2017 / 06
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三浦さん、目の付け所がいつもユニーク。
林業だったり、辞書の編集者だったり。
今回は、老人二人が主人公。

◆◆幼なじみの「政」こと国政。つまみ簪(かんざし)職人「源」こと源二郎。二人は73歳(途中加齢)。
共に一人で生活しているが、生活感などは真逆なほど対象的。
でも、喧嘩をしつつも、互いを大事に思っていて、不思議と気が合う。

「政」は、銀行員として家族をかまわないで働き続けてきて退職。今は年賀状もわずかしか来ない。
彼が70歳の時、妻は長女夫婦の元に行ったきりで帰らず、便りもなくなった。

「源」は職人としてハツラツと働き、弟子の徹平に自分の技術を伝授しようとすバリバリ現役。彼を師匠と仰ぐ弟子の徹平は、元ヤンながら今は職人修行に熱心、美容師の恋人ナミにも愛されている。若い二人から慕われる「源」の境遇に「政」は嫉妬している。
肉親はいるものの別居して、一人暮らしの「政」。
東京大空襲で肉親をなくし戦争で父が戦死し、最愛の女性と結婚するも40歳代で他界して、天涯孤独な「源」だが悲壮感はなく、ナミに禿頭のわずかな残髪を、赤、ピンク、緑と染めてもらい、歳を気にせずおかしな格好をしている。同時にかなりの頑固者。政と源のやりとり、徹平と彼らのやりとりが、珍妙で真面目でなんとも温かい…。

「政と源」「幼なじみ無線」「象を見た日」「花も嵐も」「平成無責任男」「Y町の永遠」の6話。

◆◆◆読みながらいろんなことを思った。
老いの受け止めかたと、生きかたの問題。死別のこと。本当の男女の繋がりのあり方。金で計れない価値としての「つまみ簪(かんざし)職人」という生きかたと社会の仕事に対する考え方の問題。

前作「舟を編む」に続いて、人生の時間のことが、悲しく愛おしくユーモラスに描かれている。
彼女の作品を読むと、もっと人生の時を味わったりかみしめたりしながら生きなきゃなぁと強く思う。「源」は母やきょうだいを、東京大空襲で殺された。飄々と屈託なくきているように見えて、心に悲しく深い傷を負っている。彼の真の思いを親友の「政」に吐露する場面がでてきて、その深い悲しみに心が痛くなった。
読みながら、戦火の時代が再びこないで欲しい、殺し殺される社会はまっぴらだと思った。



この戦争社会の再来の危惧がある、与党が強行可決しようとしている「秘密保護法案」は、個人の上に国家を持ってきて「あれも秘密、これも秘密、何が秘密かも秘密です。」っていう法案で主権者の国民の権利や生活を脅かすと世論の批判が広がっている。この法案は、情けないことに全ての日本人の未来に、ナイフを突きつけている物騒な代物。「源」が味わったような戦争はまっぴらだぜぃ~!

さてと、この物語を読みながら
自由で豊かな生き方って、どんな生き方なんだろうとだろうと考えた。
この物語には、スーパースターは出てこない。
ただ、珍妙に見える二人の老人の日々を描いている。
笑いまくりつつ、ほろりとさせる上質な人情噺のような物語だ。
この物語は、限りある時間を生きる愛しい命のことを、しみじみと考えさせてくれる。
印象に残ったこんな言葉。
「ゴールや正解がないから、終わりもない。幸せを求める気持ち。自分がしてきたこと。それらに思いを馳せては死ぬまでひたすら生きる、その時間を永遠というのかもしれない」(P243)

ボクらは、限定された人生の時間の中で、永遠の瞬間を感じながら生きるんだ。きっと!

若き日の源と花枝との結婚に、政が一役買う「花も嵐も」は特に好きな一編。
読み返したくなる味のある傑作。


(「政と源」 三浦しをん著 集英社 2013.8)


【】
笑って泣けて、ひさびさに楽しい本を読みました。
やはり小説は楽しく読めるのがいいですね。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
【目の付け所がいいね】
コメントさんきゅです。
本当に楽しくて、ほろっとさせたり、考えるとこもあったりで
読書の喜びがぐっと詰まった一冊でしたね。
【管理人のみ閲覧できます】
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【Re: タイトルなし】
何回か操作してるんですがうまくTB出来ません。
反映に時間がかかるのかもしれませんが。
送信できなかったらお手数ですが再度お知らせください。お手数をかけます。
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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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