2008 / 11
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◆ 秋をテーマにした、四季の連作集の三巻目。
いつもながら、心地いい、しみじみと人生に向き合わせてくれる重松エッセンスがた~っぷり。
「思い出」の歓びやほろ苦さのこと。
「人のかっこよさってなんだ?」「幸せって?」いうテーマが、物語の底をじんわり流れている。
紅葉や秋の味覚を味わいつつ読むのに、この時期にピッタリだよ。

特に印象的だった二話をあげれば。

◆「第二話 サンマの煙」

 引越で転校を前に、以前の学校の思い出に浸っている四年の娘・真希に、かつて、同じ年頃に海辺の田舎町に転校したママ・玲子が語る引越し体験談。
 前の学校の友だちの思い出と、理不尽に転勤させられた父を応援したい心情もあって「なじまない、無愛想ないやな奴」を転校先で演じて通そうとするが、玲子にニコニコと話しかけてくる同級生・エッちゃんがいた。その哀しみ。時化で帰らない漁船に乗っいて、帰船が遅れている兄の無事を祈る思い…。
最後に出てくるサンマが絶妙。そして美味そう(笑)。
「風の又三郎」にでてくる歌も効果的。

人の心の奥深さや、友だちの存在を思う。

◆「八話 ウイニングボール」
 試合中の、大人の草野球チームパイレーツにバックネットの裏から松葉杖をついた少年・ヨウヘイが「へたくそっ!」の猛烈なヤジ。特にチーム唯一の独身の27歳の三塁手のツルに辛らつな…。

草野球チームのメンバーたちと、ヨウヘイとの交流に胸がキュッとする。連戦連敗をものともせず、試合後の飲み会を楽しみに集まっているパイレーツのメンバーたちだったが、難しい手術にむかうヨウヘイに、初の一勝目のウイニングボールを渡したいと全力を尽くす。ツルがヨウヘイから受け止める「必死のタネ」もいろいろなことを、感じさせる。

他に「オニババと三人の盗賊」「風速四十米」「ヨコヅナ大ちゃん」「少しだけ欠けた月」「キンモクセイ」「よーい、どん!」「おばあちゃんのギンナン」「秘密基地に午後七時」「水飲み鳥、羽ばたく」「田中さんの休日」

(重松清著 「季節風・秋 少しだけ欠けた月」 文芸春秋 2008.9)




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◆「チーム・バチスタの栄光」以来、久々に読んだ海堂さんの小説。

◆ 大学医学部の剣道部で大会の優勝旗を目指す部員たちの青春群像。
特にライバル校として東城大学と帝華大学を描いている。
9章の両校の戦歴に焦点を当てた前半は、物語の起伏が軽い第一波という感じで読んでいて物足りなかった。
本当に面白く読んだのはそれ以降の章で、両校のライバル二人に焦点が絞られていくところから。
二人とは、東城大学医学部剣道部の生真面目な部長速水晃一と、一見すると軽薄に見えるが、実は繊細な帝華大学医学部剣道部の清川吾郎。
さてさて、どんな物語に…。


◆ (感想らしきもの)
清川吾郎がちょくちょく呟く「天ってヤツは、どうしていつも僕に辛くあたるのだろう」に笑ッタ。
自分も、ときどき同じことを思うのだ(笑)。
さて一番の感想。ライバル二人のことを読みながら、自分を「覚醒」させてくれる存在って貴重だなぁってこと。例えそれが、気の合う相手じゃなくても。
そんな風に思いたい。自分にないものを他人は持っている。

題名の「ひかりの剣」の「ひかり」は、登場人物・朝比奈ひかりからつけたと思った。
でも違っていた。
この物語では「剣道」という人生の一つの場面を光らせてくれるライバルの存在。
それが剣道に取り組むものに「ひかり」のアクセントをつけてくれる。
そのことを題名にしているみたいだ。

(海堂 尊著「ひかりの剣」文芸春秋2008.8)


◆ ここのところ、仕事でへろへろで、ブログが週刊誌化しております。
コメント返信遅れてスマヌ。

◆ 暗さを忌避して明るさを求めるのは、生きている本能のようなものかもしれない。
でも、実は両者は一人の人間の中に同居していて、相互の程よい溶け合いが、人をふくよかにしていくのかもしれない。
 倉本聰脚本のTVドラマ「風のガーデン」を観ている。
ドラマの行方が気になって、出演者の表情を思い浮かべながら、脚本を読んだ。

◆ 国際化や情報化が進み科学が発達しても、個人という人間の肉体・命は、限られて
ただ一つだけ。そして血の通った「生身」がポツンとひとつ、この世界に生れ落とされる。
巡ってくる季節や花々の渦の中に身を置いて、自分の外界も見つめる。
思いがけない「出会い」「喪失」に喜怒哀楽し言葉を発し、思い出という花々を咲かせる。
時に華々しく、あるいはひっそりと…。

人は明るくて暗い。暗くて明るい。哀しくて嬉しい。嬉しくて哀しい。
付き合いを、さけたい。目を閉じたいような
そんな心ともつきあって、自分の「花言葉」をさがす…。

◆ 読書の感想というより、読みながら感じたこと。

(倉本聰著 「風のガーデン」2008.9理論社)

 司法試験に落ち続けているニートのような佐伯健太郎(26歳)は,
フリーライターの姉・慶子(30歳)から、特攻隊で敗戦直前に死んだ
「最初の祖父・佐伯久蔵」(祖母・松乃はその後現在の祖父・大石賢一郎と再婚)
のことを調べたいので、手伝ってもらえないかと話を持ちかけられる。
 そして、戦場での、祖父・佐伯久蔵を覚えている元兵士たちに会って話を聞く。
軍隊に身をおきながら、妻のために「生きて帰りたい」と言い続けたらしい祖父。
ある者は「臆病者」と呼び、ある者は彼こそ生きつづけて欲しい至宝だったという。
隊の下の階級の者とも優しく語ったり接し、高い飛行技術で、ざまざまな戦場を
生き抜いていた久蔵が、なぜ特攻隊で最後を迎えたのか?
明らかになってくる真実…。

◆ 宮部から受け取ったもの。
 戦争という冷酷な非日常の中でも、逞しく死ぬことじゃなくて
愛する人のために生き抜きたいと、人としての日常を、できる限り貫こうとする生き方の、
勇気と愛が印象的。
それだけに、使い捨てのように命を軽く扱い、無謀な作戦で部下を敵に突撃させて犠牲をだした、戦争の愚かさが悲しく胸を衝く。

宮部の姿は、非日常の世界にあって、人を本気で愛するという日常を持ち続けようと、知恵と勇気を振る絞り、本気で自分の頭で考えようとした一人の男の物語でもある。
宮部の生き方の、深さ大きさに胸が熱くなった。

戦争の哀しみや狂気。
二度と繰り返してはいけないんだなぁと、心から思った

孫の健太郎や慶子が 戦場での祖父のことを知っっていく物語。
それは、時を越えて、祖父たちから受けとる新しい愛と生の物語。


(百田尚樹著 「永遠の0」 太田出版 2006.8)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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