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◆ 売れない物書きの綿貫征四郎が、亡くなった学生時代の親友・高堂の家の、家守を頼まれて
過ごす日々の中で、ぐるりの自然や不思議な出来事を綴った、少し前の物語。
「綺譚」の意味そのままに「世にも珍しく面白い物語」。
亡くなったはずの高堂が、掛け軸の向こうからやってきたり…、
小鬼、河童、四季の花々など…。
不思議に満ちた話のオンパレード。

「猿がサルスベリに座るなんて。」
中略「それではあの木の場合、サルスベラズと呼ぶべきでしょう」107

人に化けたカワウソに、同類と見込まれて
「取り憑かれたら、一生、カワウソ暮らしだ。」
115

などの、交わされる、かけあいも楽しい。


◆ 不思議でおもしろい28編が収められている。
爆笑の笑いでなく、クスッと嬉しい心持にさせてくれる笑いの作品。

安心して文章のゆりかごの中で揺られる気分を味あわせてくれる作家は珍しい。
彼女は貴重な一人。スピードを競い合って血眼になる現実とは逆にみえる物語。
ゆったりとした「命の気配」が全編を漂う。

後半に征四郎が、作中でこんな意味合いのことを言う。
「与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めて」(185)
生きることが「精神を養うこと」になる。

自分はどうなんだろう?
ささいな言葉が、心に沁みてくる。

とっぷりと体も心も預けて、ひたりきって楽しむ一冊。

(梨木香歩 著「家守綺譚」新潮文庫2006.10)


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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