2017 / 08
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好きだ。うまい。
心のときめき。痛み。焦燥。歓び。
大事な一瞬を、すくいとっている。
ひまわり、コスモス、椿、桜の四季の花々に、
からんだ人々を描いた四つの短編。

サマバケ96
中学三年の夏、対照的な性格の二人・ユカとアンナが計画した、最高の夏休み…。
さて、どんなことに…。

大量のヘビ花火を二人でやって、枯れたヒマワリのかさかさという音をきく。
過ぎ去っていく夏に抗うユカの焦燥が眩しい。
過ぎていく時を,、止めたいなぁという思いが伝わってくる。


コスモスと逃亡者
知恵遅れの、たからは、家の窓から見える荒地とコスモスを眺めながら、
働く母に守られて、指示された買い物をコンビニでして、過ぎる日々。
「わたしってなんだろう」。
このまま、これからも生きていくんだろうかと思っている。
ある日、近くのアパートでカラスに呼びかけている男にあう…。

庇護を受け、部屋の中に籠って生きるだけじゃない生き方を宣言する最後が好きだ。
「ちゃんと土を踏んで、風に当たって、あのコスモスを見るのだ。」(110)と。
雑草のように省みられない私。
でも、守られるだけじゃなく、もっと色んなものを見られるんだと母に告げる
たからの歩き出そうとする思いを、応援したくなる。


椿の葉に雪の積もる音がする
中学二年になった、雁子は思い出す。
小さい頃から、年に一回ほどの眠れない夜は、おじいちゃんの布団にもぐりこむ。
すると、雁子を眠りにいざなう、おじいちゃんの呪文の言葉。
それが「椿の葉に…」。
おじいちゃんは、庭に咲く「藪椿」を縁側で眺めるのが好きだ。
ある夜、おじいちゃんが倒れて入院する…。

それまで見慣れた姿と違う病室の無言のおじいちゃん。
声がかけられなかった雁子と弟の雪助。
椿は、雁子や弟が知らない、おばあちゃんのアイさんが好きだった花だと、後で知る。
最後の場面、おじいちゃんを失った空白感
痛切な雁子の姿が、心に痛い。


ボクと桜と五つの春
勉強が苦手な上、口下手な吉谷純一には、友だちもいない。
小学校五年生の時、塾の帰りの夜。
道路沿いの高い板塀の向こうに若い「桜木」を発見する。
それから五度目の花が咲いた年、一新されたクラスの中に、
桜の気配を感じるカナハギさんに一目ぼれして告白するが…。

誰も見ていない場所で花を咲かせ、年と共に成長して、塀の上に顔をだす桜。
仲間といても流されず、強い意志で自分の道を目指すカナハギ。
そして、就職と共に家をでる吉谷。
桜やカナハギの姿が、彼に自立への思いを持たせたんだろうなと思った。
最後の場面で、カナハギが吉谷に告げた本音。
自分を見つけてくれる、ほめてくれる人。
大事だなぁとも思った。


 「劣等感を持った主人公&別れ」が、印象的に描かれている四篇。

(豊島ミホ著 「花が咲く頃いた君と」 双葉社 2008.3)







【】
「コスモスと逃亡者」は主人公の設定に戸惑っていたのですが、くじらさんのレビューを読んでなるほどって思いました。
劣等感を持った人の心のうちがすごくよくあられていますよね。
【】
ななさん こんばんは。

「コスモスと逃亡者」のヒロイン。
もう少し描きこんで欲しいと思いました。
この作品の原題「雑草未来」だそうです。
コスモスが雑草という話と、ヒロインの孤独が重なって、彼女の未来を応援したくなりました。
【】
こんばんは。
季節の花とともに主人公たちのコンプレックスがしっかり描かれていましたね。
別れと新しい局面が豊島さんらしいです。
痛みも感じましたが、とても好きな短編集です。
【】
藍色さん こんにちは。

別れに伴う様々な心の景色と、花々が鮮やかに描かれていました。
枯れたヒマワリの一編は、過ぎ行く夏をとても象徴していると感じました。
【】
TB,コメントありがとうございました。
四季の花をうまく取り入れた4つの切ないお話に仕上がっていましたね。
「コスモスと逃亡者」では、自分の力で歩こうとする多花良を応援したくなりました。
【】
花さん こんばんは。

四季の花との思い出。
一瞬の過ぎていくときを、鮮やかに切り取って
切なかったり、哀しかったり、嬉しかったりと、
様々な場面を印象的に描いていました。

多花良。うんと、いろんなものを見て
世界を広げて欲しいなぁと思いました。
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花が咲く頃いた君と 豊島 ミホ JUGEMテーマ:読書 夏のヒマワリ、秋のコスモス、冬の椿、春の桜。四季の花をモチーフに書かれた4つの短編集。「小説推理」掲載。 どの物語も苦くて、痛くて、切なくて。取り残されてしまった人の気持ちがすごくよく表現されていま ...
装丁は片岡忠彦。装画は金子恵。「小説推理」掲載。四編の短編集。 ・サマバケ96―中三のユカは夏休みを一緒に謳歌するはずのアンナが恋... ...
花が咲く頃いた君と 豊島ミホ 双葉社 2008年3月 四季の花、ひまわり、コスモス、椿、桜をモチーフにした4つの短編集。 サマバケ96 成績のよいユカといまどきの女の子アンナ。アンナの片思いの相手庄司がユカの小学校の同級生だっ ...

本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
 よろしく!

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