2017 / 08
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「ボックス!」の青春小説の熱さや「永遠の0」で平和への一途な人間を描いた百田さんの、書きおろし小説。


◆ 自分の容姿を「畸形的醜さ」と表現する田淵和子。
幼いころ、身を呈して守ってくれた「高木英介」のことを、ナイトとして心に刻む。
小学校の頃は「バケモノ」「怪物」「ブルドック」等と呼ばれ、友だちもいない。

高校で再会した英介は、田淵のことを覚えていないが、彼女はときめく。
しかし、思いを告げることも、手紙を渡すこともできない。
悩んだ末に、英介の目が見えなければ、外見は問われず、献身的に、彼に愛をささげることができると考える。
彼の失明を意図して行動するが、露見し、和子は「モンスター」と呼ばれるようになる。

その後、家から追われるように東京の短大に行き、祖母の養子として新戸籍をつくり、「鈴原未帆」に改名する。珍獣扱いされる短大時代の合コン。容貌の美しさが「善」「力」「勝利」だと思い知らされていく。
工場で働いていた24歳の時、二重瞼の整形手術を受ける。
やがて、やっと雇われた風俗店で金を貯める。
そして目、鼻、口等何度も整形手術を繰り返す。
そして「腰を抜かすような別嬪」「絶世の美女」と形容される容貌の女性になる。
風俗店で貯めた資金で、生まれ育った街にレストランを開く…
やがて、英介と再会するが…。

◆ これは、ホラーではない。
自分に苦痛を与えた者への復讐物語にも、とどまらない。
英介に犯した蛮行の奥に、深い純情と愛情が秘められている。
モンスターと呼ばれた容貌の奥に、切なく哀しく切実な思いがある。
自分の容貌を、金にあかせて変えていく行為の中にも、一人の男への思慕が秘められている。

整形手術の凄まじい場面。
美しいとか、醜いって何だろう。
改めて考えさせる物語。

(百田 尚樹著 「モンスター」2010.3 幻冬舎)


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 司法試験に落ち続けているニートのような佐伯健太郎(26歳)は,
フリーライターの姉・慶子(30歳)から、特攻隊で敗戦直前に死んだ
「最初の祖父・佐伯久蔵」(祖母・松乃はその後現在の祖父・大石賢一郎と再婚)
のことを調べたいので、手伝ってもらえないかと話を持ちかけられる。
 そして、戦場での、祖父・佐伯久蔵を覚えている元兵士たちに会って話を聞く。
軍隊に身をおきながら、妻のために「生きて帰りたい」と言い続けたらしい祖父。
ある者は「臆病者」と呼び、ある者は彼こそ生きつづけて欲しい至宝だったという。
隊の下の階級の者とも優しく語ったり接し、高い飛行技術で、ざまざまな戦場を
生き抜いていた久蔵が、なぜ特攻隊で最後を迎えたのか?
明らかになってくる真実…。

◆ 宮部から受け取ったもの。
 戦争という冷酷な非日常の中でも、逞しく死ぬことじゃなくて
愛する人のために生き抜きたいと、人としての日常を、できる限り貫こうとする生き方の、
勇気と愛が印象的。
それだけに、使い捨てのように命を軽く扱い、無謀な作戦で部下を敵に突撃させて犠牲をだした、戦争の愚かさが悲しく胸を衝く。

宮部の姿は、非日常の世界にあって、人を本気で愛するという日常を持ち続けようと、知恵と勇気を振る絞り、本気で自分の頭で考えようとした一人の男の物語でもある。
宮部の生き方の、深さ大きさに胸が熱くなった。

戦争の哀しみや狂気。
二度と繰り返してはいけないんだなぁと、心から思った

孫の健太郎や慶子が 戦場での祖父のことを知っっていく物語。
それは、時を越えて、祖父たちから受けとる新しい愛と生の物語。


(百田尚樹著 「永遠の0」 太田出版 2006.8)

◆ 高校ボクシング部を舞台に、天才肌のボクサー鏑矢。
その友人で秀才だが、ひ弱に見えた木樽。
彼もある出来事を境に、ボクシング部に入部し、トレーニングを地道に積み重ねていく。
部の監督などの指導も受けながら、やがて眠っていた才能が目を覚まし、逞しく変貌していく。
強くなるほど過酷になるというボクシングの世界で、対照的な二人を中心に、ボクシングに魅入られた人たちが出会う。そこには、失意、自信、恐怖、勇気、諦め、執念など、心や肉体の逡巡の物語が、リアルに展開されていく。
友情と恋と、マネージャーの丸野の病死と部員への思いなどに熱くなり、ボクシングの戦いの場面の迫力に、ワクワクものの一冊。

◆ 物語の面白さは、なんと言っても、人間の様々な迷い、矛盾、生き方をめぐる逡巡が、どんな風に描き出されているのかだと思う。
この物語は、登場人物それぞれに、そのあたりが描かれている面白さもある。

部の監督・沢木。顧問の耀子。鏑矢が以前から出入りしていたボクシングジムの曽我部。
病気の重さを伏せて部のマネージャーとして部に溶け込む丸野。
など、三人をとりまく人間像も描きこまれている。


◆ 鏑矢と木樽。その対照的に見えるキャラクターの面白さ。
鉄壁の強さを誇る二人のライバル・稲村。それぞれが違う味でカッコイイ。
三人の「死闘」を思わせる格闘場面は読み応えがある。
読んでいると、彼らの汗が、こちらにまで飛んで来るような迫力があった。
その試合に至る前段階の鏑矢には、ボクシング継続への迷いや、丸野の死を前にした、心の痛みが切なかった…。

585ページという厚さを感じさせない、圧倒的な面白さがギュッという一冊。

◆ 本読み友だちnaruさん(左下「待ち合わせは本屋さんで」)のお薦めの一冊。
面白かった~。サンキュ!


(百田 尚樹著 「Box ! (ボックス!)」太田出版2008.7)



本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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