2012 / 10
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◆(ものがたり)

高校三年生のヒロイン・の恋の顛末。
彼女は同じクラスのたとえを好きになるが、彼には中学二年生から付き合っている美人で病弱な美雪という恋人がいて、手紙のやりとりをしている。
たとえの机の中の手紙を盗み読んで、彼らの親密さや密やかな関係を知る。
愛は、たとえに振り向いてもらおうと美雪にも接近するが…。

◆(思った)

読み終えて思ったのは愛、美雪、たとえの三人が、これからどうなっていくんだろうということ。
今も読者の僕の中で、三人の人生が動いている。
完結しないで継続している人の営みが、小説に刻まれているんだと思った

エゴイスティックな、愛の自分を認めて欲しいという強烈な欲望に圧倒される。
ここまでやるか、やりすぎじゃんという思いと、ここまでやることへの羨望を感じたりする。

たとえに恋するまでは、クールで打算的だったはずの愛が、恋にのめり込み熱中して変わっていく。
成績はガタ落ちになり、プライドをかなぐり捨てて傷だらけになりながら、たとえや美雪に
自分の思いを吐き出していく。

他者に大切な思いを伝えること。誰かを本気で好きになること。
それは、傷つきながら、自分の中に棲んでいる本音を吐き出すこと。
自分や相手と向き合い、痛みと共生しながら自分をひらいていくこと。

最後まで、目が離せない一冊。


(「ひらいて」 綿矢りさ著 2012.7新潮社)


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◆(物語)

一般診療から救急医療まで24時間365日をこなす、信州松本の本庄病院の内科医師、栗原一止の、病院や日々に起こった出来事を綴るシリーズ3作目。

夏祭り・秋時雨・冬銀河・大晦日・宴からなる。
作品を重ねる毎に、ますます味わい深く面白くなってきたシリーズ。

新たに病院に赴任してきた小幡奈美医師。経験もあり優秀で仕事熱心なベテランの赴任、当初は歓迎していたが、ある当直日に、酒を飲んで救急通院してきた患者を診察せずに帰すという病院の理念に反する出来事が起こり、看護師や一止たちと軋轢がうまれる。なぜそんな対応をしたのか?小幡医師の生き様や真意が徐々に見えてくる…。

日々、休みなく診療を続ける医師になって6年目、30歳の一止に、大きな転機が訪れる…。


◆(思った)

毎度ながら、命を預かる病院現場。そこで働く医師の過酷な労働条件に驚き、仕事にふさわしい余裕ある医療体制であって欲しいと思う。本庄病院は、医師や看護師などのスタッフの犠牲的精神に支えられている。一止も忙殺される日々だ。生死が交錯する病院。多忙なのに、妻のハル、同僚や友人たちと交わされる会話は楽しい。
その病院に、小幡医師が赴任してくる。彼女の生き様や哲学から、一止は自分に足りないものを学んでいく。


夏目漱石の大ファンで、いつも彼の文庫本を持っている一止。
今回の作品に、繰り返し登場する漱石が書簡に書いたという次の言葉が印象的。「あせってはいけません。ただ牛のように、図々しく進んでいくのが大事」。希望を諦めない、ゆっくりだけど確かな歩みを始めようとする主人公が、輝いていた。

凄まじい現場の話なのに、作品全体に漂うゆったり感が病みつきになる独特の文体。
希望を諦めない一止の生き様に、込められた作者のメッセージがとっても元気をくれる。

(夏川草介著「神様のカルテ3」2012.8 小学館)



ここの、未更新が長くなってしまった。
でも、読書生活はとても充実しています。

◆ 池井戸潤さんの「ロスジェネ…」に続く前二作「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」を読み、塩田武士さんの「ともにがんばりましょう」以前に書かれた「女神のタクト」「盤上のアルファ」を読み、夏川草介さん「神様のカルテ3」を読み、相馬英雄さん「震える牛」を読み、原田マハさんの「楽園のカンヴァス」「旅屋おかえり」川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」と読みまくっております。思い出しつつ、何作かの感想を近くUPします。

◆ 今日、書こうと思ったのは、映画「ツナグ」です。
とっても、良かった。
小説の感想は、以前にここに書いた。素晴らしい作品だ。

今回この映画を、観に行くかどうかとても迷った。
小説の良さが、台なしにされた映画に、がっかりした経験があったから。

でも、これは観てよかった。
久しぶりに、小説の映画化作品で感動した。
作品を見事に映像化していて、涙が何度も出た。

どの役者も、素晴らしい。松坂桃季くんは、はまり役だった。
他には、微妙な高校時代の女性の友情と嫉妬を描いた作品にでてくる、御園奈津を演じた大野いとさんが、印象に残った。

小説の感動に、映像の魅力が結合していて、これが映画だよ!と思った。
よかった!サンキュ!

(映画「ツナグ」 原作・辻村深月 脚本・監督・平川雄一朗 出演・松坂桃季 樹木希林 など )

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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