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久々に読んだ森絵都さん。文章が弾んでいた。
豊かで、面白くて、これぞ小説って感じ。

言葉のイメージに、騙されない目を持たなきゃねって思いましたね。
「老人とアイロン」という一編の主人公は、自分で言葉を獲得しようとする中学二年生の君。
君は、学校の進路希望調査に「クリーニング屋」ではなくて「アイロン師」になりたいと答えて、世間の常識に反すると、父親に説教される。
自分の感性で、自分の進むべき道を探り当てようとする、君の本当の姿が父親には見えない。
物語には、彼が「アイロン師」と書いた理由が描かれる。そして世間で生き方が「洗練されていく」と表現されるものの内実が「去勢されていく」と同じ意味も持つことも見抜く。自分のあるべき場所を求めて、嘘に束ねられず、誇り高く生きようとする君の姿がカッコイイ。プリンがきっかけの次の三篇は笑いを誘うけど、生きる宝物のような話も出てくる「少年とプリン」 「老人とアイロン」 「ア・ラ・モード」

そして東北の震災以降大きく人生の歩み方や選択肢が変わっていく、東京に住む藤子と、被災地のボランティアに行った恋人高峰が、人生と向き合っていく今を描いた「あの日以降」

そして「漁師の愛人」という物語に出てくるヒロイン紗江と同居人・長尾の物語。
読み進んで、本当のことを知るほどに、言葉のイメージだけで物事を見ちゃダメだと思った。

この物語は、結婚は破綻しているが、先妻・円香は長尾との離婚を認めない。だから今同居する紗江は、長尾の「愛人」と周囲から見られている。音楽プロデューサーだった長尾が失職し、故郷で漁師になるという彼と漁村に転居してくるが「愛人」という立場に、敵意ある周囲の態度や言葉が浴びせられる…。だが、円香は長尾不在の時、紗江に電話で胸のうちを打ち明けるような関係にある…。

「愛人」という紗江の表面的な立場と同居人・長尾との深い愛情で結ばれている真の姿は読みごたえがある。

以上、全五篇の作品集。



◆◆この本を読んで、言葉の大事さを思った。
例えば「集団的自衛権」って言葉。
今までの全世界の歴史の中で、大国が戦を仕掛ける口実に使われただけの言葉。
自衛と言いながら実態は全く違うって最近まで知らなかった。

他に「積極的平和主義」の意味。
政府の行動が、本音を語っている。

武器の輸出はしないという、これまでの日本の平和原則を曲げて「緊急の提供」だったと弾丸を韓国に提供したら、緊急じゃなかったけど、くれるというので予備で持つことにすると韓国が本当のこと言っちゃった。

国民の大半が慎重審議や反対なのに、議論も中断して強行採決した、秘密だらけの「秘密保護法案」
同じく反対の多い原発の推進

国が暴走しないように、国民が国に守らせることを定めた今の憲法を変えて、上から目線で、国が決めたことを国民に守れと書いている「自民党改憲草案」

安倍さんの お友達人事で、失言で陳謝するような人を、公共放送の会長に送り込んだり…。

「積極的平和主義」って言葉の、本当の意味を自分の頭で考えなきゃね。
誰もが当たり前の日々を続けるために「見抜いたり読み込んだりする」力が試されているのが今。小説の物語とは直接関係ない、脱線の一席でした。


この物語には、真っ当な怒りを持った主人公たちが、理不尽なことに抱く思いが出てくる、それがこの作品をイキイキと躍動させ、ピリッとした深い物語にしている。今年最初に読んだ傑作。

「漁師の愛人」森絵都著 2013.12 文藝春秋)

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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
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