2017 / 08
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◆中三から30代まで、音楽で駆け上がる夢を追い続ける三田村礼二や、バンド仲間だった春日航(わたる)。

中学時代から、ふたりのマドンナ的存在の松下梨央(りお)。

音楽と恋と友情に疾走する青春の日々。


◆(思った)
とにかくスピード感がある。
退屈させない。
「美味い!早い!血が沸騰する!」ってな感想です。
ボクもバンドを組んでたことがあって、音楽への思いとかステージでの高揚感だとか、
バンド時代が懐かしく甦ってきた。

作中で礼二が歌う「風の彼方に」みたいに、
人の魂に響いてくる命ある歌が、とても聴きたいなぁ…。

武士道シリーズの誉田(ほんだ)さんが放つ、わくわくと楽しい音楽小説。

(誉田哲也著「レイジ」2011.7文藝春秋)

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我が家の三重苦。
単行本は「置かない。置けない。買えない。」
この禁を破り…
書店で見つけて、血走った眼で「ファイト!いっぱぁぁ~つっ!」と
わけわからない奇声を発し、衝動買い・即読みという暴挙に走ってしまい
ど~でもいいような、この夏の思い出を作ってくれた、禁断のあは~んな(笑)一冊。

(お話)
◆ 「武士道・命」で、喫茶店の「メニュー意味がわからん」という、今時の高校生的時代感覚からずれた感性の磯山と、福岡南高校に転校した「お気楽不動心」こと早苗の高校生活最後の日々。

インターハイの団体戦で、二人の闘いがある。

磯山と福岡南高校の黒岩伶那との、個人戦決勝での鍔競り合いもある。

男子部で剣道をやっていた岡巧と(早苗の姉・ファッションモデル)の緑子との切ない恋もある。

磯山の通う道場主の若き日と、剣道への思いも出てくる。

そして、風変りな福岡南高校の教師・吉野正治が高校時代に、暴走族13人と決闘したことも語られる。

進学か就職かに迷う磯山。怪我をきっかけに剣道をやめ、自分の新たな生き方を探そうとする早苗。
さてさて、二人のあしたは…。


(感想)
◆ 磯山と早苗のインターハイの決戦が、唯一のメイン物語になっていないところがいい。
早苗が最後の試合を前に、大きなけがをする。
人生、いろんな事態が出てくるなぁ。

今回はヒロイン二人を取り巻く、周辺の人たちの日々が語られて
物語に奥行と、緊張と、程よい味わいがでている。
読むほどに気持ちいい。

◆ え~。ぶっちゃけた話が…。
あぁ!またこの人たちに会えた。
そんだけでいいんだ!(笑)
書店で見つけて!

直ちに!いますぐ!急いで!でも味わって!読むぞ読むぞっ!
っと、それしか思わんかった。
ボクには、そんな本っ!

◆ おまけに、も、ひとつ。
冒頭と最後に言葉がある。「こじつけ」で勝手な深読みをする。
「あの人も、きっと同じように、険しい道を歩み続けている」っていう言葉。
これは、物語的には磯山と早苗という、心が通いあった二人の心情に寄り添った声。

でも同時に、本当の生き方を探し続けて、あたふたジタバタしているかもしれない読者の誰かの日々。
そんな誰かに、語りかけている言葉でもある、のかもしれない。

◆ 三冊目のシリーズなので、以前ここに書いた
「武士道シックスティーン」「武士道セブンティーン」
の感想も見てくれると、うれすぃ~。

あ~好きな本を読むと、アホの本性が出てしまう…。

(誉田哲也著 「武士道エイティーン」 2009.7 文藝春秋)



いつもながら主観的読み方なのだ。
今回、ずんと来たもの。それは「意味のある負け方について」。

(お話)
◆両親の復縁、父の就職で、九州福岡に転校する西荻(甲本)早苗。
転校先では剣道をやめ、日本舞踊をするとの別れ際の言葉にショックを受ける磯山香織。
実は、九州の強豪高校に転校して剣道を続ける早苗。
だが、転校先の部の練習方法や、同じクラスの部員・黒岩伶那(レナ)の
「剣道競技化」論の考え方に違和感と居心地の悪さを感じる。

一方、東松学園高校女子剣道部の磯山は、早苗や上級生の抜けた後を埋めようと奮闘する。
なれなれしいが憎めない後輩、田原美緒。中学で一緒だった清水が付きまとったり…。
時代離れした言動ながら、まっすぐな磯山の日々が楽しい。
そして「お気楽不動心」のはずの早苗が、新たな土地で、悩みながら歩き方を探していく。
剣道を通して交差し、刺激しう二人。
さてさて…。

(思ったことなど)
◆ とにかく好きだ。波長があう作品。
笑いまくりながら、剣道を通して羽ばたこうとする二人が好きだ。
早苗の好きな作家は森絵都らしい。
剣道の試合の場面では、自分が竹刀を握っているような気分になる
後輩・田原美緒や、清水と磯山のかけあいも面白い。
最後の早苗とレナとの決闘も手に汗握る。

今回、胸にずんときたのが「意味のある負け方について」。
横浜市民秋季剣道大会で負けた早苗。桐谷に指摘された弱点を実践で試そうとして敗れた。
「結果は失敗。でも、この失敗がいいのだと、早苗はいう。」(270)
そして磯山。インターハイで強豪福岡南高校の西木に敗れるが、破れたことを次につなげる。
相手の「背中は見えた。この手応えは大きい。」(197)と。


この二人の何気ない共通。次に勝つための「意味のある負け方」じゃない。
次も、負けるかもしれないとしても…。
今日を明日につなげていく、学びのハートって元気をくれるってことだ。
物語の脇道のひとコマかもしれないけど、好きなのだ。

…ってことは、おくとして。
面白い!おすすめのイッサツ!

(誉田 哲也 著「武士道セブンティーン」2008,7文藝春秋)


(お話)
◆ 日本舞踊をしていたが、わけあって雰囲気に惹かれて三年前から剣道を始め、勝敗への
こだわりのない、おっとりしたタイプの西荻(甲本)早苗。
 幼い頃から、道場に通い、昼休みは片手に鉄アレイを持って鍛錬し、片手に武蔵の「五輪書」の文庫本を持って愛読するなど、剣道漬けの日々を送る磯山香織。
彼女は、剣道全国中学二位の実績を持ち知られる実力者。
 ところが、腕試しに出た小さな大会で、名も知らない相手に負ける。
それが西荻。
リベンジを期して、スポーツ特待生の誘いで東松学園女子部の高校に入学する。
部で再会して、負けた西萩と手合わせするが、なぜ負けたのかわからないようなタイプの選手。
あっさりと磯山が勝つが…。

交互に、違うタイプの二人の語り口でドラマがすすむ。
笑いと、剣道と人生の意味を考えるマジな味も程良くブレンドされた爽快な一冊。

(思ったことなど)
◆ 一番印象的だったのは、勝敗にこだわり続けた磯山が、何のために剣道をするんだろうと
悩んで、周囲の人の言葉や姿に目を開いていく。
そして到達する思いの大きさに読んでいて、ジ~ンとする。
 曰く、デカい魂を持って「デカい剣道をやりたい」(P333)と。
それまで、こだわりまくっていた勝ち負けとか、兵法じゃなくて
これからは「武士道」でいくんだと香織は言う。
(父が武士道の本筋として語った言葉。
「集約すれば、世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らない…社会に生きる人間とは、そうあるべき者だ。…人は誰も、一人では生きられない」(P315~316)が彼女の思いの底にある。)
そんな風に、武士道の普遍的な面を語った父。(ボクはすべてが普遍的とは思いませんが。)
勝敗や兵法にこだわって、周りの人がすべて、敵に見えていた過去の香織。
彼女が、そんな古い自分を抜け出して「大きな剣道」を目指す宣言をする。
言い換えれば「大きな生き方」に向かって一歩踏み出すことだと思った。

「大きな生き方」って何だろうとここを読みながら思ったりした。
香織はこんなことばかり考えているわけじゃない。
そのキァラは、コミカルに誇張されていて何度も笑った。

 香織の言葉を読みながら、この前のオリンピック報道を思い出す。。
競技の内容や選手の精進より、メダルをいくつとれたかが、報道の中心のようだった。
そして、日々の暮らしでは、勝った負けたの価値観が大きな顔をしている。
そんな姿勢は「大きな魂をもった生き方」といえるんだろうか?
香織の到達した「大きな剣道」をするという思い。
武士道風に言えば(笑)「心して聞く」に値する言葉だなぁ~と思った。

 そして、西荻早苗に、事業に失敗した父が語る。
勝負はどんな場合もついて回るけど、負ける不安に打ち勝つ方法は
「それが好きだっていう気持ちを、自分の中に確かめるんだよ。」(P280)という。
勝つとは限らないけれど、それを乗り越える力は「好きかどうか」好きなら負けても失敗してもいい。 何かを好きになる。夢中になる。その気持ちがあれば、勝負なんて怖くないんだと。

共感した。理想のない生はつまらんもん。

◆ …っていうような、二人が考えた、マジなテーマも散りばめつつ、時代がかった言動の磯山と、ほのぼのキャラで大好きな剣道に独自の価値観で付き合っていく西荻。
対照的に見える二人が、剣道でも生きることでも交わり、素敵なツレになって、ライバルになっていく。
笑いもてんこ盛り。爽快痛快な一冊。

「武士道セブンティ-ン」という二冊目がでているらしい。
「続編も読もうゾッ!
 ウム!望むところダッ!」 
ってなことを、イマオモッテオリマス。
(笑)

(誉田 哲也著 「武士道シックスティーン」 2007,7文藝春秋)




本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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