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(お話)
◆ 日本舞踊をしていたが、わけあって雰囲気に惹かれて三年前から剣道を始め、勝敗への
こだわりのない、おっとりしたタイプの西荻(甲本)早苗。
 幼い頃から、道場に通い、昼休みは片手に鉄アレイを持って鍛錬し、片手に武蔵の「五輪書」の文庫本を持って愛読するなど、剣道漬けの日々を送る磯山香織。
彼女は、剣道全国中学二位の実績を持ち知られる実力者。
 ところが、腕試しに出た小さな大会で、名も知らない相手に負ける。
それが西荻。
リベンジを期して、スポーツ特待生の誘いで東松学園女子部の高校に入学する。
部で再会して、負けた西萩と手合わせするが、なぜ負けたのかわからないようなタイプの選手。
あっさりと磯山が勝つが…。

交互に、違うタイプの二人の語り口でドラマがすすむ。
笑いと、剣道と人生の意味を考えるマジな味も程良くブレンドされた爽快な一冊。

(思ったことなど)
◆ 一番印象的だったのは、勝敗にこだわり続けた磯山が、何のために剣道をするんだろうと
悩んで、周囲の人の言葉や姿に目を開いていく。
そして到達する思いの大きさに読んでいて、ジ~ンとする。
 曰く、デカい魂を持って「デカい剣道をやりたい」(P333)と。
それまで、こだわりまくっていた勝ち負けとか、兵法じゃなくて
これからは「武士道」でいくんだと香織は言う。
(父が武士道の本筋として語った言葉。
「集約すれば、世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らない…社会に生きる人間とは、そうあるべき者だ。…人は誰も、一人では生きられない」(P315~316)が彼女の思いの底にある。)
そんな風に、武士道の普遍的な面を語った父。(ボクはすべてが普遍的とは思いませんが。)
勝敗や兵法にこだわって、周りの人がすべて、敵に見えていた過去の香織。
彼女が、そんな古い自分を抜け出して「大きな剣道」を目指す宣言をする。
言い換えれば「大きな生き方」に向かって一歩踏み出すことだと思った。

「大きな生き方」って何だろうとここを読みながら思ったりした。
香織はこんなことばかり考えているわけじゃない。
そのキァラは、コミカルに誇張されていて何度も笑った。

 香織の言葉を読みながら、この前のオリンピック報道を思い出す。。
競技の内容や選手の精進より、メダルをいくつとれたかが、報道の中心のようだった。
そして、日々の暮らしでは、勝った負けたの価値観が大きな顔をしている。
そんな姿勢は「大きな魂をもった生き方」といえるんだろうか?
香織の到達した「大きな剣道」をするという思い。
武士道風に言えば(笑)「心して聞く」に値する言葉だなぁ~と思った。

 そして、西荻早苗に、事業に失敗した父が語る。
勝負はどんな場合もついて回るけど、負ける不安に打ち勝つ方法は
「それが好きだっていう気持ちを、自分の中に確かめるんだよ。」(P280)という。
勝つとは限らないけれど、それを乗り越える力は「好きかどうか」好きなら負けても失敗してもいい。 何かを好きになる。夢中になる。その気持ちがあれば、勝負なんて怖くないんだと。

共感した。理想のない生はつまらんもん。

◆ …っていうような、二人が考えた、マジなテーマも散りばめつつ、時代がかった言動の磯山と、ほのぼのキャラで大好きな剣道に独自の価値観で付き合っていく西荻。
対照的に見える二人が、剣道でも生きることでも交わり、素敵なツレになって、ライバルになっていく。
笑いもてんこ盛り。爽快痛快な一冊。

「武士道セブンティ-ン」という二冊目がでているらしい。
「続編も読もうゾッ!
 ウム!望むところダッ!」 
ってなことを、イマオモッテオリマス。
(笑)

(誉田 哲也著 「武士道シックスティーン」 2007,7文藝春秋)




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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
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