2017 / 08
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◆ 山の手の伝統ある女学校「聖マリアナ学園」が舞台だ。

そこは幼稚園から高等部まで同じ敷地にあり、大学もある。
1919年に修道女マリアナが開いた。この高等部が舞台だ。
良家の子女が多い学園の政治面を司る「生徒会」。
スター性を代表する「演劇部」に対して
敷地内の壊れかけた赤煉瓦ビルの3階に
異形のはみ出し者集団の部活動「読書クラブ」の建物がある。

 学校の出来事の正式記録「生徒会誌」には載らない、裏の学園の事件記録が「読書クラブ誌」には記録される。
この裏の記録を、ひもとく形でドラマが語られていく。
そして、女学校独特の同性へのあこがれが、物語の空気をつくっている。

①「烏丸紅子恋愛事件」(1969年度読書クラブ誌・文責 消しゴムの弾丸)
②「聖女マリアナ消失事件」(1960年度同誌・文責 両性具有のどぶ鼠)
③「奇妙な旅人」(1990年度同誌・文責 桃色扇子)
④「一番星」(2009年度同誌・文責 馬の首のハリボテ)
⑤「ハビトゥス&プラティーク」(2019年度同誌・文責 ブリキの涙)
という、年代を超えた「読書クラブ誌」に記された、五つの事件の物語。


◆ 登場するのはほとんど女性。
登場人物たちの名前が面白い、五月雨永遠(さみだれとわ)とか山口十五夜(やまぐちじゅうごや)など。
また他の作品とのリンクも興味深く読ませる。
(例えば①では、高等部から入学してきて、クラスメートたちから無視される烏丸紅子を、読書クラブの当時の部長・妹尾アザミが、彼女を学園の王子に当選させる参謀になり「紅子王子化計画」をデザインする。
その下敷きがフランスの戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」だということなど。
⑤の作品が、小説「紅はこべ」とリンクしているのも面白かった。)

読者を面白がらせる技術に、長けている作家だと思う。
この作品は、物語の深み云々ではなく、単純に面白く読ませる作品だ。
(哲学的な言葉も出てくるが、中心はあの手この手を繰り出して作品を面白く読ませる。
サービス精神旺盛な人だと思う。)
 個人的には、学園創設者の謎を描いている
②「聖女マリアナ消失事件」が面白かった。



(桜庭一樹著「青年のための読書クラブ」新潮社2007,6) 


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
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