2011 / 02
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「超然」などと、あんまり使わないような本の題名。
収録の三編が、つながりのない超然。
※「超然」は、辞書によると「世俗にこだわらず、そこから抜け出ているさま。」

◆(ものがたり)

◆浮気している夫・文麿を持つ妻・理津子の「超然」…のように見えて
あれこれウロウロする心理が面白い。こんな浮気者の文麿なんざぁ嫌いで無関心だわいと
言いつつ、かな~り、愛しているんだという姿が浮かんでくる。 (「妻の超然」)

◆◆酒飲みのメッカのような地域で育ったが、福岡市内の大学に通い始めて
自分が下戸だと知った広生。
就職した家電メーカーの職場で、酒好きで、NPO活動に熱心な(恵まれない子供たちを支援するNPO活動)美咲と付きあうが…。
飲まずにいられないような日々の中で、下戸で超然と生きる広生。 (「下戸の超然」)

◆◆◆作家・倉渕さんが、首にできた良性腫瘍の手術で入院する。
その日々の中で、見たこと、であった人たち、考えたこと。
手術を通して、命のこと。自分の作家活動のことを考えているのだと思った。
でも、そこは絲山作品。
素直にそんなことは書かない。変化球だらけの、トゲトゲだらけ
でも、そこがいい。
 (「作家の超然」)

◆(おもった)
絲山さんの、文章の中に含まれている、トゲってどんな意味があるんだろう?
人生っていう容器の中に手を突っ込んで、ぐるぐる引っ掻き回しながら
そのエッセンスを、つかみとろうとするようなそんなトゲなのかも。

「妻の超然」を読んでいて、大笑いしてしまった。
ヒロイン・理津子に知り合いの舞浜先生が、自分の夫だった男の死因が
愛人の家での「腹上死」だったと語った。そのとき、理津子が思うこと。
「ああ。まさにぴんぴんころり。」(P56)ってとこ。
ボクのツボで大笑いだった。

なぜかって?
ある高名な医者が、何かのエッセイの中で、元気で長生きして
ころっと病まずに逝く人生は幸せだ。
つまり「ぴんぴんころり」が人生の終焉の理想だと語っていたのを思い出したから。

その、医者は真面目に理想を語っているのだが、これからのボクは、「ぴんぴんころり」のフレーズを聞くたび
この小説を、思い出すだろうなぁと思ったのでした。

…すまぬっ!アホです。

(絲山秋子著「妻の超然」2010.9新潮社)




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◆(ものがたり)
大学を卒業して、化粧品会社の美容部員として来客の化粧の相談にのったり
その人らしい化粧の仕方の手ほどきをしたりするヒロイン結乃の日常。
化粧嫌いの母と妹・珠美と暮らしていて、家族ともっと理解し合いたいと思いながらの日々。

店先を通りかかっても「鉄仮面」のような厚化粧で、最初は誰だか気がつかない、小学校時代に
仲良しだった、ミズキとの再会。今は強くなって、世界を征服したいと語る彼女。

ある日、浜崎さんというおばさんが「今夜が峠」の命である、初恋の人(夫)を、
明るい顔で見送りたいと、自分に似合う口紅を求めて結乃の前に現れる。
いつも、店にだべりに来るのが目的のようで、化粧品を買ったことがないポッチャリおばさん
浜崎さん。その思いに、応えようとする。
結乃は、その日の浜崎の姿をみて、こんなふうに思う。

「その堂々とした体躯を縁取る輪郭がぼやけ、彼女の中から、その皮膚の内側に潜んでいた繊細な少女がふっと姿を現したように、見えた」(P129)

同じ美容部員の先輩・馬場さん。
会社の店舗を巡回してくるマネージャーの福井研一。飄々とした彼との恋の予感。

その日々の出会いと、迷いと、ちょっぴりのよろこび…。

◆(思ったこと)
化粧に縁遠い男性の目から見ると、化粧を日々重ねる女性の忍耐強さに驚嘆しとても
真似できない行為だと思ってきた。
でもこれを読むと、その人らしさを、魅力を引き出すのがいい化粧なんだと、
今までの、視野の狭さを少しばかり反省したのでした。

結乃の日々のエピソードの中で、浜崎さんのエピソードが一番好きだ。

(宮下奈都 著「メロディ・フェア」2011.1ポプラ社)



今に始まったことじゃない、けど、酒が好きだ。
でも、ラム酒は飲んだことがない。

◆(おはなし)
この物語は、琉球アイコム沖縄支店の契約社員のヒロイン・伊波まじむが、
郷土色の豊かな新規事業を募集した「社内ベンチャー(新規事業)コンクール」
に、南大東島のサトウキビを活かした、国産のラム酒をつくるという企画をだして
酒作りを実現するという話。
現実にあったという話を、小説化したものだそうだ。

◆(おもったこと)
派遣社員が、夢を実現して新規事業の会社社長になるという話だけど
他人をだしぬいて、勝者になるという、ただのサクセスストーリーじゃない。
沖縄という郷土が好きで、一緒に暮している豆腐屋をやっているおかあとおばあが好きで
いつもおばあと行く、飲み屋のバーテンの吾郎が好き。
そこで飲むアグリコール・ラムが好き。
サトウキビ作りが盛んな沖縄なのに、どうして地元産のラム酒がないだろうと思う。
そこで、大好きな地元で作っているサトウキビを使ったラム酒をつくりたいと提案する。
儲かればいい、出世すればいいという会社の上司の思惑で彼女の真意が曲げられそうな
危機を乗り越えて、型破りのプレゼンを成功させる場面は痛快だ。
そして、彼女の真心(「まじむ」は沖縄で「真心」の意味。)がとてもよく出ていて
ココロ踊る印象的な場面だった。

周囲の人々にとても恵まれている。
彼女の味方になりたいと思わせる豊かさがある。
似て非なる偽物に心を売らない内なる真心が、周りの人の心を照らしてるんだなぁと思った。

後半、おばあが、酒の完成への大切な時期に倒れる。
一命をとりとめて、酒の完成の場に立ち会える。
読んでいて、ほっとする嬉しい場面だった。
とっても、読後感も良かった。

ちょっと、本筋から、外れて考えたことがある。
僕らの命には、時間的な限界がある。
そこから、埋めがたい哀しい場面にも、いっぱいであう…。
僕らの命は、そんな運命を背負っている。
それは、哀しいこと。でも、尊くもあるのかも。

もういっぺん、本筋にもどろう。
台風の通り道の南大東島の風土で育ったサトウキビ。
その材料でできたラム酒を「風の酒」と表現している。
その自然を、飲んでみたいなぁと思った。

(原田マハ 著 「風のマジム」2010.12 講談社)


本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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