2017 / 08
≪ 2017 / 07   - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - -  2017 / 09 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


(ものがたり)

小さな奥秩父の山小屋「梓小屋」を舞台に、そこの三人のスタッフや、
山を訪れる人たちの人間模様と自然を描いた山岳小説。

小屋のスタッフは、交通事故で亡くなった父に代わって、脱サラして小屋を継いだ長嶺亨。かつて経営していた会社が倒産して以来、ホームレスで暮らしながら小屋の営業時期だけ助っ人にくるゴロさん。若年性痴呆症でなくなった父への心労から、鬱病になり
失意の中、かつて、父が写したシャクナゲの群生地を求めて、山を彷徨って遭難し、亨たちに助けられた縁で、小屋のスタッフになった美由紀

…そして、山を訪れる人々。

「春を背負って」「花泥棒」「野晒し」「小屋仕舞い」
「疑似好転」「荷揚日和」の6話。

(おもった)

3話目の「野晒し」が印象的だった。中で、ゴロさんと亨が交わす会話。
楽して手に入れようとするのが「欲」で、手に入れる苦労そのものが人生の喜びであるような何かが
「夢」だという「欲と夢の違い談義」。
「自分で歩いた距離だけが本物の宝になる」(P118)という自然と人生を結びつけた指摘。

更に、美由紀が山小屋で、スタッフとして日々を過ごしたのちに言う。
「気持ちが沈んでいるとき、誰かのためになにかをしてあげると、心のなかに光が射し込むの。(中略)それは私にとって、生きるために必要な空気のようなものなの」(P128)


生きている今を考えさせてくれる、登場人物たちの生きざまや言葉。
自然の風が、行間から吹いてくるような一冊。

(笹本稜平著「春を背負って」2011.5文藝春秋)



この記事へコメントする















本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。