2017 / 06
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◆「芝浜」「文七元結」の作者で、落語の伝説的名人・三遊亭円朝。
江戸と明治の時代を半々に過ごした生涯、その生きざま。
そして、彼にまつわる女性たちの姿を、古い弟子の八が読者に語って聞かせる五編の物語。

其の一「惜身(あらたみ)の女」
其の二「玄人の女」
其の三「すれ違う女」
其の四「時をつくる女」
其の五「円朝の娘」


5編に、人情噺があり、落とし噺であり、艶噺でもある。
万華鏡のように、豊かで上質な続きものの落語を聴いているようだった。
そう来たかという、最後のさげも効いている。
浸りきって、抱かれて読んだ。
いい噺聴いたなぁという読後感。
あれこれと、ここに書くのが野暮に思えてくる。
嬉しくて、二度読みした。
読んでから落語「芝浜」を聴いた。

「お見事!」に尽きる。

(松井 今朝子著 「円朝の女」 文藝春秋 2009.11)

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◆ 初代・中村仲蔵の生涯を描いた作品。
孤子(みなしご)だった彼は、長唄唄いの中山小十郎と、踊りの師匠の志賀山おしゅん夫婦の養子になる。
養母は、仲蔵に夢の中に出てくるような厳しさで踊りの稽古をつけた。
芸人だった養父母の縁で、芸名をもらい子役として当時の歌舞伎小屋の一つ「中村座」の舞台を踏む。いったん、金持ちに見受けされるように
役者の世界から身を引き、養母の愛弟子のおきしと夫婦となる。その後相次いで養父母が亡くなる。仲蔵は三年のブランクを経て19歳で芝居の世界へ復帰する。
帰り新参の身のため、給金も身分も役者の最下の序列「稲荷町」からの出発となった。
付き合いの悪さやひがみもあり、同じ身分の者たちからの集団リンチにあって絶望して、身投げして自殺を図るが、芸事が好きな武士・三浦庄司に救われる。
経緯を聞き、彼は仲蔵に言う。「断じて嬲者(なぶりもの)になってはならぬ」と。
その後、彼は小さな役・定九郎を演じることになる。
「端役にもそれなりの人生がある」(136)と仲蔵は考えて、衣装も演技もある工夫をする。観客は度肝をぬかれうなり声をあげる。それが彼の人気を押し上げる…。
他人から「人間が甘い」と言われながら、地位の頂点よりも、役者としての生き様を持ち続けた、初代・中村仲蔵を描いた作品。

◆「中村仲蔵」は、落語の演目にあって、三遊亭円楽や林家正蔵(先代)の噺を聴いたことがある。
江戸の世に実在した歌舞伎役者の人情噺だ。
その名前に興味を覚えて読んでみた。

思ったことは、彼が権謀を図らない、優しい人物像として描かれていたこと。
命の恩人で、晩年近くまで続いた三浦庄司との関係。
その言葉を胸に、役者魂をつらぬいた仲蔵の歩みが印象的だった。
人にも運にも恵まれ、衣装や演技に工夫を施したり磨いたりして、芸の花を開かせたスーパースターがいたこと。
当時の歌舞伎小屋の仕組み、世相や風俗も巧みに描かれていた。


(松井今朝子著「仲蔵狂乱」講談社文庫2001.2)



本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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