2013 / 05
≪ 2013 / 04   - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 -  2013 / 06 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


◆(ものがたり)

生まれつき左顔面にアザがある前田アイコ
小学校の時には「琵琶湖の形」とアザを形容され、中学時代には男の子達の話題の中で「可哀想だ」といわれ、高校時代は人数合わせの合コンに誘われるが、集合場所に早く来た幹事の男女がアザのことを話題にしていて、男の幹事が(代理参加者は)「ほかにいなかったの?」と言うのを聞き、会を欠席したこともある。

そんな経験の中で、おしゃれをやめ、勉強をしながら目立たないように過ごす生活が、身に付く。
男子生徒などに、素っ気ない態度をとることから「野武士」というあだ名がついたりする。

24歳になったアイコは、理系大学院生だが恋愛経験なし。

ふとした縁で、顔にアザや怪我のある人たちのルポルタージュ本「顔がわたしに教えてくれたこと」が出版されることになり、請われてアイコは本のインタビューに応じ、表紙写真にもなる。その本が、アイコの話を中心に恋愛ストーリーで映画化されることになる。希望されて、その映画監督・飛坂逢太と対談することになる。
彼の豪快と繊細を併せ持つ人柄、作品に惹かれ、アイコは初めての恋におちる…。

◆(おもった)

アイコが飛坂に惹かれていく過程や、華やかな世界にいて、アイドルとの路上キスが報じられるなどモテモテの飛坂が、アイコに強く惹かれる理由や、様々な場面の登場人物たちの会話など、とっても自然で、豊かな描き方がされていて、胸にしみてくる。

他にも大好きな場面。オシャレで口の達者なミュウ先輩が、職場のキャンプで大火傷で入院し、心に大きな傷を負う。見舞いに行ったアイコが、思いもかけなかった先輩の素顔にふれる。そこに至る場面がとてもいい。

文中に、他人の痛みに「垣根なしに手を伸ばすことがこんなにも難しいもの」だったと、アイコが改めて気づく場面がでてくる。思い込みや、いつの間にか作っている心のバリヤーを解き放つことができたら、もっと自由に生きられるのかもしれない。

切なくて、美しくて、深い、恋と成長の物語。
話し出せば、次々に印象的な場面が出てくる。アイコの成長が、元気と勇気をくれる最高の読後感。
逢えてうれしい一冊! オススメです。


( 「よだかの片思い」島本理生著 集英社 2013.4)


スポンサーサイト

◆(ものがたり)

「戦力外通告を受けた選手が、もう一度どこかの球団に入団するために受けるテスト」を
「トライアウト」という。
高校野球の優勝投手からプロ野球に入団。プロの投手になったが、木下監督の勝つために「相手のサインを覗く」という手法についていけず、嫌われて二軍落ち、他球団に移籍後に復活したが、左肘を故障して戦力外通告となる深澤翔介。球団をクビになり、トライアウトも全滅したが、現役続行にこだわる。

実家に小学二年生の息子・考太を預け、新聞社で働く38歳の久平可南子はシングルマザー。
9年前のスキャンダルの後、妊娠が判明し出産したが、父親の名前は誰にも明かさない。

彼女は、内勤の校閲部から外勤の運動部に9年ぶりに人事異動し、トライアウトの取材を通じて深澤選手と再会する。彼女は、15年前、23歳の入社一年目の時に、18歳の深澤が高校野球で優勝したことを思い出す…。


◆(思った)

見つけた!面白い作家。深澤や可南子を始め、登場人物たちの鼓動がイキイキと伝わってくる、読み応えバリバリの一冊。

二人以外にも印象的な登場人物たち。例えば、一見、金持ち大好きでカル~イ感じのキャラクターの可南子の妹・柚奈は、さりげなく確かな目と思いやりが様々な場面にでてくるし、可南子とソリが合わないように見える父・謙二の、人を見る目の確かさなど、物語を面白いものにしている。

若い主人公が、希望にあふれて歩き出す青春ドラマも面白いけど、30代の男女が、悩みながら生き方を探す陰影豊かな大人の物語も、とってもいい。

自分にとっての納得のいく、新たなプロ野球生活を目指す、ピークを過ぎた野球選手・深澤の挑戦。
そして、父との死別、子供の成長などの家族関係の変化とこれからの生き方、人との本当の関わり方、家庭と仕事などを背負いながら生きる可南子の歩み。
二人の人生が交錯し、本音を出し合いながら作り出す関係がいい。

印象的な言葉がある。
◆「人生を大きく動かすには、自分自身の中の暗闇(くじら注※「自分の思い込み」のこと)を動かすしかないってことだな」(P241)
◆◆「自分にとって納得のいく終わりはあるだろう。終わりは悪いもんじゃない。さっきビリって言ったけどな、おれとしては今、先頭にいるんだ。これまでは他人と競争するためにやってきたけど、これからは自分との競争をする。だから先頭」 (P259)

大きな声に流されず、思い込みに惑わされないで、新しい人生をどんなふうに切り開いていくか?
そんなことを、考えさせてくれる、面白さ抜群の一冊。

藤岡陽子著「トライアウト」2012.1光文社)

以前「五体不満足」を読んで以来の、乙武くんの本。
この本が面白かったんで、彼が期間限定で体験した、小学校の教師生活をもとに書いた小説「だいじょうぶ三組」「ありがとう三組」も、関連本「だから、僕は学校へ行く」「希望」。そして「自分を愛する力」で対談していた精神科医の泉谷閑示著「普通がいいという病」「反教育論」などガシガシと読んだ。
あまり面白いので、更新している暇がなかった。
なので、久しぶりの更新。
だらだらブログだけど、覗いてくれた人、アリガト!

さて、この本は面白いです!刺激的です!いっぱい考えさせてくれます!笑えます!泣けます!

手足がない「とびきりの重度障害者」の乙武くんが「障害者=かわいそうな人」じゃなくて、なんであんなにイキイキしているのか。この本には、障害の有無にかかわらず、人が元気に生きる大切なヒントがいっぱいある。彼の「明るさのヒミツ」それは「自己肯定感=自分を愛する力」だという。この答えも言葉もありがちな表現だ。
でも、この本には内容も題名も、錆びていない豊かな宝物がいっぱい詰まっている。


第一章「息子として」のこんな話。

「たいての親は、子どもが無事に生まれてきたことへの感謝を忘れて…わが子の”未熟さがし”に没頭してしまう。親だって、自分だって、まだまだ未熟だということをすっかり棚に上げて。」(P45~46)彼は、「五体不満足」な身体で生まれたため、他の人と比較対象がいなかった。それが”ケガの功名”のように”「平均」「標準」のモノサシではなく、彼の特性や発達のペースを尊重した、ほめる育児を実践してもらえたと言っている。

何が、純度高く「命と向き合うこと」を邪魔しているんだろう?それをするために、何が大事なんだろう?
とても、考えさせられた。


第二章「教師として」には

「任期付き教員」として2007年4月から3年杉並区の小学校で教壇にたった経験が書かれている。
教師としての子どもたちとのふれあいのエピソードは、教育現場や子どもたちの今がリアルにわかる。ここでの体験には、彼にしかできない内容がいっぱいだ!
その取り組みには「みんなちがって、みんないい」という思いがこもっていて、ここには書ききれないけど、何度もグッときた。

最初に紹介した二冊の小説、ぜひぜひ、オススメ!

第三章「父親として」は、彼の家庭の二人の男児の出産にまつわる子育てのこと。そう、彼はおとうさん。

肉体的に「子育て」にかかわれず、守るべき存在になにもできない自分を「人生で初めて、この身体をつらいと思った」と自己肯定感の揺らいだときのことが書いてある。そのとき妻が「話を聞いてくれて、いっしょに考えてくれるパートナーがいるんだと思えることのほうが」ありがたいと自己肯定感をつないでくれた言葉として紹介している。育っていく子どもたちの姿も感動的だ。
彼が「六甲おろし」を子守唄に歌うエピソードに大笑いした。

最終章「自分を愛せない人への処方箋」は精神科医の泉谷閑示さんとの対談。

親の欲望を愛に見せかけるまやかしの言葉として紹介されたている「あなたのためを思って!」(P213)。
そして、その親自身が、果たして人生を肯定しているんだろうかとの問いかけもある。
「失敗」が「豊かな人間」を育むという話もでていた。

◆失敗を極度に恐れて「萎縮」したり、人目ばかりを気にする社会では「自己肯定感」は育たない。
「みんな、ちがっていていいんだ」という伸びやで「命の芯」に寄り添う思い・言葉・行動が人を元気にする。
オト君が、悩みながら「五体不満足」だからこそできる日々を、教えてくれた。

この本から「君には、君の方法で、君しかできないことがあるよ。だいじょうぶ!」そんな声が聞こえてくる。
超オススメの一冊。


乙武洋匡著「自分を愛する力」講談社現代新書 2013.3)


本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

04 | 2013/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。