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10年あまりの東京生活に疲れた若き日の伊集院静が、たまたま訪れた「逗子なぎさホテル」のI支配人から声をかけられ、7年あまりをこのホテルで過ごすことになる。金も仕事もなかった彼を家族のように温かく受け入れたホテルとその人たち。作家▪伊集院静が誕生するきっかけとなったホテルでの日々を綴った自伝的エッセイ。

稀だけど、思いっきり豊かで深い生きる場所や人との出逢いが、彼をつくったんだなと思った。
この暮らしがなかったら、彼の面白い小説が読めなかったかもしれないと思うと、ここでの彼の日々は貴重だったんだと読者目線で思う。同時に彼自身が、今につながる能動的な生き方を積み重ねていたことも窺われる。近藤真彦の大ヒット曲の作詞や女優M子さんとの愛も育んでいる。【I支配人】の感性や人をホッとさせ温かく包む人間性が、伊集院さんに人の面白さを育む時を作ったんだなと思った。支配人の言葉 「急ぐと厄介になりますよ。ぼちぼちなさったほうがいいですよ」(P186) は印象的な言葉。

伊集さんの、文章に託す思いも綴られていて興味深い。

「ただ私は一冊の、一行の言葉が、人間に何かを与え、時によっては、その人を救済することがあると信じている。」(P136)
冬の海の眺望を描いた文章は、景色がいきいきと浮かんでくる。
女優M子との結婚のためホテル暮らしを終える。ときを同じくするようにホテルの営業も終える。

この本や、彼の自伝的小説を読むと、人生の面白さ、哀しさが血の通った言葉で綴られる。そこには、今、生きていることや誰かとの出逢いへの愛しさが感じられる。僕も、ちょっと視点を変えたりじたばたしたり、休憩したりして歩いてみようと思った。まだ見ないけど、知らない世界があるのかもしれないから。

「なぎさホテル」伊集院静著 小学館2011.7)


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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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