2010 / 04
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熱があって、笑いがある小説が好きだ。
(芯が通っていて、笑えるやつも。)
小説というより、コミックのように、読みやすくてわかりやすい。
ひきつける展開がある。

(お話)
◆ 子供のころ、内気でいじめられっ子で友だちのいなかった弟・巧。
その唯一の遊び相手が兄・司。ヒーローもののソフトビニール人形で遊んだ二人。
小学生のころ演劇のワークショップに行ったことがきっかけで、巧は演劇の才能と快感に目覚める。

そして今。
20代後半の巧は赤字の劇団「シアターフラッグ」の主宰者。
31歳目前の司は、工務店に勤める堅実な会社員だ。

ある日、巧が劇団の赤字300万を貸してほしい、と言ってくる。
プロを目指したいという巧だが、金銭感覚はゼロ。
堅実な司は、貧乏役者のまま亡くなった父に、巧がダブって見える。

司は、巧と劇団員の前で金を貸す条件は
「今日からおれが債権者でシアターフラッグは再建団体だ。
今から二年で返せ。劇団が上げた収益しか認めない。
--返せなかったら劇団シアターフラッグを潰せ」(P57)

シビアに金の面から劇団に関わり、辛口を飛ばし「鉄血宰相」と呼ばれながら、弟や劇団に愛着を持つ司。
団員から好かれ、劇作りの才能に巧を改めて見直す。

団員同士の恋やあこがれ。
ナマものの性格の演劇からおこるアクシデント。
これでもか、コレデモカと、はらはらドキドキのおもしろさだった!

(思ったこと)
以前、知り合いの劇団員の舞台を観たり、運営話を聞いたので、リアルで身近に感じられた。
出てくる劇団運営のノウハウも、興味深かった。
あとがきで、モデルがあったという劇中劇?のセリフに笑った。いわく…

■ 「何かあったんスか、美人じゃないほうがひんひん泣きながら飛び出して行きましたけど」
「何気に失礼な判別ね、あんた」
(P284~285)

■ 「とっとと荷造りしちゃってくれませんこと、童貞小僧と美人秘書」
「何気にエロスな組み合わせですね」
(P285)

この作品、次々繰り出される難問のおもしろさ。兄の弟に寄せる思い。
サービス精神と心の熱さがマッチしていて、いい感じだ。
その場で演じるナマものである「演劇」故に、団員の「うっかりスズべえ」がしでかす、劇をひっくり返しそうな、
アクシデントや、千秋楽の突発的な出来事。
ハラハラ、ドキドキが楽しめる。

教訓!(爆)
死力をつくして工夫をしたり、人の底力を発揮するのは、ハラハラドキドキするような、思いもかけないアクシデントにあってパニック寸前の、冷や汗ものの体験と向き合うところから、初めて生まれてくるのかも。
しんどい時にあっても 

♪泣くのはいやだ 笑っちゃえ~♪ 


(有川 浩 著 「シアター」 2009.12 メディアワークス文庫)


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(お話)
◆ 赤い鳥居のそばに、長い銀の髪に金の瞳の、若いお兄さん店員がいるコンビニ「たそがれ堂」がある。
春の陽だまりのような照明のレトロな店だ。
「大事なものを探していて、それを心の底からほしいと思っている人だけが」(第一巻.P42)たどり着く店。
今日も、探しものを切実な思いで求めて、いろいろな客が訪れる。
「コンビニたそがれ堂」シリーズの二巻目。
「雪うさぎの旅」「人魚姫」「魔法の振り子」「エンディング~ねここや、ねここ」
の四編を収録。

◆ 都会に引っ越した、引っ込み思案なさゆき。
友だちのいないさゆきが、冬休みに過ごした寒い街でつくった「雪うさぎと雪だるま」
それは、動かないけど、彼女の大切な友だちだった。
新しい街で新しい母親になる人と暮らしを始める不安から、さゆきは「たそがれ堂」で手に入れた
「送りたい人に必ず届く葉書」に「みんなに会いたい」と「雪うさぎたち」に書いて送る。
動けなかったはずの「雪うさぎ」たちは動き出し、さゆきを励まそうと旅に出る。
長い旅の途中、雪うさぎも雪だるまも、春の日差しを受けて溶けていく。
ようやくたどりついた雪うさぎは、さゆきの笑顔を目にする…。(「雪うさぎの旅」)

◆ ネットゲームの世界では英雄。
でも現実生活では、何もできないひきこもりの17歳の真衣。
IT会社で働く母親との二人暮らし。
自分をわかってくれて、元気で頭がよくて医者への夢をもっていた
いとこの秋姫が事故で亡くなった。そのショックから通学できなくなって二年がたつ。
秋姫の励ましを思い出しながら、外に出かけることから始めて、新しい自分に生まれ変わりたいと思う。
たそがれ堂で「奇跡の招待状」を手にして、秋姫を招待する…。(「人魚姫」)

◆ 作家・薫子が原稿を頼まれてエッセイのテーマをきっかけに、10年前に旅に出たサークル仲間の薫のことを思い出す。たそがれ堂で手に入れた「なくしたものお探しだすことができる、魔法の振り子」の話。(「魔法の振り子」)

◆戦国時代に大好きだった一家が殺されて怨念から魔物になる、子猫のねここの物語。
怨念一色で終わらせないところが村山さんの素敵さ。命のつながりを生きている歓びを描いている。
人の一生みたいに、花火もはかなく悲しいというねここに、たそがれ堂のおにいさんは言う。
「はかないけれど、でも、それはとても美しくて、そしてわたしたちは、いま、花火を見ている
ーーきれいだなあと思っている。それでいいんじゃないでしょうか?」
(P277)
(「エンディング~ねここや、ねここ」)

(思ったこと)
◆ 不思議で、切なくて、哀しい物語。
読んだ後に、心がじわじわと温かくなってくる。
じわじわってのが、いいんだ。
誰かを思うこと。その人のために何かをすること。
その思いを感じとること。
「現実は厳しいぞっ!」という声があるかもしれない。
いくら誰かを思っても報われず、悲しみや痛みが掃いて捨てるほどある現実。
でも、そんな現実にすり寄ったり、流されたりする作品はつまらん。
絶望的な、あきらめの気持ちで生きるのじゃ面白くない。
豊かな物語には、しんどい現実を超える想像力や智恵がある、生きることを刺激する。
読んでよかったなぁ~と思う。

…あぁ、また脱線気味の感想だぁ…。

この作品の中には、生きることへの根源的で豊かな問いがある。
例えばP103の問いとか…。
だから描かれている物語も、その問いを受けている。

こういう作品
すご~く好きだなっ!
村山さん サンキュ!いいぞっ!


(「コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状」2010.1 ポプラ文庫ピュアフル)

◆「はるりんどうの花」「カモのシンクロナイズド・スイミング」の写真をリンクの「別室・見聞日記」にUP!


火曜日の夜、ドラマ「八日目の蝉」を観ている。
放映日初日、ボクのところに、原作小説のレビューを見に来た人が、1550名を越えてびっくりした。
ここの感想は、二年前に書いたもの。
こんな地味で独りよがりに、本の感想を勝手気ままに書いているブログに、多くの人に来ていただき
冷や汗タラリでした。でも、嬉しかった!サンキュ!

改めて映像で観ていて、「まる○」や「ペケ×」の、あれかこれかだけの価値基準では測れない、人の思いのようなものを感じた。
法律用語で考えれば、ヒロインの行動は「誘拐」なんだろうし、正当化はできないかもしれない。
でも、、「まる○」や「ペケ×」の物差しからこぼれ落ちる、人の心の奥行きのことを思う。

ヒロインが、心の痛みを抱えながら薫と逃走する哀しみ
…観ているこちらにも、伝染してくるんだ。


大切なこと。見落としがちだったことが語られている豊かな対論集。

NHKのディレクターとして、自殺の番組をつくっていたが、自殺対策支援を行うため退職した清水さん。
真の癒しや人間のあり方の問題を、著書で問いかける上田さん。

清水さんが、職場を退職してNPO法人自殺対策支援センター「ライフリンク」をつくっという決断に驚いた。
上田さんの語る「癒し」に込めた思いに感心した。
二人の言葉には、生きる気合と読者への励ましが込められている。
お勧めの一冊。

(思ったこといろいろ)
◆ 毎年の自殺者3万人に対して、自死遺族は13万から15万人いる。
その家族たちの深い悲しみや苦しみのことも語られる。
「自殺することをタブー視する雰囲気と風潮」がある社会。
自殺を「穢れ」や「弱さの究極的な風潮」のようにみる社会が、残された人たちを苦しめる。
自殺は本人だけの哀しみじゃないんだと思った。

◆「かけがえのない人間」という上田さんの本の中に、ブータンという国がGNP「国民総生産」ではなく、
GNH「国民総幸福度」を目指すという話が出て来る。


◆「真の癒し」の話題は考えさせられる。
「癒し」の元祖のように言われる上田さんが「癒し」に込めた思いは
「いかに我々が絆に開かれていくか(人と人との関係性を強めるか)」だった。

でも、その後の「癒しブーム」は「温泉、エステ」にいって癒されるなど「いかに自分だけ癒されるか」という人間の単独性と「心の物化」や「麻酔」のようなものになり、金で手に入る行為になって、上田さんの思いとずれたものになったという。
ボク自身も、ブームの癒しに走りがちだ。安易だけど、金で手っ取り早く手に入るからだ。
これを読みながら、本当の「癒し」のあり方を考えたい。どんなことが自分にできて必要なのか。
上田さんがとなえる癒しは、新しい人間の繋がりをつくることだ。
人との信頼関係も、時間もエネルギーも必要だ。
それを創っていく歩みのなかから、深い継続的な力が、自分の中に育まれるのかもしれない。

◆ レストラン情報などは、簡単にパソコンや携帯で検索できるのに、自殺対策の検索情報は乏しいことに着目して「生きる支援の総合検索サイト」をつくって、「生きる」という選択をしやすい状況を社会や地域に広げようとしている。この思いや行動のすごさを思う。 

自分が知らないことや、大切なことをいろいろと考えさせてくれた。

(清水康之・上田紀行著 「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ 2010.3講談社文庫)

この時期にピッタリで、大好きな作品にあえた。
「コンビニたそがれ堂」の中の「桜の声」。
ホントにホントのイチオシ作品。
満開の花見をする。そんで、この作品を読む。
この時期のゴールデンタイム…ってやつです。

(ものがたり)
◆ 赤い鳥居のそばに、長い銀の髪に金の瞳の、若いお兄さん店員がいるコンビニ「たそがれ堂」がある。
春の陽だまりのような照明のレトロな店だ。
「大事なものを探していて、それを心の底からほしいと思っている人だけが」(42)たどり着く店。
今日も、探しものを切実な思いで求めて、いろいろな客が訪れる。
好きだった美音が外国に引っ越す前に、お別れの記念に、雄太にくれようとしたのに、虚勢をはって受け取らなかった「かわいいメモ帳」とか、母に捨てられた大好きだった「人形」を求めて訪れる、えりかとか、
重病になって、余命わずかをさとった猫のあんずが「人間になれるキャンディ」を…。
様々な痛みや哀しみや後悔の思いを抱いて「たそがれ堂」を訪れる人たち。
一話完結の五話。
「コンビニたそがれ堂」「手をつないで」「桜の声」「あんず」「あるテレビの物語」
を収録。

◆お勧めの作品「桜の声」のヒロイン桜子は、30歳を前にしたDJ。
仕事は好きだが、両親から結婚を勧められている。
語った瞬間に消えていくような、DJの仕事に空しい思いを感じて、自分の日々に自信が持てなくなっている。

ある日、彼女が放送する場所から見える樹齢200年をこす桜の木の下で、痩せたもんぺ姿の少女にであう。
彼女は空腹と、約束した母親が迎えに来ないことや、父も兄も「このあいだ戦地で死んじゃった」という。
お母さんは生きていて、自分を迎えに来てくれるか教えてほしいと、桜子に涙ながらに訴える。

彼女は、いつもリスナーから寄せられる不安や悲しみに、マイクで明るく言う言葉を伝える。
「きっと、大丈夫。わたしは信じている。
どんなにつらく思える時も、わたしが、桜子が、ここで応援しているからね」
(79)…と。
その時、少女は幻のように消えてしまうが、この話には、常連リスナーからの便りで、少女のその後の運命が語られる…。
その後、桜子のパソコンには、未来人らしき少女からのメールも届く…。
時代を超えて「希望」を謳う。
豊かな味わいと温かな読後感。ファンタジーの傑作。

(思ったこと)
「桜の声」は本当にいいっ!大好きだ。
過去と未来のリスナーからの言葉を、桜子に届けながら、本人は気づかない人間の魅力や生の存在の
意味、そして、人間同士の励ましの相互作用や連鎖のことが、豊かな物語として結晶している。
物語のキーワード「ケツメイシノサクラ」を改めて、聴いてみたくなった。

「あんず」も好きな作品だ。
余命わずかをさとった猫が人の姿になって、大好きだった家族たちに会いに行く話。
切なく、優しく温かい「命」のドラマだった。


続編もデテイル。
嬉しい4月さっ!


(村山 早紀著「コンビニたそがれ堂」2010.10 ポプラ文庫ピュアフル)



本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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