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6つの短編物語からなる「肉体労働男性たち」の恋の短編集って感じの独特の視点のある一冊。
それは、肉体を持った、どっしりとした人の姿だ。
「間食」「夕餉」「風味絶佳」「海の庭」「アトリエ」「春眠」。
登場する男性は、「鳶職」「清掃作業員」「ガソリンスタンドのアルバイト」「引っ越し作業員」「汚水槽の清掃作業員」「火葬場の職員」など、いずれも肉体を使って働く人たちの描写が見事。

◆献身的な15歳年上の加代と暮らす一方で鳶職・雄太は、加代と対象的な花とも付き合っている。彼女は、可愛がられることに慣れている大学生の女の子だ。
個性的なの鳶の同僚・寺内の謎めた言動も興味深かった。 (「間食」)

◆清掃員の紘に、よりをかけて料理をふるまう美々ちゃん。
空腹を満たすという、彼のすべての始まりを独占したいと思う…。 (「夕餉」)

◆年齢と関係なく、ボーイフレンドと一緒に、孫が働いているガソリンスタンドに車を乗りつけるグランマ(祖母)の不二ちゃんのことが、スタンド働く仲間たちの評判になる。その不二ちゃんの影響を色濃く受けながらも、照れくさい孫・志郎と、同じガソリンスタンドで働く乃里子との恋の行方…。 (「風味絶佳」)

◆四十半ばで離婚した母と娘が、引っ越しを依頼。
やってきた業者は、母の幼馴染の作並くんだった。
幼い頃、哲ちゃん小夜ちゃんと呼び合いった二人が、実家の庭で遊ばなくなって30年以上が立っていた。娘・日向子は、頻繁に来るようになる作並くんと、彼に好意を持っている母の進展しない関係に、やきもきする…。 (「海の庭」)

◆ 裕二は、麻子が働くビルの汚水槽の清掃作業員として、やってきて彼女と出会う。
世間知らずで、暗い印象の麻子に惹かれて、やがて結婚する…。  (「アトリエ」)

◆大学の同級生でサークル仲間で、憧れていた弥生。その彼女と、自分の父・梅太郎が結婚することになる。 呆然とする息子・章造…。 (「春眠」)


◆一番印象的だったのは「海の庭」。
ああっ!こんな幼いころの思い出。あったなぁ~。
こんなふうに、誰かのことを思って胸がいっぱいになること。
誰かのことを思うって…。いいなぁ(笑)。

物語の中で「いい歳をして」と言われる男女が、自由に生きている姿がでてくる。
「風味絶佳」の不二ちゃんとか。「春眠」の息子の同級生と結婚する梅太郎とか。
「いい歳をして」という吟味されていない、世間で飛び交っている人間の見方に、
作品の中に、人のドラマを豊かに描き出して、人のいろんな姿を見せてくれる。
それを読んでいると、人間て、けっこう奥行きがある生き物かも、と思ったりする。

 まさに 美味しい一冊!


(山田 詠美 著「風味絶佳」2005.5 文藝春秋)




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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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