2017 / 04
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昨日「中日新聞(東京新聞)」が天童荒太さんの「悼む人」を取り上げて、社説を
載せていた。いい文章だった。

中に、こんな言葉があった。

「有り余るモノと情報に惑わされ、私たちは『個』を過信し、『孤』に傾き過ぎたのかもしれません」

「自立して個を確立する」のは「孤立」に行き着くためじゃなくて、人が心をかよわせるために、大切なものだと思う。
医師の鎌田さんの言葉だと「いいかげん」(「程よく生きるための かげん」のこと?)な「自立」と「交流」の、程よいバランスって奴が人には大事なんだ…。 
うん!きっと。

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今朝のTVの番組で「悼む人」の作家・天童荒太さんが出ていた。
この作品を書いたきっかけは?との問いに、前作「永遠の仔」に寄せられた読者からの声を聞いて、その重さを感じた。そこに目には見えないけど、表には現れない「傷」を抱えて生きている多くの人がいる、と感じたこと。その人たちの立場で作家として生きようと思ったという主旨を語っていた。

日々生きている、ボクラの日常。
目の前のことに追われて、想像力を巡らすことを、つい忘れそうになる。
心しなきゃ…。

後半、彼は、僕のように恵まれた物書きはいないと思う、と言っていた。
これからも、天童さんらしい作品を読ませて欲しい。
わくわくした、いい時間だった。



嬉しかった~。
天童さんの作品が、直木賞をとった。
昨年読んだ本で、ボクの中のダントツのオモシロ本だった。
「生きること」のエキスが詰まっていると思った。
天童さんだから、書けた作品なんだと思った。

今朝の新聞欄に、以前の自分の作品に寄せられた5000通の手紙を見て
「何でも書ける作家であることはやめ、傷を受けた側に寄り添って物語を
作ると決めた。」と紹介されていた。

また「いい小説には、作家の意識を超えて同時代の人の希望や怒りが
入っているはずです」という言葉も…。


まさに、彼あってこそ書けた、読み返したくなる本!

自分のことみたいに、嬉しいぞっ!

強烈な一冊だ。
◆ 坂築静人は死因に関わりなく、等しく死者の現場を訪ね歩き悼む旅を続ける。
彼は死んだ人のことを問う。
「この人は誰に愛されていたでしょう。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょう」と。
 周囲は、静人のことを、変人扱いしたり、不審者として保護したり、宗教がらみの行動と見たり、露骨に避けられたりもする。
幼いころのヒヨドリの死、亡くなろうとする祖母が残した「覚えていて」という言葉。
死んだ親友の命日を、多忙さ故に一瞬忘れたことを許せない自分。
そんな出来事を経て、仕事をやめ家を出て野宿しながら、全国を旅する静人。
プロローグで、彼に出会った女性が言う「<悼む人>は誰ですか。」

 マスコミを渡り歩き、残忍な殺人や男女の愛憎がらみの事件の記事を得意とする契約記者「エログロ」の蒔野抗太郎。「エグノ」と呼ぶ者もいる。
 静人の帰りを待つ家族、そして特に、母・坂築巡子が末期癌の終末を在宅で迎えようとする姿は鮮烈だ。支える夫や娘もすごい。
  そして、やっとめぐり合えたと思っていた愛していた夫を殺して、出所した奈義倖世
彼女は、静人の「悼み」の姿と理由が気になって、彼の旅について歩く。

この三人と静人。その過去と現在が描かれていく。
「悼む人」とは、誰なのか?

◆(感想のような…) 死者を悼むという話なのに、読後には、ほんのりとした優しい思いが残る。
でも、決してホンワカとした物語ではない。むしろ心の中が掻き回されるようだ。
小説の中の登場人物たちの生き方が、こちらをぐいぐい引き付ける。
彼らの言葉が、胸に食い込んでくる。
次々と心に湧いてくる問いや心の会話…。何て本だと思う!

誰しも、別れていく運命にある、人の生は哀しい。
でも、それは「かけがえのない」生の時間。そんな作者の思いを感じる。
誰かを愛すること、誰かに愛されること、誰かに感謝される瞬間がもてること。
それは、当たり前じゃない命の時。

 自分自身の生を、あらためて問い返させ、心に食い込んでくる物語…。
読み終えて、大きく息をつかせる強烈な一冊。

(天童 荒太著 「悼む人」 2008.11 文藝春秋)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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