2017 / 08
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◆  なぜ「八日目の蝉」なんだろう?
この題名の意味するものは、哀しいのか?

(すまぬ!あらすじは、後に書くので、ご覧を。)

蝉は、7年間、土中で生活して、地上に出たら7日ほどで死んでしまうという。
短かすぎて、あまりにもかわいそうだと、子供の頃の秋山恵理菜は思う。

大人になって彼女は思う。蝉は7日で死んだほうがよい。もし8日目まで生きると
仲間が死んでしまったのに、自分だけ生き残る、そのほうがかなしい。
その蝉は「息をひそめて幹にしがみついている気がした。
生き残ってしまったことを悟られないよう、決して泣かないよう声をひそめて。」いるようだからと。
誘拐されて身を寄せていた、子供の頃「エンジェルホーム」という宗教施設で一緒だった
千草と再会して言葉を交わす。

 後半で、千草が秋山恵理菜に言う。
(上述の蝉の話のように)私も、そうだと思っていたけど、
それは違うかもしれない。
八日目の蝉は、他の蝉が見られなかったものを見る。
それはひどいものばかりではない、と。
そして、千草の意見に恵理菜も思う。
「乳児連れ去り事件」でわたしと三年半過ごして逮捕された野々宮希和子も
(恵理菜もその両親も)「今この瞬間どこかで、八日目の先を生きているんだと唐突に思う。」

◆  こんな感じで「八日目の蝉」についての見方の変化が、恵理菜たちによって語られる。
それは、生き方に対する考えの深化でもある。

男女三人(希和子と薫こと秋山恵理菜の両親)の大人たちの「事件」の前後からの苦しみと悲しみ
希和子が逮捕された後、恵理菜は三人への不信をかかえて大学進学とともに
親元を離れて暮らす。そして岸田と出会って妊娠する。
葛藤の末に「産む」決意をかためる、それまで避けてきた「事件」の現場を訪ねる旅に千草と行く。
そして、自分と別次元の遠い人だと思ってきた希和子が、逮捕というときに、自分を気遣った言葉(『その子は朝ごはんをまだ食べていないの』)を思い出す。
そして血縁のない彼女が、薫に深い愛情を注いだこと、その思いが自分の命の中に流れている。
実母・秋山恵津子と等しい母親だったことを知る。
息をひそめるような生じゃなく、堂々と誰かのことを愛して命を拓いていくことへの
励ましが込められている。


◆  (あらすじ)
野々宮希和子は、不倫関係にあった、秋山丈博と妻・恵津子の間に生まれた、生後半年の赤ん坊・恵理菜を、アパートから連れ去り、かつて丈博と話した名前「薫」と命名して、三年半の逃亡生活をおくる。
丈博との間に出来た子供を堕胎したことがあり、「薫」を本当の自分の子供のように思い、慈しんで可愛がる希和子が悲しくもあり、微笑ましくもあった。
友人・老女・宗教団体「エンジェルホーム」・友人の実家などを渡り歩いた末に、希和子は逮捕され、幼い恵理菜は両親と妹の元に帰る。

二章は、薫こと恵理菜の視点で語られる。
月日は流れて、恵理菜は大学の合格とともに、両親や妹から離れて一人で暮らす。
バイト先で知り合った妻帯者・岸田の子供を身ごもり、堕胎するつもりが、医師の
つぶやきを聞いて産むことを決める…。


  読みながら、いくつものことを考えた。
男女の愛と、命を育むということ。親子のこと。
人生と「もしも…だったら」ということ。
憎しみと愛すること。マスコミとの付き合い方のこと。
風景と人の情感のこと。etc

又、読み返したい本に出会ってしまった。

(角田光代 著 「八日目の蝉」 中央公論新社 2007,3)


【】
おっしゃるとおり、さまざまなことを考えさせられた一冊でした。
読む時期や気持ちのありようによっても、抱く想いが変わってきそうにも思えます。

考えてもどうにもならない「もしも・・・だったら」が切なかったです。
【こんばんは。】
ふらっとさん ようこそ。

読む時期によって、いろいろな会話ができそうな豊かな作品ですね。こういう本に会えるのは、読書の楽しみですね。
【】
くじらさん コメントありがとうございます! 
何を書きたいのかを考えると難しいですね たぶん あ〜そうなのかと気づいても、書き手の思惑を離れた世界にいきそうで、でもそう言うコトが面白い本であれば、あるだけあるような....と意味不明なコメントになってしまいました
【こんばんは。】
きりりさん ようこそ。

一つの作品の中に、いろいろな言葉がつまっていてあれこれと考えました。それだけ作者の思いが、深く込められているんだろうなと感じました。読書の快感とエネルギーをもらって、嬉しかった一冊でした。
【】
くじらさん 初めまして。
我がブログにコメントをありがとうございました。
早速、くじらさんのブログにお邪魔しております。
この作品を読み、私も“憎しみと愛すること”について考えました。
このふたつは表裏一体で、間逆のようで実は似ているものなのかも知れないな、と思いました。
【こんばんは。】
にゅこさん ようこそ。

遊びに来ていただきサンキュです。

「憎しみと愛すること」
野々宮希和子と薫との関係は、まさにそんな関係ですね。
隣り合わせにあって、相手の何かが自分の中に根を張っているようなところが、両者にはあるような気がします。

これからも、本の話を、あれこれしましょう。よろしく。

【】
くじらさん こんばんは。
良い作品でしたね〜。
悪いことなのに「一日でも長く逃げのびて」と、主人公にめちゃくちゃ感情移入しながら読みました。
ラストもとっても良かったです。
【】
naruさん こんばんは。

昨年のベストブックに、naruさんが推していた「悪人」「八日目の蝉」。
どちらとも最高に面白かったよ。参考になった。サンキュ!

両者とも「犯罪」という共通性がある。
犯罪は良くないけど、憎しみと愛が複雑に絡み合っている、人の心の奥の深さを、改めて感じる作品でした。 
【初めまして】
 昨日,NHKのドラマで初めて「八日目の蝉」を見ました。
 まだ,本では読んでいません。でも,とても心惹かれました。
 検索していて,このブログに出会いました。くじらさんの本への思いが文章から,伝わってきて,ぜひ,原作を読もうと今思っています。
 日頃,あまり,小説を読まないのですが,くじらさんの紹介を頼りに,少し読んでみようかなと思います。
 こんなこけももですが,よろしくお願いします♪
【Re: 初めまして】
ごんちのこけももさん こんばんは!
ブログにきて読んでいただいて、コメントまで。
サンキュです!

>  昨日,NHKのドラマで初めて「八日目の蝉」を見ました。
>  まだ,本では読んでいません。でも,とても心惹かれました。

ボクも、ドラマ見ています。
檀れいさんが扮するヒロインの、薫への一途な思い、みていて心にしみてきます。

>  検索していて,このブログに出会いました。くじらさんの本への思いが文章から,伝わってきて,ぜひ,原作を読もうと今思っています。
>  日頃,あまり,小説を読まないのですが,くじらさんの紹介を頼りに,少し読んでみようかなと思います。
>  こんなこけももですが,よろしくお願いします♪

こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!
過分なコメントありがとう。
二年前に書いた「八日目の蝉」の感想は今も変わりません。
本当に面白くて豊かな作品だと思います。
読んだら、感想など聞かせてください。
【良くわからない】
NHKのドラマの撮影現場の関係者です。まだ原作は
読んでいませんがドラマは見ています。本当に皆が言うように感動できるのか疑問です。連れ去った壇れいでなくもとっと別のキャラだったら本当に感情移入できるのか?奪われた妻の悲しみはどう折り合いをつけたらいいのか。まだまだドラマではわかりません。是非原作を読みたい
【原作読みました!】
くじらさん,こんばんは。
 コメントの返事をありがとうございます。
 読もうと思っていた原作を一気に読みました。
 初めは,話の筋に惹かれて,読み進んでいったのですが,だんだん,一人一人の人生があまりに辛く,生きづらく,特に二人の主人公の心の叫びにしんどくなっていきました。
 でも,ラストに向かい,生きていることを受け入れ,穏やかな瀬戸内海の光の中に浄化していく二人の思いに勇気をもらえました。
 また,二人を取り巻く人々もそれぞれ辛い,生きにくい人生を背負っている。でもその中でお互いに支え合って,生きていく。作者は,すべてを受け入れているのだなあと感じました。
 がらんどうの蝉の抜け殻が決して,空しいだけのものではなく,八日目に生きる蝉は,息をひそめているだけの存在ではなく,未来へとつながる今を生きている存在であると作者は伝えてくれました。
 読後感がとてもよかったです。ドラマも益々楽しみになりました。 
 これを機に小説を読んでみようと思っています。そのときはまたよろしくお願いします。
【Re: 良くわからない】
ポチさん はじめまして!
コメント サンキュです。

ドラマも小説も、様々な見方や意見があって、当然だと思います。

ヒロインの行為は、他人の子供を誘拐して逃亡する犯罪行為ということになります。
でも、そこには、○か×かだけでわりきれない人の心の襞を揺さぶる何かが
あるんだと思います。
ヒロインが、一途に薫に注ぐ眼差しを、感じるんです。

原作読まれたら、また感想をお聞かせ下さい。
【Re: 原作読みました!】
ごんちのこけももさん こんにちは!
丁寧で、作品を深く読みこんでいるコメントに感心し、何度も読み返しました。

コメントを読ませていただきながら、内容に共感したり、なるほどと目を開かせてくれたりでした。特に、主人公を取り巻く人たちへの読み込みに、感心しました。

いい本に出会うと、登場人物たちと会話したり、感動をもらったり、時間の過ぎるのを忘れそうになります。この本もそんな一冊でした。

ぜひ、これからもいい本と出会って、感想を聞かせてください。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

【コメントありがとう】
くじらさん,こんにちは。

コメントを何度も読んでくださってうれしいです。
一人で読書をしていると,ひとりよがりになっているのでは・・と心配になります。
こうやって,ブログ内でお話をしていただくと,世界が広がります。ありがとう。

これからも,すてきな本を紹介してくださいね。よろしくお願いします!
【Re: コメントありがとう】
ごんちのこけももさん こんばんは。

> 一人で読書をしていると,ひとりよがりになっているのでは・・と心配になります。
> こうやって,ブログ内でお話をしていただくと,世界が広がります。ありがとう。
> これからも,すてきな本を紹介してくださいね。よろしくお願いします!

ボクのブログ「こじつけ…」という命名からして、かなり、独りよがりの読書です。
でも、いろいろな人と本について話し合えるのは、嬉しいし、いいなぁと思います。
こんな奴ですが、こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
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 よろしく!

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