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◆(ものがたり)

「戦力外通告を受けた選手が、もう一度どこかの球団に入団するために受けるテスト」を
「トライアウト」という。
高校野球の優勝投手からプロ野球に入団。プロの投手になったが、木下監督の勝つために「相手のサインを覗く」という手法についていけず、嫌われて二軍落ち、他球団に移籍後に復活したが、左肘を故障して戦力外通告となる深澤翔介。球団をクビになり、トライアウトも全滅したが、現役続行にこだわる。

実家に小学二年生の息子・考太を預け、新聞社で働く38歳の久平可南子はシングルマザー。
9年前のスキャンダルの後、妊娠が判明し出産したが、父親の名前は誰にも明かさない。

彼女は、内勤の校閲部から外勤の運動部に9年ぶりに人事異動し、トライアウトの取材を通じて深澤選手と再会する。彼女は、15年前、23歳の入社一年目の時に、18歳の深澤が高校野球で優勝したことを思い出す…。


◆(思った)

見つけた!面白い作家。深澤や可南子を始め、登場人物たちの鼓動がイキイキと伝わってくる、読み応えバリバリの一冊。

二人以外にも印象的な登場人物たち。例えば、一見、金持ち大好きでカル~イ感じのキャラクターの可南子の妹・柚奈は、さりげなく確かな目と思いやりが様々な場面にでてくるし、可南子とソリが合わないように見える父・謙二の、人を見る目の確かさなど、物語を面白いものにしている。

若い主人公が、希望にあふれて歩き出す青春ドラマも面白いけど、30代の男女が、悩みながら生き方を探す陰影豊かな大人の物語も、とってもいい。

自分にとっての納得のいく、新たなプロ野球生活を目指す、ピークを過ぎた野球選手・深澤の挑戦。
そして、父との死別、子供の成長などの家族関係の変化とこれからの生き方、人との本当の関わり方、家庭と仕事などを背負いながら生きる可南子の歩み。
二人の人生が交錯し、本音を出し合いながら作り出す関係がいい。

印象的な言葉がある。
◆「人生を大きく動かすには、自分自身の中の暗闇(くじら注※「自分の思い込み」のこと)を動かすしかないってことだな」(P241)
◆◆「自分にとって納得のいく終わりはあるだろう。終わりは悪いもんじゃない。さっきビリって言ったけどな、おれとしては今、先頭にいるんだ。これまでは他人と競争するためにやってきたけど、これからは自分との競争をする。だから先頭」 (P259)

大きな声に流されず、思い込みに惑わされないで、新しい人生をどんなふうに切り開いていくか?
そんなことを、考えさせてくれる、面白さ抜群の一冊。

藤岡陽子著「トライアウト」2012.1光文社)

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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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