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◆(おはなし)
「24時間365日診療」を掲げる本庄病院はいつも満員。
主人公・栗原一止(いちと)は、ここで働きだして5年目の医師。
「変人だが、仕事熱心な医師」といわれながら働いている。

一止の、現実は厳しい。
睡眠を削り、食事もまともにとれず、休みの日もPHSで呼び出されて治療にあたる。
アパート住人との別れ。患者の死。
尊敬していた先輩医師の不治の病の発見と死など…。

◆(おもったこと)
この痛い現実にもかかわらず、明るく温かな空気が、作品全体を流れている。
漱石の「草枕」に心酔する一止の、年齢に不似合いな古めかしい語り口や、人間的な情熱とまっすぐな人柄、
そして、妻・ハルさんや先輩・同僚医師・アパート住人との交歓。患者の言葉。
人とのキラキラしたつきあいが、苦しくて哀しみが多い現実を、温かいものにしている。
読み終えるのが惜しいと思いながら、ページを繰る手が止まらなかった。

○魅力的な登場人物たちもいい。
同僚看護婦の東西。アパートの飲み仲間男爵。妻のハルさん。
尊敬する先輩医師の大狸先生。
大学時代の将棋相手で恋敵だった、東京から本庄病院に赴任してくるタツ…
いっぱいだ。

○居酒屋や飲み仲間と飲む酒の銘柄がいろいろ出てくるのも楽しい。
大好きな信州が舞台で親近感を感じる。

○印象的な「名場面」もいっぱいでてくる!
二巻目のP280のあたりなんざぁ…。
哀しくて、美しくて、切なくて…大好きな場面だ。

この場面の、こんなフレーズ。
「一瞬の奇蹟も刹那の感動も、巨大な時の大河のなかでは無に等しい…(中略)
時の大河の中では、人間の命すら尺寸の夢にすぎない。
だがその刹那にすべてを傾注するからこそ、人は人たることが可能なのである」


人生の、哀しさ、痛さ、温かさ、それに笑い。
それらが溶け合ってつくりだす豊かな物語。
「生きていること」が愛おしいって感じになる。

一止が愛読する「草枕」の冒頭のフレーズ
「とかくに人の世は住みにくい」
と思うとき、お勧めの一冊。

(夏川草介著 「神様のカルテ」2009.9 「神様のカルテ2」 2010.10小学館)

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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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