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大事件も、ヒーローの活躍もないけれど、進行役のかあさんの語り口のゆったり感。
穏やかで温かい空気が物語の全編を流れる。
作品の中に「人が好きだ」という強靱な芯がある。
源泉かけ流しの良質温泉のような作品(笑)。
その源泉は「生きていることのステキさ」の湯。
物語のなかで、こんこんとこんこんと湧いてくる。

正月に読むと、いい年が始まるかもの一冊。

◆ 古書店「東京バンドワゴン」に持ち込まれた貴重な本「古事類苑」の中身のページが
くり抜かれていた…なぜ?
 隣接する喫茶店に、置き去りにされた赤ん坊は…?
「冬百科事典は赤ちゃんと共に」

◆ 自分で売りに来た本を、なぜか毎日一冊ずつ、変装をして買いにくるおじいさん?
小学六年生の花陽が、古書店のなじみ客・藤島へよせる淡い想い。
堀田家の未婚の母・藍子をめぐって、藤島が、同じく藍子を好きなマードックに恋の宣戦布告?
そして、順調なIT企業の社長の立場を捨てても果たしたい過去の事件とある決意。彼の哀しみや想いとは?藤島の危機に堀田家の男たちは立ち上がる、その行方は…?
堀田家の過去と現在が明かされる。「春、恋の沙汰も神頼み」


◆ 花陽が遊びに行った旅先で、見知らぬおばあさんから家への土産に託された本。
それは戦時中の幽霊のようなコピー本。
その本に、若き日の勘一の写真、裏には英文の記載が…それを見て勘一は、その老人に会いにいく。
時代・人の別れと再会。79歳の古書店主・勘一の、ほとばしる言葉が切なく熱く心に沁みる。
この本で一番好きな作品。「夏 幽霊の正体見たり夏休み」.

◆ 今では底抜けに明るい堀田家の過去。
60歳にして現役ロッカーの我南人の妻で、堀田家の太陽のような存在だった秋実が病没して、家族が危機に。どんなふうにして、堀田家は生まれ変わってきたのかが見えてくる一編。それにしても、4話の結末。我南人LOVEだねぇ~。「秋 SHE LOVES YOU」
以上の四篇を収録。

☆★「傷は消えないけど、人間は服を着る動物じゃないか。着る服は自分で選べるんだぜ」(143)は、二編目で、大切な肉親の死の悲しみを思い出して、やりきれない藤島の哀しみに堀田家の男たちが、総動員で語りかける。彼に語りかけられる言葉。
そして、三篇目で、勘一が怒りながら泣いて、大切な人に話しかける言葉がある。じ~んときた。(ここまで書いた以上に、ネタばれになるので書かないけど大好きな言葉。)
又、読み返したくなる、しみじ~みといい作品だった~。★☆

(小路幸也著「シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン」集英社2007,5)


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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