前の中学で、透哉はある理由から野球を辞め、不登校となっていた。
母のすすめで転校した、八頭森中学校にも登校する様子がない。
瑞希は、一緒に野球をしようと透哉を熱心に誘う…。

◆(印象的な言葉や思ったこと)
甲子園への強い夢を持つ瑞希。
その彼が、繰り返し語るキーワード。『しょうがない』。
その諦めの言葉に、足をすくわれたくないという思いが、印象的だった。


■『本気』と『しょうがない』について。

「…ほんとうの勝敗はどこまで本気で野球に関わりあえたか、『しょうがない』、あの便利な言い訳言葉を振り切って、どこまで喰らいついてついていったか、それで決まる。」 (P129)

■瑞希が透哉に語りかけるこんな場面。

「…甲子園で野球できるなんて夢の夢の夢かもしれんって。けどな、作楽、夢が現実になることってあるやろ。けっこう、たくさん、あるやろ。あると思うんや、おれ。最初っから諦めてたら夢は夢のまんまやで。…」 (中略) だいじょうぶだ。おれはちゃんと信じている。『しょうがない』に搦(から)め捕られてはいない。」 (P161)

■無力な経済の力で断たれた元のエース候補の部活仲間・豊志との突然の別れ。高校の統廃合の噂などに心揺さぶられながら彼は思う。 

「…負けたくない。運命とか現実とか得体の知れないものたちにも、野球の勝負にも負けたくない。『しょうがない』と諦めたくない。自分で自分をいなしたくはないのだ」 (P288)

◆ この熱い一直線の性格の瑞希のキャラクターに、遊び心を加味し、熱くなりがちな頭を冷やしてくれるのが、彼の部活仲間で理解者の、田上良治だ。
食いしん坊で、そつなく人と付き合いながらも、強情なところもある。
こういう奴、すきだな。

熱闘が繰り広げられる「未知の広場」である「グラウンド」。
野球に魅入られた瑞希たちの姿を描くことで、『しょうがない』を越えようと
命を燃やす姿が、魅力的で刺激的。


(あさのあつこ 著「グラウンドの空」角川書店 2010.7)

(物語)
◆ 人類の理想を実現したという未来都市《NO.6》。
しかし、それは、虚飾の都市だった。
ネズミと出会って、運命が大きく変化していく紫苑(しおん)。
表と裏の顔を持つ都市の奥深く潜入し、ネズミが仕掛けた爆弾に炎上する都市の矯正施設。
愛していた沙布と紫苑の別れの哀しみ…。
炎上する施設からの脱出をはかる二人。
《NO.6》の中枢は、激しく炎上し崩壊へとむかって揺れる。
二人は無事脱出できるか。
本にくぎづけの、クライマックスへ…。

(感想)
◆ あさのさんの作品で、一番好きで読み続けているのが、この「NO.6」シリーズ
「バッテリー」もいいけど、こちらも素晴らしい。
次回が待ち遠しい盛り上がりだ。
手に汗握る、ワクワクするストーリーも大好きだ。
そして、知恵と力のギリギリで生きようとする、様々な登場人物たち。
その生きざまから、紡ぎだされる言葉たちが新鮮で活きていて、印象に残る。

例えば、紫苑の無事と帰還を信じている母・火藍の言葉。
隣人・恋香は、帰宅しない夫を思って、心細さに大きく動揺する。
その娘・莉莉。二人のことを気遣って、その身を守りたいと火藍は思う。

「わたしには何ほどの力も備わっていない。この世界を変える力も、降りかかる災いを祓う(はらう)力も、大切な者を救い出す力も、持ってはいない。
わたしは微力だ。でも、無力じゃない…」(P67)

◆ この言葉を、読みながら思った。
自分の力が、たとえ微力でも尽くしたいと思う構えを持つ。
それを、積みかさねて一歩ずつ歩くこと。
そんな日々が「虚無」をこえて、人としての知恵と力を、生んでいく源になるのかもしれない。


(あさのあつこ 著「NO.6(ナンバーシックス)#8」講談社 2009.7)


「NO.6」は、あさのさんの作品の中で一番好きな作品だ。
この巻では、聖都市NO.6が抱える闇の場所である矯正施設。その地の底にやってきた紫苑・ネズミが、その創世にかかわった一人である長老の口から、NO.6が生まれてきたいきさつを聞かされる。理想都市を目指したはずだったものが軍備を備え、虐殺さえも侵してきたその歴史とは…そして、謎に満ちたネズミの過去…。

物語に出てくる印象的な言葉たち。それも魅力だ。 
例えば紫苑の思い…「自分に言い聞かす。信じろ。ぼくはぼくなりに力を蓄えている。自分を信じきれ。自己嫌悪に陥ることも、挫折感に浸ることも、容易くはあるけれど意味はない。自分を信じることは力だ。その力を糧として、武器として、乗り越えられる困難は数多ある。」(P14)
「自分で答えを探す。掴む。読み解く。たとえネズミであろうとも、他者は他者。他者の言葉に寄りかかっていては、真実は捉えられない。想像を超える現実と対峙できない…。自分で捉えるのだ。」(p17)。

ネズミの激しさ厳しさの中に流れる優しさ。強靱な精神力と行動力。彼はかっこいい!
 ネズミにあこがれ、未知の世界を知りたいと思い、狭い自分を乗り越えようともがく紫苑。共感し、応援したくなる。持ち味は違っても、NO.6に戦いを挑む、彼らの気合いが元気をくれる。悪態をつきながらも、彼らを応援するイヌカシも粋だ…。

新刊を読んだばかりなのに、続編が楽しみだっ。



あさのあつこの「バッテリー」も好きだが、個人的に一番好きなのは、「NO.6」だ。その作品に、ネズミと称される登場人物がいる。
クールで強くて逞しい、魅力的なキャラだ。

小説を離れた次元の違う話だが、ブルーハーツというバンドの歌に「リンダ、リンダ」がある。

♪ ドブネズミみたいに
       美しくなりたい
     写真には写らない
        美しさがあるから
           リンダ、リンダ… ♪


一見、非情で冷たいように見える、「NO.6」のネズミは「写真には写らない美しさ」を持ってる。「優しさ」「温かさがある」。
この歌はまるで「ネズミ」の主題歌のように聴こえるのだ。

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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