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先回ここで取り上げた「愚者よ、おまえがいなくなって淋しくてたまらない」と同じく陰影の深い自伝的小説。
作者と思われるサブローと、「狂人日記」などを書いた、作家色川武大との「旅打ち」と呼ばれる競輪場への旅等をまじえた交遊録。
標題は、突然どこでも眠りだす、色川さんの持病ナルコプラシーの症状からきている。弟、親友、若き女優だった妻と相次いで死別したサブローは、そのショックから酒と博打に溺れ、精神病院を退院したものの、今も幻覚に怯える哀しみを心に抱えて生きている。
サブローのことを気にかける雑誌編集者の紹介で「いねむり先生」に出会い交遊がはじまる…。

厄介な難病を抱えているのに、ジタバタせず、仕事の世界でも、遊びの世界でも、尊敬と周囲の人に安らぎを感じさせる「いねむり先生」こと色川さん。
その飄々とした気取りのない大きな人柄。人の哀しみを見抜き、包み込む人柄が、他人との接触を避けていたサブローの精神的な痛みを徐々に癒していく。そして、「いねむり先生」自身も精神に痛みを抱えており、だからこそ、人の気持ちに深く寄り添って生きていることも描かれている。二人と交友がある歌手も登場する。 「陽さん」と呼ばれるこの歌手は、あの人だろうと興味深く読んだ。

別れという哀しみは、誰の運命にも避け難くやってくるけど、著者は「青春と読書」のインタビュー記事の中で
「その人との忘れえぬ記憶こそが、生き残ったものの生きる証なんだ、そうやってつながっているんだ…」
その想いを読者が共有してくれたらと「愚者よ…」を書いたと言っている。
その前に発表されたこの作品にも、作者のそんな想いが詰まっている感じだ。

人生で大切な人と出会って、魂が触れ合うようなひとときを共にできたら、と、つくづくと思わせてくれた印象深い作品。

「いねむり先生」伊集院静著 集英社文庫2013.8)


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
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