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◆ サッカー部で活躍し、成績もいい。将来は医大に入って、小児科医師を目指す高校生・宮本達大(たつひろ)。
彼の両親は、新聞記者と雑誌編集者の夫婦で、共働きで言い争いの末に離婚。
他所に家庭と子供をつくった父。10歳下の男と付き合っており、週数回通っている母。
その「不埒で、無責任」に見える両親の姿に、大学生になったら、一人で生きていきたいと考えている。
担任の教師・清水は、クラス委員になった宮本と土田に、出席簿を毎朝つける替わりに、土屋の喫煙を見逃し、宮本の三者面談免除という交換条件を持ちかける。くだけてはいるものの、これも、いいかげんな大人に見える。

そんな清水に「他人を受け入れる幅が狭い」「考え方に遊びがない」などと宮本は、気にしているところを指摘される。彼はやがて「貴校の三年二組に、担任公認の上、校内で常習的に喫煙をしている生徒がいます。…もし見逃すようなことがあれば、インターネット上に事実を公表します。」というFAXを学校に送りつける…。事態は様々な予想外の波紋を呼んで動きだす。

◆ 本当の意味で大人になるってどういうことなんだろう、という問題意識が流れている。
勉強をして、優秀な成績で一直線に医大に入るはずだった達大は、女優を本気でめざす土屋佐保子の気概に圧倒され、その姿が心に焼きつく。その土屋に振られても、彼女を庇おうとする同じクラスの三浦の、土屋への、まっすぐな思い。宮本は、やがて彼と継続して話すことになる。いいかげんそうに見えて、生徒をよく見ている教師・清水。異性として、初めて付き合う、同級生・片岡さと美三浦の母。その母が気にかける同じ住宅の独居老人・平田さん。人とのかかわりの中で、人生や人の奥行きに触れていく。

◆ 主人公の生き方、問いかけがとても印象的だ。煩わしくて、省きたかったはずの人間関係が、痛みや哀しみや悩みを伴いながら、宮本の中に広がっていく。
それまで、目が向かなかった両親や、自分が目指している医師という仕事の、人間的・社会的な広がりが、徐々に見えてくる。時間を重ねるだけではなく、よく言われる「もう少し、大人になれ」の意味するものとも違う「本当に大人になる」ために、主人公は歩きだす。
大人って何だろうの問いは、一生続くのかもしれない。


(佐川 光晴著 「ぼくたちは大人になる」 2009.1 双葉社)



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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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