2017 / 06
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「ウエルカムの小部屋」「彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別な日」「17レボリューション」「本物の恋」「東の果つるところ」「本が失われた日、の翌日」「ブレノワール」「ヨハネスブルグのマフィア」「気分上々」の9編。ショートショートから、中編小説まで、森さんの洒落たセンスが楽しい一冊。

特に好きな作品は…。

◆「彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別な日」
二人の男女の出会いを、それぞれの視点から描いている。女は、大好きだった彼の結婚式の帰りに。男は大好きだった祖母の法要の帰りに。共に喪失感をかかえ、初めて一人で、バーに立ち寄った彼と彼女。その心の交感が優しい作品。4ページ二篇が対をなす物語。前者は雑誌に、後者は同じ頃ネットで公開。

◆「17レボリューション」
「自分革命」を起こしたいと、高校生の千春が17歳の誕生日に、突然親友のイズモに、一年間別れてくれと絶交宣言をする。それは何故?その決意の顛末は?
千春は「イキがいいか、悪いか」の価値基準で友達を作ると決めてイキのいい瑞穂たちと付き合いだす、曰く「これからは順風だ…よっ社長日本一、だ。」と、思ったのだが…さてさて?

言葉のテンポが歯切れいい、小説を読む楽しさがテンコ盛り。突然の絶交宣言に対して、イズモから千春に寄せられた手紙。古風な文体、渋すぎる言葉にイズモの人柄や、惚れっぽい千春の性格も語られている。手紙の言葉「悶絶躃地(もんぜつびゃくじ)」「緊褌一番(きんこんいちばん)国語辞典をひき、また笑った。

これ、どんな友達を持つべきかって話。それって、どんな自分になるのかってことでもある。
大笑いの話の中に、今世間で流っている人間観、友だち観、恋愛観に?マークが。それってホントにダイジョウブ?と。面倒でも、人や出来事は、自分で当たって考えろ。深く相手を思う野太い人間力を創ろう信じようという思いが流れていると思った。千春が惚れて、ふられたと思っていた真野信輔。彼の「薄暗くイキのよくない人間性」が、実はすごかったりする。面白い味わい深いキャラ!

◆「ヨハネスブルグのマフィア」
会社が倒産した傷心旅行で南アフリカとタンザニアへの旅のために、黄熱病予防接種を受けに東京港湾合同庁舎にきた四十路を前にした女性。注射に長時間待たされて、イラついているその場の空気の中で、一人悠然とした男が気になる。ページを一度もめくっていない洋書を手に「待たされること」から、一人解き放たれたような男の態度に魅了される。検査が終わり「あのさ、憂さ晴らしにこのあと、ちょっとビールでも飲んでいかない?」彼から声をかけられる。
看護師から「くれぐれも本日の飲酒と運動は控えてくださいね」と注意されていたのに、その二つの事を、その夜のうちに破ってしまう…。

四十路を前に激しい恋に落ちた女の話。二人で飲みながら彼が話す旅先で遭遇したヨハネスブルグのマフィアの危ない匂いとプロの手口。そのマフィアの手法と、彼女の心を奪う恋の手法の鮮やかさがダブる…。


ワクワクさせる男の人物描写、のめり込む女の恋心。
熱くて甘い恋の話。


多面的な楽しさを満喫できる一冊。「気分上々」な読み心地。

「気分上々」森絵都著 角川書店 2012.2)

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「自分革命」を起こすべく親友との縁を切った女子高生、 家系に伝わる理不尽な“掟”に苦悩する有名女優、 無銭飲食の罪を着せられた中二男子…、 人生、単純じゃない。だからこんなに面白い。 独特のユーモアと、心にしみる切なさ。 森絵都の魅力をすべて凝縮した、多彩な9つの物語。 9つの短編が時系列順に収められています。自称・発明家の夫と結婚した女性の話や、 「自分革命」を成し遂げる... ...

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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