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 夏にまつわる人生模様を描いた12編。
印象に強く残った作品二編。

 「僕たちのミシシッピ・リバー」

小学五年生のトオルとカズヤは、一学期の卒業式を終えた翌日の夏休み初日。
そして、トオルが転居する前の最後の日をカズヤと過ごす。自転車で、遠く離れた海を見にいく。
読んだ冒険小説の二人のお気に入りの「ミシシッピ川を筏で下る場面」。
遠い海を目指してペダルを漕ぐ、「冒険」のような一日。

二人の友情の瑞々しさ。別れていく二人の寂しさ。
苦く哀しい一日。その日の思い出を胸に、新しい日へと命を漕ぎ出そうとする
初々しさ、眩しさも感じさせる。


 「終わりの後の始まりの前に」

高校野球予選の最後のバッターとなったテルは、強豪S学園・横山投手が投げた一球を
「ボール」と見送るが、審判の判定は「ストライク」。三振となり、最後の打者となる。
高校野球の夏は終わったと思いながらも、最後の一球を「ボールだった」と、心に引っかかっている。テルが塁に出ていれば、公式戦初のバッターの予定だった三年間補欠選手・渡瀬に、打順がまわった。渡瀬の悔しさ、収まりのつかなさ。
 
 テルは「ストライク」の判定を下した主審と再会。
異論を伝えるが、「ストライク」だった。
納得も、諦めも出来ないかもしれないがと、彼は、さとすようにいう。
そして、二十年近い審判生活で、勝敗に関わらず、何の悔いも、後悔も、やりきれなさもない試合はなかったと告げる。選手も審判も。
強豪S高校のエースながら、大事なところで体に故障を抱えてマウンドに上がる横山の姿が、最後に、二人の前で展開される。

テルが、後悔なく生きていくことの難しさを学ぶこの一編。
人は、スパッと割り切ってスマートには、生きられない。
丁寧に生きようとする程、後悔や、やりきれなさは、付いてまわるのかもしれない。
どうにもならないときには、開き直って(笑)生きることも必要なのかも。


◆ 他に、涙なくして読めない「タカシ丸」はじめ、
「親知らず」「あじさい、揺れて」「その次の雨の日のために」
「ささのは さらさら」「風鈴」「魔法使いの絵の具」「金魚」「べっぴんさん」「虹色メガネ」。

(重松清 著「季節風・夏 僕たちのミシシッピ・リバー」2008.6文藝春秋)



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本命くじら

Author:本命くじら
 本が好きです。自然も好きです。
人間という生き物にキョウミシンシン!
本は快楽。本はエネルギー。…ってことで。
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