2017 / 10
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◆ 「祭りのあと」という歌があった。
にぎやかな祭りの後の寂しさを歌っていた。
今年も行けなかったけど、気になる夏の祭り、岐阜県郡上市八幡町の「郡上踊り」の「踊り納め」の記事が今朝の新聞に載っていた。この踊りの季節が過ぎると
今年も夏が終わったんだなぁと思う。

◆ 今日読んだ「宵山万華鏡」は、祇園祭の宵山の賑わいを描き出している。
賑やかだから、哀しさが沁みることがある。

六つの物語「宵山姉妹」「宵山金魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」「宵山万華鏡」
は、賑やかで明るい「祭り」の、妖しくて幻想的な一面。
そして、暗くて寂しい顔が同居していることも見せてくれる。

ある物語は、ばかばかしく無意味で、ただただ笑える。
ある物語は暗く哀しい。
そこには、賑やかな祭りと忘れられない哀しみが同居する日の出来事が描かれている。

◆ 15年前に、突然、失踪した娘を思う父親の姿や、賑やかな祭りの日、喧噪から離れた鞍馬で倒れて、逝ってしまった父のことを思い出す息子が描かれる。賑やかな祭りの季節が、哀しみの思い出の日だ。彼らには、毎日が宵山の日の繰り返し…。その「宵山回廊」は、前の二作と、表情がガラリと変わる。
前の二作は、高校以来の同級生が、偽の祇園祭をでっちあげて友達をかつぐという、とことんバカバカしい話だ。(「宵山金魚」「宵山劇場」)。
その後の作品だけに、その哀しみが際立つ。
最後の「宵山万華鏡」は、幻想的な祭りのイマジネーションが詰まっていた。

◆ 古都の夏を彩る祭り「宵山」の様々な表情。
「万華鏡」を覗くような、多彩な六つの物語。



(森見登美彦 著「宵山万華鏡」集英社 2009.7)



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◆ 京都の大学院生・守田一郎は教授の指示で、能登でクラゲの研究をするため「能登鹿島臨海実験所」で日々を過ごすことになる。
あまりの寂しさに、京都で係りがあった人たちに、手紙を書きまくる。
三枝麻里子に恋して「おっぱい病」に取り付かれる友人の小松崎友也
大学院での女帝・大塚緋沙子
家庭教師として教えたことがある小学4年生の間宮少年
作家・森見登美彦。妹・
一郎が恋する女性・伊吹夏子
その彼女に、書いても書いても、出せなかった、恋文の失敗書簡集もでてくる。
一郎が書いた手紙のみで構成された、書簡体小説。
手紙を読み進みながら、彼や周囲の人物像が見えてくる。
メール隆盛の現代において「手紙」って何だろう?と思ったりする。
一郎の「恋文の技術」は上達するのか?

◆ 「ひぃ~ひぃ~」笑いながら読んだ。読書場所を選んだほうがいいよ!
この本!
手紙文体の制約のなかで、最後まで、とても楽しませてくれた。
つっこみ所や、笑いの仕掛け満載の一冊。

◆ 最も好きなのは、友人小松崎の「おっぱい病」(詳しくは本文を。)を治そうとして、一郎と彼は、
人気のないはずの夜の大学の研究室の壁に、密かにプロジェクターで、おっぱいを拡大して映し出す。それを凝視することで呪縛から解放されようとする。
…が、解放されるどころか、逆におっぱいに取り付かれ、一郎は「おっぱい万歳」と呟いてしまう。
そんな姿を、森見、間宮少年、三枝麻里子、妹・薫、一郎が恋する伊吹夏子らのメンバーに、室の後ろから見られてしまい、二人は衝撃をうける。

一郎は、投函しなかった、伊吹夏子への失敗書簡集の恋文の中で言い訳をしている。
あれは、小松崎の悩みを解決するためにやったことで、自分が呟いていたのは
「おっぱい万歳」ではなく「おっぱい断罪」だった。
…とか間宮少年には、壁に写していたのは、おっぱいに似ているが、クラゲの一種であると
手紙に書き、少年から嘘を指摘されて謝る。

そんなこんなの、一郎の「文通長者」状態の日々のなかから見えてくるものとは。
全編に流れる笑いとともに、第十二話「伊吹夏子さんへの手紙」は心にジンとくる。
この世で一番美しい手紙」についての記述は、とっても好きだ。


(森見 登美彦著 「恋文の技術」 ポプラ社 2009.3)

読み終えて、感動に胸が打ちふるえた
……など、とういことは まるで無い。
あるのは、よく、こんな阿呆な小説を書けるものだ(誉め言葉でっせ)、そして、読むものだってこと。文中に頻繁に出てくる「阿呆の血」が、作者に書かせ、ボクらに読ませるのだろうか?

「阿呆の血を引く四兄弟」と母の五狸の家族がいる。
兄弟のある者は蛙になって、井戸の中で引きこもる生活をおくる。長兄はここ一番でプレッシャーに弱くパニックになる。末っ子はすぐに化けの皮がはがれる気の弱さ という具合の家族たちである。

物語は、狸界の名誉職的な色彩の強い「偽右衛門」の座。偉大だった父・総一郎がつとめていたこの名跡だが、その父は、狸鍋としてあえなくこの世を去り、跡目を巡って、四兄弟の長兄・矢一郎 VS 父の弟・夷川早雲 の熾烈な跡目争い。勝利を得ようと夷川家が巡らす策略にひっかかり、矢一郎たち一家は大ピンチ。一家の運命やいかに!!
狸・天狗・人がいりみだれて巻起こす、はちゃめちゃ阿呆ストーリー。

それにしても…最後まで顔を見せなかった主人公・矢三郎の元許嫁の狸「海星」の姿を一目見たかったなぁ…まぁ いいか。

「面白きことは良きことなり」と言った父・総一郎の最後の言葉が、そのまま読んだ感想。
内なる阿呆の血が騒いだ一冊。
最後に、ここまで読んで下されたあなたに贈っちゃおう。
この物語の緊迫した会議?の冒頭、集まった狸たちに厳かに告げられた、
ありがた~い 「へそ石様」 からのお言葉。
「だんだん寒くなってきたゆえ、風邪ひかんように。風邪は万病のもとだゼ!」(P232) 
ってことで さんきゅっ!
 

森見登美彦著「有頂天家族」(幻冬舎・2007発行)


本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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