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短大を卒業して、約20年を経て届いた同窓会の通知をきっかけに、学生時代に亡くなった
男友だち・森川雄士の夢を頻繁に見たとノンから領子に電話がある。
そして、領子、明子、花、穂乃香、ノンが、東北の街で再会する。
短大時代の知り合いで、プロダンサーを目指していいた森川の死は、自殺ではなかったのでは?
彼の死を巡る、それぞれの思い。交わされる彼女たちの会話。
そして同級生で単身ニューヨークに渡り演劇学校に入学した美晴の今。
20年後のそれぞれの女性たち。そこから見えてくるもの…。


◆ 犬のモモと暮らす独身の領子。勤めていた出版社が倒産。失業中。(「モモといっしょ」)

明子が、密かに憧れていた従兄カンペーの勧めで結婚した相手には、病死した前妻の娘・舞衣がいた。
打ち解けていると思っていた中学生になった舞衣が、電話で明子のことを「あいつ」と呼んでいるのを聞いて動揺する。 (「不惑の窓辺」)

◆ スナックで働きながら寝たきりで入院の父、ショートステイを利用する母。両親の介護の日々を過ごす(「花の影」)

穂乃香は、プータローの森川を支えていたが、自らも渡米を夢見る森川は彼女の同級生・美晴が、演劇修行に渡米したことに苛立ち、彼女との喧嘩が絶なくなる。この件で相談した栃田弘光に惹かれやがて結婚する。二人には、お互に森川の死をめぐって心に抱いてきた思いがあった…。 (「結晶」)

◆ 20年ぶりに五人はホテルのロビーで再会。卒業もこの日のように寒い三月だった。
則子ことノンは、東北の建売住宅に夫と二人の娘と暮らし近所の子供たちに習字を教えたりと順調な暮らしだと思っていたが、夫が別の女性と付き合っていること言明。別れ話がもちだされる。 (「三月」)

美晴は短大を出て一年半後、親の反対を押し切って、単身でニューヨークの演劇学校に入学するが…。
(「遠くの涙」)



短大を出て20年後に再会した、40歳前の女性たち五人と、ニューヨークで生きる一人の同級生の今。

眩しい青春時代の先にある続いている人生。

短大時代の日々では、なんとも思わなかった人との出会いや付き合いが、
実は心の深いところを照らしてくれて、今も生きる何かの力になっている。
そんなことを思うのは、大切な人や肉親との思いもかけない別れや、予期しない出来事にあって
大きな喪失感に、呆然とする時なのかもしれない。
あの三月から始まり、この三月を生きて、そして、新しい三月に会いにいく物語。


生きているうちに、誰かと笑いたい。
泣くのありかもしれない。
命ある時間を、うんと生きたいと思った。

また、読み返したい一冊。

(「三月」大島真寿美著 光文社 2013.9)



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教材専門の小出版社「雲と木社」の23歳の派遣社員・澤田三智子は、四年付き合った近藤洋太郎に、昨夜フラレて、落ち込む。
会社で一目置かれているやり手の「アッコ女史」こと、営業部長・黒川敦子は、45歳独身173センチ、独特のオーラを放っている。
食欲がない三智子の代わりに、アッコ女史が彼女の弁当を食べる。
そして、三智子はアッコ女史から「来週一週間、弁当を作ってきて欲しい」と頼まれる。
代わりに彼女の一週間のランチのコースと取り替えようと。

三智子は、アッコ女史に弁当を作ってくる。
そして、代わりに月曜から様々な店でランチを食べる。
そこで知る、アッコちゃんのさまざまな顔、そして見えてくるもの…。
(第一話「ランチのアッコちゃん」)。

第一話「ランチのアッコちゃん」
第二話「夜食のアッコちゃん」
第三話「夜の大捜査先生」
第四話「ゆとりのビアガーデン」の独立した四編。

前作「わたしにふさわしいホテル」には、作家を目指して、パワフルに突き進む女性が描かれていた。
実名で作家が登場したり、実在しない登場人物でも、モデルを想像させるのに十分な文章が出てきて、大笑いした。

この本も、とにかく面白い。
サクサクと、笑い転げながら読める。
四話からなるこの本にも、落ち込みつつも、顔を上げて歩く女性たちが出てくる。
思い込みに囚われたり、自分はダメだと萎縮したり。
そんな思いを、行動しながら、超えていく登場人物たちの姿が逞しい。


登場人物の一人・玲実のこんな言葉がある。
 「落ち込まない!身をすくませているうちに、何かは出来るかもしれないじゃないですかぁ」 
(P159「第四話・ゆとりのビアガーデン」)

笑いつつ、出来ることをやっていこう。
そこから、何かが見えてくる。
ウマ~いものを食べたあとみたいに、元気がわいてくる一冊。


オーソドックスな、弁当の表紙が印象的。

(「ランチのアッコちゃん」柚木麻子著 双葉社 2013.4)

「バッテリー」の作者・あさのあつこさんの新刊。

舞台は昭和18年夏。嘉陽高等女学校三年生の四人組。小さな温泉旅館の娘・室生三芙美、のんびりやで物真似の得意な三島則子、料亭の娘で、高女のマドンナとよばれた美貌の高崎和美、美しい少年のような川満詠子の四人は、いつも一緒。

四人が集まる三芙美の家は、小さな旅館。母が苦境を救った男から、お礼にと母が内緒でもらった特上の布。それをを使って自分たちのためのブラウスを縫いあげる、そして四人だけでファッションショーをやろうと語り合う。モンペ以外禁止の時代に、それは四人の秘密の宝物になった。

この戦争は「鬼畜米英(【管理人注】⇒鬼・畜生のような人間に劣る敵国アメリカ・イギリスのこと。)からアジアを解放し、真に平和なる大東亜共栄圏をつくりあげるために尊い戦いを繰り広げているのだ。」(P7)と、正義の戦争だと信じながらも逼迫する暮らし。腹いっぱい食べてみたいという庶民の食料事情の一方で、上級軍人たちだけの秘密の宴会や、丁寧語が粗暴な言葉になってきた校長先生の訓話、飼い犬のゴンを、肉や皮革の増産のためと、泣き喚く妹の寿子から強制的に「畜犬の供出」をさせる隣組長の言動に、三芙美は矛盾を感じる。
モンペ以外の服が禁止される時代の中で、普通の洋服が着たいという願いを持つ三芙美は、夢や未来を描く自分は「非国民なのだろうか。」と悩む。

四年生になった彼女たちに「学徒勤労動員」の日が来る。三芙美、則子は被服工場、詠子は陸軍の造兵廠、和美は学校工場にと別々の場所での日々が始まる。親や妹と別れて、三芙美も泣きながら電車の人となる。

正月の三が日、久しぶりに再会した四人。三芙美は、三人が結婚式の時に着るドレスをデザインしたノートをプレゼントして、笑顔の再会になる。

戦局は悪化し、空を覆うB29の編隊、工場は全焼したため、歩いて郷里に帰り着いた三芙美は、和美と再会した。

昭和20年8月15日敗戦。

行方不明の則子と詠子も、きっと帰ってくる…。


思ったこと①
「困難な時ほど、夢を持って生きることが大事」ってこと。

三芙美のファッションデザイナーへの夢が四人でブラウスを作ったり、再会したとき、三人が結婚式で着るウエディングドレスのデザインした画をわたす。この場面がとってもいい。気持ちに灯が灯るってこんな時。

「現代(いま)の日本でたたかっている少女たちに、この物語を贈ります」(本の帯の作者の言葉)
作中の四人の姿に、夢を抱くことの素敵さ豊かさを感じた。大変な時ほど夢と友だちだね。

思ったこと②
「戦争の哀しみ」その哀しみの再来を、許してはいけないということ。国のために命を捨てることを強要された時代のことを描いた作品を「花や咲く咲く」というタイトルにしたこと。
この本の発行日が、終戦記念日の8月15日いうところにも、作者の願いを感じる。


これは過去の物語ではなくて、今の問題とつながっている。
今話題の「集団的自衛権」や憲法9条改憲の問題は、関心の有無に関係なく戦争につながっている道。
すべての個人の未来をどうするのかが、今日本人に問いかけられている現実。


(※【ちょいと脱線して、関連する他の本の紹介】 ⇒ 過去の世界中の「集団的自衛権が行使された歴史」は「違法な侵略の歴史」で、侵略の口実に自衛権が行使されてきたのが現実。苦い過去の経験から「武力行使は慎む」というのが、今の国際的な趨勢だという、侵略の道じゃなくて、日本しかできない国際貢献の道があると、持論を問いかけている。
 「集団的自衛権の深層」(松竹伸幸著 平凡社新書)侵略の実態を隠す「自衛権」という、言葉に騙されちゃダメだね。斬新で面白い本!オススメの一冊です!)

戦時下のドラマだけど、楽しそうに笑う彼女たちの顔が浮かんできた。
彼女たちの、抱く夢や友情の豊かさに胸が熱くなった。
こんな時代からこそ、豊かにしなやかに、夢と笑いを持って歩かなきゃね。

あさのさん サイコーだったよ!サンキュ!

(「花や咲く咲く」 あさのあつこ著 実業之日本社 2013.8.15)

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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