2008 081234567891011121314151617181920212223242526272829302008 10
読み終えて、感動に胸が打ちふるえた
……など、とういことは まるで無い。
あるのは、よく、こんな阿呆な小説を書けるものだ(誉め言葉でっせ)、そして、読むものだってこと。文中に頻繁に出てくる「阿呆の血」が、作者に書かせ、ボクらに読ませるのだろうか?

「阿呆の血を引く四兄弟」と母の五狸の家族がいる。
兄弟のある者は蛙になって、井戸の中で引きこもる生活をおくる。長兄はここ一番でプレッシャーに弱くパニックになる。末っ子はすぐに化けの皮がはがれる気の弱さ という具合の家族たちである。

物語は、狸界の名誉職的な色彩の強い「偽右衛門」の座。偉大だった父・総一郎がつとめていたこの名跡だが、その父は、狸鍋としてあえなくこの世を去り、跡目を巡って、四兄弟の長兄・矢一郎 VS 父の弟・夷川早雲 の熾烈な跡目争い。勝利を得ようと夷川家が巡らす策略にひっかかり、矢一郎たち一家は大ピンチ。一家の運命やいかに!!
狸・天狗・人がいりみだれて巻起こす、はちゃめちゃ阿呆ストーリー。

それにしても…最後まで顔を見せなかった主人公・矢三郎の元許嫁の狸「海星」の姿を一目見たかったなぁ…まぁ いいか。

「面白きことは良きことなり」と言った父・総一郎の最後の言葉が、そのまま読んだ感想。
内なる阿呆の血が騒いだ一冊。
最後に、ここまで読んで下されたあなたに贈っちゃおう。
この物語の緊迫した会議?の冒頭、集まった狸たちに厳かに告げられた、
ありがた〜い 「へそ石様」 からのお言葉。
「だんだん寒くなってきたゆえ、風邪ひかんように。風邪は万病のもとだゼ!」(P232) 
ってことで さんきゅっ!
 

森見登美彦著「有頂天家族」(幻冬舎・2007発行)