2013 / 02
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◆ (物語)

ある時は、車の当たり屋、あるときは女性の身柄の拘束、誰かを脅して口止めしたりと「悪事の下請け」「犯罪の派遣社員」のような裏稼業の溝口岡田。その二人のことを描いた5章。
「第一章残り全部バケーション」「第二章タキオン作戦」「第三章検問」「第四章小さな兵隊」「第五章飛べても8分」

◆(思った)

…ったく、どうなってるんだこの世の中!
放射能の処理能力もないのに原発推進する神経とか、
憲法変えて、人を殺傷できる国づくりをすると言ってる、命への想像力のない哀しい人たちとか、
地震・隕石の恐怖とか、
イジメ・リストラとか、自殺者3万以上の国とか、
「無縁社会」の冷たい空気・病気や老後の不安いっぱいの政治とか…。
不安と不信と汚濁が日々巻き散らかされて、まっとうに生きたいというささやかな思いを、ギリギリ締め付ける空気が社会に蔓延してる。

おっと、本の話だった! …で、この楽しげな本の名前に惹かれるネェ。
人間って、もっと楽しく伸びやかに、平穏に平和に信頼しあって生きられるはずなのにと思う。
こんな時代だから、本当の意味で楽しい日々を過ごしたい。

伊坂さんには、ギャングとか死神とかの、悪人や忌み嫌われる存在を描いた作品が以前もあった。でもそこに出てくる人物たち面白いんだよなぁ、憎めないのさ。読んでスカッとしたり笑ったり。今回の裏稼業の二人もそんな感じ。

主人公の一人の岡田は、早々に「仕事の相手が泣きそうな顔になる、どうせなら喜ばれる仕事をしようかと思う」ことを溝口に告げて裏稼業を抜けたいと告げる、その責任で岡田は、元締めのボスの毒島に消されたのか?と思いきや…。

最終章を読むまで、岡田の直接の先輩・溝口は自分勝手で嫌な小悪人だと思ってた。
ところが、ところが なのだ…。

岡田の小学生時代を描いた四章に出てくる弓子先生の姿。この物語の深部にも「ゴールデンスランバー」に出てきたキーワード「信頼」は日常を支え超えていく力なんだという作者の思いが流れている。


そして、全編、茶々を入れたくなるセリフのオンパレード。

「子供作るより、友達作るほうがはるかに難しい」ってセリフに笑っちゃったけど、本当の友達って、深い信頼の構築がないと出来ないもんなぁ…。ウン、ホント、難しいかも。

…ってことで、もっと、楽しくユタカに生きたいと思いつつ読んだのさ。
岡田くんたちの明日に、サチあれ!


(「残り全部バケーション」伊坂幸太郎著2012・12集英社)



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◆(物語)

シリーズの前作「神去なあなあ日常」では、高校を卒業した平野勇気が、担任教師と両親の申し合わせで三重県の山奥にあるとされる神去(かむさり)村(架空の村)でまさかの「林業」に取り組むことになる。。
「なあなあ」というのは、神去弁の口癖で「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」など幅広い意味合いがある挨拶のような言葉(これも三浦さんの創作の言葉)。最初は嫌だったこの村での暮らしに馴染んできた。

さて、今回はシリーズ二作目。主人公・勇気は20歳になった。彼が同居させてもらっているのは、一緒に仕事をしている飯田与喜ことヨキの家だ。短髪の金髪で、30代前半の山仕事の天才だが性格に問題ありで、野生の勘で生きているような男だが、チャキチャキの妻・みきさんにリードされている(実はとってもラブラブなのだ)。もうひとりの家族・繁ばあさんは村の長老として尊敬されている。犬のノコもいる。ヨキと共に一緒に働いている仲間は、勤め先の中村林業(株)の30代だが面倒見がよく「おやかたさん」と呼ばれる中村清一さん。50代の田辺巌さん。70代半ばだが現役の小山三郎じいさんたち。

勇気が、夜中に一人パソコンに向かって、日々の見聞を綴るかたちで語られていく物語。
「第一夜・神去村の起源「第二夜・神去村の恋愛事情」「第三夜・神去村のおやかたさん」「第四夜・神去村の事故・遭難」「第五夜・神去村の失せもの探し」「第六夜・神去村のクリスマス」「最終夜・神去村はいつもなあなあ」

◆(思った)

今回は勇気の周りの人たちの人柄や家族・恋愛・村の成り立ちが、より詳しく語られている。
第二夜の話で、暴れん坊で女にもてたヨキとの馴れ初めを、みきさんが勇気に語る場面は面白い。そして、勇気が惚れている小学校教諭の直紀さんのことを思う。
第四話では、昔、清一やヨキの両親を始め村人16名が乗っていたバスの事故で亡くなった話が出てくる、ヨキが小学5年生で、清一が高校生の頃のこと。物語の前面には出てこないけれど、どこかで生と死のつながりを意識させる記述がでてくる。生と死は深くつながっていることを意識するって大事だととても思った。
今回の物語の大きな柱は、勇気の直紀さんへの恋の行方だ。周りの人たちの生き方や直紀さんに対する思いが深まるにつれて勇気が「俺のなかにも、たしかに信頼と愛が存在するんだってこと」(274)に思い至る。それは、普遍的で深い思い。これは「舟を編む」のなかにも流れていた。

生きるってなんだ?「信頼と愛」ってどういうことだ?
そんなことを、楽しく思わせてくれるしみじみといい作品。


(「神去なあなあ夜話」三浦しをん著 徳間書店刊 2012.11)



本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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