2017 / 05
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気持ちのいい場所・空間・居場所が欲しい。
みんなが、笑いあえる場所が、いっぱいこの世界に広がったらいいのに。
どうしたら、そんな人間の想像力とか、実行力とか、人がお互いを伸ばしあったり、育ちあったりできるんだろう。
この作品は、そんな問題も投げかけてくる。

◆(おはなし)
八頭森中学野球部の捕手・山城瑞希(やましろみずき)は小学5年生のとき、つれていってもらって魅せられた、甲子園に憧れる。しかし、小さな町の野球部には投手がいない。
エース候補だった峰岡豊志は、父の工務店の破綻により、借金を残して一家が夜逃げ同然にいなくなった。
その町に祖母と暮らすために作楽透哉(さくらとうや)が、親元を離れて別の街からやってきた。
彼が、ピッチャーとしてずば抜けた才能持っていることを、瑞希と部活仲間の田上良治(たがみりょうじ)は知るが、前の中学で、透哉はある理由から野球を辞め、不登校となっていた。
母のすすめで転校した、八頭森中学校にも登校する様子がない。
瑞希は、一緒に野球をしようと透哉を熱心に誘う…。

◆(印象的な言葉や思ったこと)
甲子園への強い夢を持つ瑞希。
その彼が、繰り返し語るキーワード。『しょうがない』。
その諦めの言葉に、足をすくわれたくないという思いが、印象的だった。


■『本気』と『しょうがない』について。

「…ほんとうの勝敗はどこまで本気で野球に関わりあえたか、『しょうがない』、あの便利な言い訳言葉を振り切って、どこまで喰らいついてついていったか、それで決まる。」 (P129)

■瑞希が透哉に語りかけるこんな場面。

「…甲子園で野球できるなんて夢の夢の夢かもしれんって。けどな、作楽、夢が現実になることってあるやろ。けっこう、たくさん、あるやろ。あると思うんや、おれ。最初っから諦めてたら夢は夢のまんまやで。…」 (中略) だいじょうぶだ。おれはちゃんと信じている。『しょうがない』に搦(から)め捕られてはいない。」 (P161)

■無力な経済の力で断たれた元のエース候補の部活仲間・豊志との突然の別れ。高校の統廃合の噂などに心揺さぶられながら彼は思う。 

「…負けたくない。運命とか現実とか得体の知れないものたちにも、野球の勝負にも負けたくない。『しょうがない』と諦めたくない。自分で自分をいなしたくはないのだ」 (P288)

◆ この熱い一直線の性格の瑞希のキャラクターに、遊び心を加味し、熱くなりがちな頭を冷やしてくれるのが、彼の部活仲間で理解者の、田上良治だ。
食いしん坊で、そつなく人と付き合いながらも、強情なところもある。
こういう奴、すきだな。

熱闘が繰り広げられる「未知の広場」である「グラウンド」。
野球に魅入られた瑞希たちの姿を描くことで、『しょうがない』を越えようと
命を燃やす姿が、魅力的で刺激的。


(あさのあつこ 著「グラウンドの空」角川書店 2010.7)

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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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