2009 / 05
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雨のバラ2
あの「鴨川ホルモー」のマキメッチの新作。
嬉しくてワクワクしながら読んだ。
冒頭のページの序から読書意欲を刺激する。
「このことは誰も知らない。
五月末日の木曜日、午後四時のことである。
大阪が全停止した。」


会計検査院の川の字のように見える身の丈の3人が、大阪に出張した。
長身で秀麗な美女・旭ゲーンズブール。調査能力の高さ・厳しい追及能力から「鬼の松平」と呼ばれ眉間にしわを寄せる凛々しい副長・松平(好物はアイスクリーム)。
ずんぐりとして中学生に間違われるような背丈と体型、憎めないキャラクターの鳥居。
出張した大阪の検査対象の中に「社団法人OJO」があった。
OJOとは?
大阪はなにゆえ「全停止」するのか?
プリンセス・トヨトミの正体とは?


◆ 会計検査院という、固いイメージの役所の仕事と大阪の歴史を結びつけ、大胆な構想力と、歴史への空想力を羽ばたかせて、楽しませてくれる物語。

アイスの好きな松平には、賢いだけじゃなくて情もある。
旭ゲーンズブールが、後半・元演劇部の力を発揮してメークと演技力を見せつける
芝居はスンバラスィ~「コノ、イッカノ恥サラシッ」だもんね。(爆)
憎めない「ミラクル鳥居」の存在が、物語に、笑と余裕の味付けをしている。

登場する中学生、茶子の逞しさと出生の秘密。
同級生・真田大輔の女性として生きたいという願望と周囲との軋轢、そして友人たちの思いも描かれている。

◆ 豊臣家に対する非情で姑息な徳川家の行為。そんな手法への人々反発がドラマの骨格になっている。「正直」な思いで生きている人たちへの共感が物語に流れている。
時代が変わっても、受け継がれていく人の心の絆のこととか、「伝える」ことの大事さとか。
目に見えるものだけが、人のすべてじゃないこと。
…など、大きな物語の中に、あれこれ楽しめる材料がゴロゴロ。

(万城目 学著「プリンセス・トヨトミ」2009.3文藝春秋)



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雨のバラ
図書館で借りたけど、手元に置きたくなった。
いいなぁ~この本。

◆ 鎌倉の谷戸に暮らす、辰巳さんの庭のこと。
季節ごとに咲く花々・畠で、野で育つ野菜・薬味にまつわる写真・エッセイ・料理レシピが、収められている、見る読む、作る食べると、いろいろ楽しめる一冊。
 料理研究家・随筆家の辰巳さんは「西の魔女が死んだ」の魔女をイメージさせる人だ。
一つ一つの丁寧な暮らし方に、彼女のどっしりとした、生の構えをを感じる。
2月の文章で「待つ」という心情は「人間の深淵に属する埋み火」だといっている。
待つのも、人の技、心の技だ。
待つことは、ただの受身の、退屈な時間じゃないんだね。

7月に「梅仕事」という、梅にまつわる仕事のことが出てくる。
梅を育てて、剪定し、施肥する、そして、梅肉エキス・梅煮・梅酒・梅シロップ・梅干し・梅ジャム・梅ふきんなど、多彩な味や用途にする辰巳さんの仕事ぶり。梅という自然に寄り添う姿勢。
そんな仕事には、そのものが求める「先手、段取り、用意周到、念入り」があると彼女は言っている。
この本には、命の根源としての「食」、人の生を気持ちよくするための「食」という思いがたっぷりだ。
ゆったりとした料理、命に注ぐ眼差しの豊かさには、背筋をピンとさせてくれるものがある。
そして、読み進むにつれ、大きな安心感が、胸に広がってくる。
のびのびと、命を感じながら歩くことの平凡がいいんだ、と感じさせてくれる。


(辰巳芳子著「庭の時間」2009.3文化出版局)

◆写真は昨日、雨の中のバラ。


さくらんぼ3

「おともだちパンチ」を御存知であろうか。と書いていたのは、森見登美彦
だった。
我が家の小さな庭にある、さくらんぼの樹に朝から群がる、ひよどり君たちには
おともだちパンチの、やさしさがない!
さくらんぼを一粒、口に含んで、電線の上から、こちらの部屋を見下ろし、
ニッ!っと、あざ笑うかのようだ。そして、見る見るさくらんぼは、無くなっていく。
ひよどりくんたちを、好ましく思えない苦い思い出がある…。

あれは、今から数年前。最初にさくらんぼが実った年。
朝から、ボクは機嫌がよかった。
真っ赤に色づく実を前に
「仕事から帰ったら食べごろだぁ。」
と出かけた。

悪意を感じた。
あの日、ボクは腹がへっていた。モーレツにだ!
夕ご飯の前に、朝、色づいていたさくらんぼを収穫して、つまもうと思った。
はじめて、実ったさくらんぼは、どんな味だろう、
初体験は、いつも、甘酸っぱい歓びと、ときめきを感じさせる、が…見上げた樹には、空しく葉っぱだけが風に揺れていた。

何度も思うが、悪意すら感じた。
最初は「一粒だけ」と、遠慮がちに食べたのだろう、か。
意外といける「もう一粒いただこう」なんぞと言い交わしたのだろう、か。
「う~ん。後をひく味だ。あと一粒だけ」
ムシャ…「これで最後」。
気がつくと、さくらんぼの樹は…
葉っぱだけ、だったのだろう、か。

「ここに住む、くじらくんの為に、ちょっとだけ残そう」と
仲間内で、思わなかったのだろうか?過ぎた時間は帰らない。
葉っぱだけの、樹を見上げて絶句した。

…うぅう…笑って許せないと…思った…

今も思い出す。
仕事から帰って、呆然と樹を見あげた
あの日、あの時、あの夕べ。

あれ以来。恐るべき、ひよどりくんの、食欲。思い知った。
血みどろの戦いの幕は、ついに切って落とされた。
しかし哀しいかな、多勢に無勢。
♪きょう~も 涙の 陽がおちる♪

今年もさくらんぼが、食べごろだ。
ニギヤカダ…。
ハヤスギル…。アサノ、カレラ。


(先日の前編とセットで完結。)

ひよどりくん

「おともだちパンチ」を御存知であろうか。と書いていたのは、森見登美彦
とかいう作家らしい。
我輩は、そんな思いで「くじらくん」の家の、さくらんぼを食べている。
つまりは、やさしさを持ってだ!
さくらんぼを一粒、口に含む時、電線の上から部屋をみて、
「くじらくん」に、ニッ!っと愛嬌ある微笑みをおくるが、どぅも
我々を、あまり好ましく思っていないらしい。彼は…。

あれは、今から数年前。最初にさくらんぼが実った年。
朝から、彼は機嫌がよかった。
真っ赤に色づく実を前に
「仕事から帰ったら食べごろだぁ。」と出かけた。

悪気はなかった。
あの日、われわれは腹がへっていた。モーレツにだ!
嘘じゃない。ホントダ。
言い訳じゃあないが、農作などしない我輩たちには、食べることに、命がかかっている。

何度もいうが、悪気はなかった。
最初は「一粒だけ」と、遠慮がちに食べた。
意外といける「もう一粒いただこう」
「う~ん。後をひく味だ。あと一粒だけ」
ムシャ…「これで最後」。
気がつくと、さくらんぼの樹は…葉っぱだけ、だった

「お前のせいだゾ。ちょっとだけ、残そうと言ったじゃん」と
仲間内で、ちょっともめたが、過ぎた時間は帰らない。
「ま、いいか」となった。

…ハハハ…笑って許してと…思ったが…

今も思い出す。
仕事から帰って、呆然とさくらんぼの樹を見あげていた
くじらくん。


あれ以来。冷たい。
我輩たちを見る、彼の目が。
ナゼ?

まぁ。ともかく、今年もさくらんぼが、食べごろだ。ウレシイ。

◆ 35歳の脚本家・高遠ナツメの性と生を描いた、官能小説。
夫・省吾と埼玉県の郊外で二人暮らし。
夫は仕事を辞めて、二人で食べる野菜を作り、ナツメの原稿を読み、二人で作品をつくっている意識がある。しかしナツメは、彼の意見に左右されずに自由に自分で作品を書きたいと思っており、夫の束縛を感じている。
募っていた夫への不満と、尊敬する演出家・志澤一狼太の強い勧めもあり、ナツメは住み慣れた家を出る。激しいセックスと甘い言葉をかけた彼だが、家を出たナツメに、素っ気なくなる。
 その後、ナツメは仕事で訪れた中国で、大学の先輩で演劇専門誌の編集者・岩井良介と再会する。志澤の「血に飢えた肉食獣」のようなセックスに対し,草食動物のキリンを思わせて、優しく細やかな姿に惹かれる。
彼には妻子があるが、二人の関係は続く。
岩井が休みで、家族と海外に行っている時、志澤の弟子の俳優・大林一也からのメールが届く…。

 ◆ 確かに、エロイ官能小説です。
スラスラエロエロって感じで、読めてしまいます。

性と生は強くつながっていると思うし、小説の大事なテーマだと思うんだけど…。
自分の意思で、作品を生みだしたい、ヒロインの描写はあったものの…
生と性が、うまく描かれていたかというと…もの足りない。

彼女がインタビューで語っているように、新しい読者が増え、これまでの読者は離れる可能性の高い作品だと思う。
でも、ボクの思いは、いい作品を読ませて欲しいこと。
村山さんとしては、かなりの冒険で、これを書いたらしいけど、作家として、なぜこれを書いたの?
これから、どんな作家になりたい? 
マジで、聞いてみたいこと。

この本の感想は…ぶ厚い。(笑)
「おいしいコーヒーの入れ方シリーズ」のかれんと勝利のファンとして、今後の彼女の作品に、注目したい。


(村山 由佳著 「ダブルファンタジー」 2009.1 文藝春秋)


◆ サッカー部で活躍し、成績もいい。将来は医大に入って、小児科医師を目指す高校生・宮本達大(たつひろ)。
彼の両親は、新聞記者と雑誌編集者の夫婦で、共働きで言い争いの末に離婚。
他所に家庭と子供をつくった父。10歳下の男と付き合っており、週数回通っている母。
その「不埒で、無責任」に見える両親の姿に、大学生になったら、一人で生きていきたいと考えている。
担任の教師・清水は、クラス委員になった宮本と土田に、出席簿を毎朝つける替わりに、土屋の喫煙を見逃し、宮本の三者面談免除という交換条件を持ちかける。くだけてはいるものの、これも、いいかげんな大人に見える。

そんな清水に「他人を受け入れる幅が狭い」「考え方に遊びがない」などと宮本は、気にしているところを指摘される。彼はやがて「貴校の三年二組に、担任公認の上、校内で常習的に喫煙をしている生徒がいます。…もし見逃すようなことがあれば、インターネット上に事実を公表します。」というFAXを学校に送りつける…。事態は様々な予想外の波紋を呼んで動きだす。

◆ 本当の意味で大人になるってどういうことなんだろう、という問題意識が流れている。
勉強をして、優秀な成績で一直線に医大に入るはずだった達大は、女優を本気でめざす土屋佐保子の気概に圧倒され、その姿が心に焼きつく。その土屋に振られても、彼女を庇おうとする同じクラスの三浦の、土屋への、まっすぐな思い。宮本は、やがて彼と継続して話すことになる。いいかげんそうに見えて、生徒をよく見ている教師・清水。異性として、初めて付き合う、同級生・片岡さと美三浦の母。その母が気にかける同じ住宅の独居老人・平田さん。人とのかかわりの中で、人生や人の奥行きに触れていく。

◆ 主人公の生き方、問いかけがとても印象的だ。煩わしくて、省きたかったはずの人間関係が、痛みや哀しみや悩みを伴いながら、宮本の中に広がっていく。
それまで、目が向かなかった両親や、自分が目指している医師という仕事の、人間的・社会的な広がりが、徐々に見えてくる。時間を重ねるだけではなく、よく言われる「もう少し、大人になれ」の意味するものとも違う「本当に大人になる」ために、主人公は歩きだす。
大人って何だろうの問いは、一生続くのかもしれない。


(佐川 光晴著 「ぼくたちは大人になる」 2009.1 双葉社)



知り合いが連れてきた、決してミニチュアじゃない
「ミニチュア・シュナウザー」という種類の
ワンコ。

うつ伏せで、グタぁー…。

くつろぐの図。

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ジャズバイオリンの寺井尚子が好きだ。名古屋でライヴがあった。
ロック・シャンソン・ロシア民謡・タンゴなど多彩な分野の曲と、オリジナル曲を
取り混ぜ、ジャズ音楽として、独特の味付けをして聴かせてくれた。
ピアノ・ベース・ドラムの他の三人との息もピッタリ。

印象的だったのは、アンコール前の最後の曲「リベルタンゴ」の、
激しいまでの官能的な演奏の盛り上がり。酔わせる躍動と熟成。
こちらの体が自然にリズムを追い、胸がドキドキした。
トランス状態へと誘われる。
まさに、音楽に酔った。

どんな分野でも、いいものに出合うと、時間や命の「一回性」を思う。
一度限りの演奏という歓び。
会場の雰囲気、演奏者の体調や気分、それらが渾然となって、いいものが生まれる。
この日のライヴも、そんな「一回性」を思わせてくれた。
CDで聴いた「リベルタンゴ」もいい。
でも、生でその場で聴くジャズは「アドリブの楽しさ、音楽の遊び心」がいっぱいだ。
他の演奏曲目「ヴィーナス」「黒い瞳」「パダンパダン」など。

堪能のひとときは、反復する練習という、退屈な日常性とのつきあいの日々から、生まれてくるのかもしれない。ふと、そんな事を思った。

(2009.4.29名古屋・昭和区八事にて)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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