2017 / 08
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(お話)
◆ 赤い鳥居のそばに、長い銀の髪に金の瞳の、若いお兄さん店員がいるコンビニ「たそがれ堂」がある。
春の陽だまりのような照明のレトロな店だ。
「大事なものを探していて、それを心の底からほしいと思っている人だけが」(第一巻.P42)たどり着く店。
今日も、探しものを切実な思いで求めて、いろいろな客が訪れる。
「コンビニたそがれ堂」シリーズの二巻目。
「雪うさぎの旅」「人魚姫」「魔法の振り子」「エンディング~ねここや、ねここ」
の四編を収録。

◆ 都会に引っ越した、引っ込み思案なさゆき。
友だちのいないさゆきが、冬休みに過ごした寒い街でつくった「雪うさぎと雪だるま」
それは、動かないけど、彼女の大切な友だちだった。
新しい街で新しい母親になる人と暮らしを始める不安から、さゆきは「たそがれ堂」で手に入れた
「送りたい人に必ず届く葉書」に「みんなに会いたい」と「雪うさぎたち」に書いて送る。
動けなかったはずの「雪うさぎ」たちは動き出し、さゆきを励まそうと旅に出る。
長い旅の途中、雪うさぎも雪だるまも、春の日差しを受けて溶けていく。
ようやくたどりついた雪うさぎは、さゆきの笑顔を目にする…。(「雪うさぎの旅」)

◆ ネットゲームの世界では英雄。
でも現実生活では、何もできないひきこもりの17歳の真衣。
IT会社で働く母親との二人暮らし。
自分をわかってくれて、元気で頭がよくて医者への夢をもっていた
いとこの秋姫が事故で亡くなった。そのショックから通学できなくなって二年がたつ。
秋姫の励ましを思い出しながら、外に出かけることから始めて、新しい自分に生まれ変わりたいと思う。
たそがれ堂で「奇跡の招待状」を手にして、秋姫を招待する…。(「人魚姫」)

◆ 作家・薫子が原稿を頼まれてエッセイのテーマをきっかけに、10年前に旅に出たサークル仲間の薫のことを思い出す。たそがれ堂で手に入れた「なくしたものお探しだすことができる、魔法の振り子」の話。(「魔法の振り子」)

◆戦国時代に大好きだった一家が殺されて怨念から魔物になる、子猫のねここの物語。
怨念一色で終わらせないところが村山さんの素敵さ。命のつながりを生きている歓びを描いている。
人の一生みたいに、花火もはかなく悲しいというねここに、たそがれ堂のおにいさんは言う。
「はかないけれど、でも、それはとても美しくて、そしてわたしたちは、いま、花火を見ている
ーーきれいだなあと思っている。それでいいんじゃないでしょうか?」
(P277)
(「エンディング~ねここや、ねここ」)

(思ったこと)
◆ 不思議で、切なくて、哀しい物語。
読んだ後に、心がじわじわと温かくなってくる。
じわじわってのが、いいんだ。
誰かを思うこと。その人のために何かをすること。
その思いを感じとること。
「現実は厳しいぞっ!」という声があるかもしれない。
いくら誰かを思っても報われず、悲しみや痛みが掃いて捨てるほどある現実。
でも、そんな現実にすり寄ったり、流されたりする作品はつまらん。
絶望的な、あきらめの気持ちで生きるのじゃ面白くない。
豊かな物語には、しんどい現実を超える想像力や智恵がある、生きることを刺激する。
読んでよかったなぁ~と思う。

…あぁ、また脱線気味の感想だぁ…。

この作品の中には、生きることへの根源的で豊かな問いがある。
例えばP103の問いとか…。
だから描かれている物語も、その問いを受けている。

こういう作品
すご~く好きだなっ!
村山さん サンキュ!いいぞっ!


(「コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状」2010.1 ポプラ文庫ピュアフル)

◆「はるりんどうの花」「カモのシンクロナイズド・スイミング」の写真をリンクの「別室・見聞日記」にUP!


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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