2012 / 08
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最近発見した、今年の大収穫の作家・塩田武士さん!
小説現代長編新人賞のデビュー作「盤上のアルファ」「女神のタクト」に続く
三冊目の本。

◆(ものがたり)
武井諒28歳は、上方新聞社入社6年目の社会部記者。
ある日、先輩記者の寺内に口説かれ、イヤイヤ組合の新執行部の教宣部長を引き受ける。
「度が過ぎるほどのあがり症」で、筋金入りのマイナス思考の彼が、助平だったり、冗談まみれだったり、かとおもえば、寡黙で近寄りがたかったり、セクハラ広告に過敏だったりと、様々な執行部の面々と付き合うことになる。
でも、職場や仕事をより良くするための、組合の論議や当局との交渉になると真剣になる。
そんな、組合活動の中で、武井は、新しい視野が広がり、生き方を考える。笑いあり恋ありの、楽める組合エンターテイメント小説の傑作!


◆ (おもった)

「組合」なんか知らない、いらないと思っている人。
仕事や暮らしを良くしたい人。
今、組合役員の人。
いろんな人に、楽しんで読んで欲しい。


苦しい時でも諦めないで、知恵と心からの言葉を尽くしあって、人間らしい職場や生き方の前進を図る。
そんな思いや、人が持つべき誇りのこと。美しさを捨てない生き方のこと。
人として大切なテーマが、「組合」を舞台に、笑いや恋のハラハラを織り交ぜつつ、感動的に描きだされている、超おススメの一冊!


(「ともにがんばりましょう」塩田武士 著 2012.7 講談社)



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◆(ものがたり)

19歳のヒロイン佐古は、未熟児として生まれて、身体的な劣等感を持っている。
小学生の時に家を出たままで、娘が19歳になる今まで帰ってこなかった父親。ある日家に帰ると、見知らぬ男性を連れ込んでいる母親。そんな自分勝手に見える両親。それらを理由に、喜怒哀楽の感情や、思ったことも口に出さず、周囲のことなんてどうでもいいやと思いながら生きてきた。
ヘルパーとして、79歳の要介護1の横江先生の家に派遣される。
介護の仕事をしながら、横江宅の息子(「犯人」後に「あの人」と呼称)から「額装」の仕事を手伝って欲しいと依頼され、手ほどきをうけることになる…。

◆(おもったことなど)

「サマータイム」の詩が、何度も出てくる。
この詩の作者がジョージ・ガーシュウィン

♪ 夏が来て、暮らしは楽、
魚が跳ね、綿花は高く背を伸ばす、
あんたのお父さんはお金持ち、お母さんは美人、
だからさ、よしよし、泣くんじゃないよ ♪


印象的な詩。この歌はオペラ「ポーギーとベス」の劇中歌で、過酷な環境の下に生まれた赤ん坊に反語的に歌いかける子守唄だったとのこと。佐古が「犯人」(後に「あの人」)と密かにニックネームをつけた横江先生の息子が額装する歌手エラ・フィッツジェラルドのアルバム「エラ・イン・ベルリン」には、この歌が収録されている。
小説を読みながら、アルバムのジャケットを、ネットで検索して歌声にも聴き入ってしまった。
やわらかで、子供を慈しむように、命に歌いかけるやさしい声だった。

さてさて、「犯人」(後に「あの人」と呼ぶ)のつくった、この額装をみて、心動かされた佐古は、写真や絵画を飾る額装に、のめり込んでいく。
そして、これまでの生い立ちや家族状況を、言い訳にして閉じこもっていた自分の世界を越えて、「しなくていい」から「いざというとき立たたなきゃ出発できない」という能動的な生きる構えや、新しい言葉や意志に目覚めていく。そして、今ここにある自分自身の風景と向きあっていく。

泣くんじゃないよ、世界は広くてもっと彩りに満ちているんだと。そんな作者の思いが伝わってくる。

夏の終わり。
窓から部屋を吹き抜けていく風みたいな気分のいい一冊。


(「窓の向こうのガーシュウィン」宮下奈都 著 2012.5 集英社)



本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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