2009 / 04
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「鴨川ホルモー」を観て、大笑いすること。
体と心をゆする、音楽に酔うこと。
仕事の忙しさに、げんなりすること。
親しかった友人が突然亡くなり、呆然とすること。

どれも生きている、一場面。
「暗いのはやめようぜ!」といったところで
死は人に100%訪れる。
だからといって、暗い日々ばかりではつまらない。
名古屋弁で言えば「どえりゃあ~、たるい」。

生きて感じることは大事だ。動いているだけなら、ロボットでもする。
可愛いなら、ペットはすごい。

◆ 詩集を読むと、人が喜怒哀楽をカラフルに感じるっていいなぁ。大事だなぁ。
と、思う。

こんな詩の一節があった。

ささやかなもの。
ペチュニア。ベゴニア。クレマチス。
土をつくる。水をやる。季節がめぐる。
それだけのことだけれども、
そこにあるのは、うつくしい時間だ。


(「わたし(たち)にとって大切なもの」 より)

だから、時々、詩という水を心にやりたくなる。
先回の記事の「恋文の技術」の森見流に言えば
「いいこと言った。」(笑)

(長田弘 詩集 「死者の贈り物」 2003.10)

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◆ 京都の大学院生・守田一郎は教授の指示で、能登でクラゲの研究をするため「能登鹿島臨海実験所」で日々を過ごすことになる。
あまりの寂しさに、京都で係りがあった人たちに、手紙を書きまくる。
三枝麻里子に恋して「おっぱい病」に取り付かれる友人の小松崎友也
大学院での女帝・大塚緋沙子
家庭教師として教えたことがある小学4年生の間宮少年
作家・森見登美彦。妹・
一郎が恋する女性・伊吹夏子
その彼女に、書いても書いても、出せなかった、恋文の失敗書簡集もでてくる。
一郎が書いた手紙のみで構成された、書簡体小説。
手紙を読み進みながら、彼や周囲の人物像が見えてくる。
メール隆盛の現代において「手紙」って何だろう?と思ったりする。
一郎の「恋文の技術」は上達するのか?

◆ 「ひぃ~ひぃ~」笑いながら読んだ。読書場所を選んだほうがいいよ!
この本!
手紙文体の制約のなかで、最後まで、とても楽しませてくれた。
つっこみ所や、笑いの仕掛け満載の一冊。

◆ 最も好きなのは、友人小松崎の「おっぱい病」(詳しくは本文を。)を治そうとして、一郎と彼は、
人気のないはずの夜の大学の研究室の壁に、密かにプロジェクターで、おっぱいを拡大して映し出す。それを凝視することで呪縛から解放されようとする。
…が、解放されるどころか、逆におっぱいに取り付かれ、一郎は「おっぱい万歳」と呟いてしまう。
そんな姿を、森見、間宮少年、三枝麻里子、妹・薫、一郎が恋する伊吹夏子らのメンバーに、室の後ろから見られてしまい、二人は衝撃をうける。

一郎は、投函しなかった、伊吹夏子への失敗書簡集の恋文の中で言い訳をしている。
あれは、小松崎の悩みを解決するためにやったことで、自分が呟いていたのは
「おっぱい万歳」ではなく「おっぱい断罪」だった。
…とか間宮少年には、壁に写していたのは、おっぱいに似ているが、クラゲの一種であると
手紙に書き、少年から嘘を指摘されて謝る。

そんなこんなの、一郎の「文通長者」状態の日々のなかから見えてくるものとは。
全編に流れる笑いとともに、第十二話「伊吹夏子さんへの手紙」は心にジンとくる。
この世で一番美しい手紙」についての記述は、とっても好きだ。


(森見 登美彦著 「恋文の技術」 ポプラ社 2009.3)

あまりに、「あほらしい!荒唐無稽だ!」と言うなかれ。
そこがいいっ!
良くこんな物語を考えたもんだと、マキメッチ(作者・万城目 学さん)
小説「鴨川ホルモー」を読んだとき思った。
映画化するとは何たる暴挙。
何たる向こう見みずの、怖いもの知らず!
では、封切日に観なければと、鼻息荒く出かけた。
物語の内容は、ここのページの万城目 学「ホルモー六景」の感想で、紹介している。

 ◆「ホルモーとは、体長20㎝、頭がでかく四頭身で襤褸(ぼろ)着を纏ったオニたち千匹づつを、引き連れて京都大青竜会・龍谷大フェニックス・立命館大白虎隊・京産大玄武組の各大学で集められた十人の学生たちが、京都市内でオニを使って対抗戦をする。」
というハチャメチャな物語。

恋のスパイスあり、京都の静寂をかきまわすドタバタがある。
でも「京都なら、こんなことあるかも」という古都の歴史にウソを巧みに取り入れて、ただただ、阿呆らしく、腹の皮をよじれさせるのだ。
映画で、どんな風に描くのかと思ったオニたちは、CGを使ってイメージに近かった。
そのオニたちとの会話に使う「オニ語」の習得や「ホルモー」で発する、奇妙な振りと言葉を阿呆らしいほどの情熱で描き「ホルモニスト」(そんな言葉はナイけど、要するにファンということ。)のボクを感動させた。映像化という暴挙に拍手を贈る。
小説を読んで、併せ観れば、阿呆パワーが増幅する。

◆ 登場人物では、何といっても楠木ふみさんのファンだ。
地味な眼鏡で、お笑い芸人のような風貌だと、同級生から例えられ、一見ニヒルだが、好きな男には率直に「好き」と告げ、「ホルモー」で、その男の危機をみれば、力強く「オニ語」をあやつって、救いの手を差しのべる。そして、自分のチームを勝利に導く。
小説の「ホルモー六景」での活躍も見逃せない。
彼女は、「愛を、待つ人受ける人」じゃなくて「愛を、する人創る人」なのだ。

◆ 名場面はいろいろあれど、ボクは「吉田代替わりの儀」をあげる。
内容は秘め事として、心の底にしまっておく。
…でも、言ってしまいたい。
…でも、内緒。
…アアッ! ヒントを、言っちゃぇぇ~。
興味のある方は、文庫本106ページからの、世にもおぞましい描写を見よ!
コレヲ、エイゾウ化すると、映画はこうだ…

…ここからは
♪コトバニ~ デキ~ナイ~♪

最後にオニ語をイッパツ!「ゲロンチョリ~」

(監督 本木克英・出演 山田孝之・濱田岳・栗山千明など・松竹)


人間は、使い捨てじゃなくて「かけがいのない」存在なんだ、という出だし。
本と、どんどん会話しながら読んでいく、
惹きつけられる本だ。

ベタな題名。
でも、これでいいのだ!
注文されて執筆するんじなくて、書きたいことが、どんどん湧いてきて
書かずにいられないって感じだ。
著者の本気が伝わってくるのだ。

◆ いいなぁと、気に入ったところ二点。

点数をとったらおしまいの「お勉強」に対して
「学問」は「愛すること」「愛し問うものが学問」(158)だという。
それなら、学問ってのは、人生の一生の連れだ。
本当のことを知りたいと思う。
しかも、そのことが好き好きで…。
学問は「愛」ネッ!わかりやすい、いい言葉。


◆ も、ひとつ。
「自信がない、私にその力があるという確信がない、だからできない、
というのではなく、まずはやってみる、そして少しでもその手応えをつかんだ時に、
そうか私にはその力があったのだ!と気づくのです。」(222)

受け身じゃなくて、
自らが動く中で「学問」する。
それは行動しながら、愛することを探すこと。
知ることを味わって、楽しんで。

しんどさも、引き受けながら…。

それは彼の表現を借りれば「自分の人生を掘り起こすこと」(225)
いいなぁ!そんなふうに歩きたいゾッ!

こんなに、いい本めったにない。
読むたびに、味がある。
彼の別の本「生きる意味」(岩波新書)
と合わせて、激オススメの一冊!

これぞ本の妙味。人生の歓びってやつ。
上田さん!サンキュ!

(上田紀行著「かけがえのない人間」2008.3講談社新書)

◆ 年度変わりの慌しい季節。
ちらちらと桜が散り始めた。
近くの小さな竹薮では、ウグイスが少し前から、毎日うたを聞かせてくれる。
澄んだ音色も響きも「囀りの宝石」という感じで、聞きほれてしまう。

◆ さてさて、この季節にピッタリの小三治さんの落語「花見の仇討」をDVDで観る。
生が一番だが、なかなか観る機会がないので、映像でガマン。

四人の男たちが、花見に行こうと相談する。
ただの花見じゃつまらないから、人目をひく派手な演出のため、
一芝居打とうと、話し合う。「仇討」の芝居を考える。

「仇討」の二人が、花見で賑わう上野で仇敵に出会って「仇討」が始まる。
すると観客が集まってくる。盛り上がったところで、もう一人の仲裁役が登場。
「仇討」は花見の趣向の一芝居と種明かしをする。
四人は喝采を浴びて、花見の酒盛りをして盛り上がろうというわけだ。
ところが、仲裁役の男は耳の遠い叔父さんにつかまって酔っ払い、約束時間になっても来ず、
芝居の仇討に、本物の武士が登場。「仇討」の二人を助太刀するという…。

◆ 四人の段取りの悪さ。いかにも、とってつけたような下手な芝居。
そして、生真面目な本物の武士の助太刀。
「花見」をもっと盛り上げようとする四人と、予想外の武士の登場。
「花見」をもっと楽しもうという四人だが、筋書きが乱れまくって大慌て、その間の抜けた姿も楽しい一席。

(柳家小三治全集DVD1「花見の仇討」の映像より)


2009年のこの季節。
ソメイヨシノの艶やかな色に、日本列島が包まれている。
心ウキウキする花の季節だ。一昨日、久しぶりに友人と
名古屋の桜の名所「山崎川」の桜を観た。川岸に咲く菜の花の
黄色と柔らかな桜の色がマッチしていた。

◆ 落語「長屋の花見」を小さんの噺で聴いた。
貧乏長屋の一同が花見に行く噺。

大家から声をかけられる長屋の住人たち。
さては、家賃の催促かと誰かが言う。
入居して以来二十年近く家賃を払っていない者。「家賃って何だ?」と
知らないものまでいる。はては、家賃を催促するとは図々しい奴だ、などと
言う奴までいる。

家賃の催促じゃなくて、大家が、酒三升と、かまぼこと玉子焼きを用意したから
一同で、花見に行かないかとの誘いだった。長屋の住人たちは喜ぶが…。
貧乏大家の酒とご馳走の種明かしを聞いて、テンションが下がる。
酒は番茶で、かまぼこは大根、玉子焼きは
漬物だという。
むしろを毛氈にみたてて、一同、ヤケクソのように、花見に繰り出す…。


 すごいと思うのは、この花見に行く人たち。かなり貧乏だ。
リアルに見れば、かなり悲惨な連中だ。
でも、それを笑う知恵がある。
…まぁ、知恵といえるほど逞しいものでもないけど、人はこんな
ことでも、笑ってしまう。
つらいことは、いっぱいある。
でも、笑いを忘れないで歩くこと。とってもいい!
小さんのとぼけた口調が、ナントもいえずおかしい一席!

(柳家小さん名演集1「長屋の花見」昭和41年3月31日収録・東宝名人会の音源)


年度のかわり目の慌しい日々の中で、長い小説を読む時間がとれない。
それでも、文字が読みたくて、この詩集を手にした。
樹から連想して、紡ぎだされる言葉たちが「Ⅰ」に、
四季の自然の中で紡がれた言葉たちが「Ⅱ」に収録されている。

寡黙だけど、樹や自然が持っている、静かで力強い姿が、詩のテーマだったり、時間の結晶と樹のことだったり、命や老いを考えてみたり、「自由」のことを問いかけたり、人が立ちつくす姿と樹が佇立する姿を重ねて、「問う」ことの意味を書いたり…。
この詩集には、遊び心があり、常識を疑う言葉がある。
命を励ます言葉たちが、テンコモリの詩集。


「昏れていく霧の林は、見えないものの宿る場所だ。
土のたましいを宿す土。
草のたましいを宿す草。
木々のたましいを宿す木々。
じぶんのたましいを探すんだ。
遠くから誰かの呼ばわる声がした。」
 (「遠くからの声」より)

「悲しむ人よ、塵に口をつけよ。
望みが見いだせるかもしれない。
ひとは悲しみを重荷にしてはいけない。」
 (「海辺にて」より)

「問うことは、ことばを、握りしめること。
そして、空の、空なるものにむかって、
災いから、遠く離れて、
無限の、真ん中に、立ち尽くすこと。
大きな森の、一本の木のように」
 (「立ちつくす」より)

「シル トハ コノヨヲ
ジブンカラタノシム ホウホウ デス」
 (「カタカナの練習」より)


(長田弘・詩集「人はかつて樹だった」2006.6みすず書房)

今回は、童話です。
決して明るい話ではないけど、大人の読者の心にも
波紋を投げかけてくる、味わい深い本。

◆ 仲良しだった、ことりを亡くして哀しむくま。
くまは、ことりとの思い出にひたりながら、ことりを入れた小箱を持ち歩く。
森の動物たちに見せると「…つらいだろうけど、わすれなくちゃ」という。
くまは部屋にこもる。ひさしぶりに開けた窓から、見た風景は、初めてのように新鮮だった。
歩き出したくまは、土手で昼寝をしている山猫に出会う…。

◆ とても絵がいい。殆どのさし絵の色が、モノクロなのです。
話のポイントになるくまとことりの、思い出や花、イタチに襲われて抜け落ちたとりの尾羽のかわりに
くまがことりに結びつけた、きれいな葉っぱなど、ごく一部が、控え目に桃色で描かれている。それが印象的だ。物語と絵がぴったりだ。
くまが、生前のことりとかわした「きょうの朝」論議。
何気なく過ぎる「きょうの朝」が「昨日」でも「明日」でもない、最新の自分の命だと改めて思う。
毎日思う「きょうの朝」。大切にしなきゃだね。

死別の空白感も含めて、人の哀しみを埋めるものって何だろう?
それは、本当の哀しみをわかってくれる人がいて、言葉をかけてくれること。
亡くなった人との思い出や面影を、胸に抱いて歩き出すこと。
やまねこが、くまにかけた言葉やしぐさに、そのことを思う。

やまねこにも、ずっといっしょだった、ともだちがいたのかもしれないとかかれている。
生きていく過程で、誰しもが出会う哀しみ…それと嬉しい出会い。
哀しみをわかちあえるともだちと出会えることが、どんなにステキなことかを、とても感じさせてくれた。
本当にステキな一冊。

(湯本香樹実ぶん・酒井駒子え「くまとやまねこ」2008.4河出書房新社)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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